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36.劔岳 点の記 (2009年日)<4.0> 
 [監督]木村大作
  [出演]浅野忠信、香川照之、松田龍平、モロ師岡、蛍雪次朗、仁科貴、仲村トオル、宮崎あおい、鈴木砂羽、役所広司
  [時間]139分
 [内容]明治39年、陸軍参謀本部陸地測量部の測量手、柴崎芳太郎は、国防のため日本地図の完成を急ぐ陸軍から、最後
    の空白地点である”劔岳の初登頂と測量を果たせ”という命令を受ける。立山連峰にそびえ立つ劔岳は、その険しさから
    多くの者が挑みながら誰一人頂上を極められずにきた未踏峰の最難所であった。さらに、最新装備で初登頂を目指す日
    本山岳会という強力なライバルが出現し、測量隊には陸軍のメンツという重いプレッシャーがのしかかる。そんな中、柴
    崎は前任の測量手・古田盛作を訪ね、信頼できる案内人として宇治長次郎を紹介される。そして翌年、柴崎達測量隊一
    行は総勢7人でいよいよ劔岳の登頂に臨むのだったが…。
  [寸評]日本映画界を代表する名カメラマン木村大作が自ら初監督に挑み、新田次郎の同名小説を完全映画化。明治時代
    末期、国防のため、日本地図の完成を急ぐ陸軍の命を受け、最後の空白地点を埋めるべく前人未踏の難峰・劔岳に挑ん
    だ男達の命を懸けた真実の物語で、実際に劔岳・立山連峰各所でロケを敢行、測量隊と同じ行程をほぼ忠実に辿る危険
    と隣り合わせの過酷な撮影の末、出来上がった雄大さと迫力に満ちた美しい映像は見応えがある。有休を取って、妻と
    劇場で鑑賞したが、作品の時代が明治ゆえか、観客のほとんどが年輩の方ばかりであった。話はシンプルで豪華俳優
    が共演しており、測量して地図を作る事の大変さが伝わる。プライド・名声を重視して、現場の辛さをくみしない軍の幹部
    に憤りを感じるが、柴崎や宇治達の”何のために行うのか”を自問自答しながら真摯に立ち向かっていく行動は賞賛する
    し、劔岳の登頂直前の柴崎と宇治のやり取り、宇治の息子が父にあてた手紙の”父の背中”は感動的である。映像が非
    常に美しいので劇場で観た方がインパクトがあるでしょう。

37.トランスフォーマー TRANSFORMERS (2007年米)<3.0> 
 [監督]マイケル・ベイ
  [出演]シャイヤー・ラブーフ、ミーガン・フォックス、ジョシュ・デュアメル、ジョン・ヴォイト、ジョン・タートゥーロ
  [時間]144分
 [内容]ある日、中東カタールの米軍基地に未確認ヘリコプターが着陸し、突然ロボット型へと変形し無差別に攻撃し始める。
   また、飛行中の米国大統領専用機エアフォースワン内に何者かが侵入し、機密情報が驚異的なスピードでハッキングされ
   る事態になった。ただならぬ状況と判断した政府は、内密に分析と対策に取り掛かる。そんな中、高校生のサムは父親か
   ら車を買ってもらったのだが、その車は、ある日、ロボットへ変形し、やがて同じようなロボット達サムの目の前に姿を現わ
   すのだった。彼らとその対抗組織が地球に落ちた“キューブ”というものを探し求めており、どうやらサムが、そのカギを握っ
   ているというのだが…。
  [寸評]1980年代に人気を博したという(観ていないが・・・)日米合作のアニメを実写化した、スピルバーグとマイケル・ベイの
   コンビによるSFアクション。人類が、あらゆるテクノロジー機器に姿を変えられ“トランスフォーム”(変身)する金属生命体の
   脅威に晒される様を、最新技術を駆使して描いた内容で、主演は「インディー・ジョーンズ最新作」でインディの相棒かつ実
   の息子役をつとめたシャイア・ラブーフ。本作の続編である「トランスフォーマー・リベンジ」が劇場公開されるのに合わせ、
   地上波TVで放映されたので録画したが、やはりこの種の作品は字幕・ノーカットで観るべきと思い、妻とレンタルDVDで鑑
   賞(3泊4日という制約ゆえ、平日の夜に3日に分散して鑑賞)。2作目を劇場に観に行きたいと思えるような面白さかな?と
   期待して観たが、何でもかんでもトランスフォームするCG映像や漫画チックな所は時折ニヤニヤさせられ、楽しいのだが、
   総じて言えばボチボチというのが率直な所感(睡魔と戦いながら観ていた影響もあり?)。ストーリーはいたってシンプルで
   すさまじい映像を見せる事が主といえる。それをどう捉えるかによって評価は分かれるのではないかな?話題作ゆえ、観て
   おいて良かったとはいえますが・・・

38.スター・ウォーズ/クローン・ウォーズ STAR WARS: THE CLONE WARS (2008年米)<3.5> 
 [監督]デイヴ・フローニ
  [出演]<声の出演>マット・ランター、ジェームズ・アーノルド・テイラー、アシュリー・エクスタイン、トム・ケイン
  [時間]93分
 [内容]銀河系では邪悪な分離主義勢力と共和国との戦い“クローン戦争”が続いていた。ジェダイ騎士、オビ=ワンとヨーダ
   は、その先頭に立ち、クローン軍を率いて激しい戦いを繰り広げていた。一方、若きジェダイ騎士、アナキンは弟子となった
   血気盛んな少女、アソーカ・タノの指導に手を焼く日々を送っている。そんなある日、アナキンは、オビ=ワンからジャバ・ザ・
   ハットの息子が誘拐されたので、救い出すよう、重要な任務を託され、アソーカを伴い危険な旅に出る…。
  [寸評]「スター・ウォーズ」シリーズ初の劇場用長編アニメーション。「エピソード2」と「エピソード3」の間のクローン戦争を舞
   台に、アナキン達のジェダイ騎士の活躍をフルCGアニメで描いた作品。全米では本作に続いて、TVアニメシリーズも放映
   され、日本でもNHK-BShiで放映されている。「スター・ウォーズ」シリーズは好きなので、今後も幾つもの楽しいエピソード
   を見せてくれる事を願う一方、”余り多くを期待してはいけないか?”とも思い、TVシリーズの前座となる本作品を結局、躊
   躇して劇場では観ず、レンタルDVDで鑑賞した。期待せずに観たせいか、画像もなかなか綺麗だったし、「ジェダイの復
   讐」で登場したジャバ・ザ・ハットが話に絡むので、結構楽しめた。ハットの子供には何とも表現し難いが・・・。スター・ウォー
   ズ自体、話はシンプルなので、今回の内容はクローン戦争の導入部という位置付けとしてはマズマスなのではないかな。
   パダワンのアソーカは、元来からおぼろげに考えられていたキャラなのか、話の幅を広げる意味で今回のアニメ製作に当
   たり、設定されたのだろうか?アナキンはずっとオビ=ワンに仕えたままかと思っていたが、TVアニメシリーズでは、どのよ
   うな人物相関関係となっていくのだろうか?NHK-BShiの放映に気付くのが余りに遅かったので、レンタルDVDに登場し
   たら徐々に観ていきたい。

39.ウォンテッド WANTED (2008年米)<3.5> 
 [監督]ティムール・ベクマンベトフ
  [出演]アンジェリーナ・ジョニー、ジェームズ・マカヴォイ、モーガン・フリーマン、テレンス・スタンプ
  [時間]110分
 [内容]仕事もプライベートも冴えない青年ウェスリーの前にある日、”ウェスリーの亡き父は凄腕の暗殺者だった”と語る謎の
   美女フォックスが現われる。そして、その直後から、ウェスリーは何も事情が飲み込めぬまま、激しい銃撃戦に巻き込まれ、
   淡々と応戦するフォックスに守られながら急場を切り抜けていく・・・。やがて、彼女にある集団のもとへと案内される。彼らは
   ギリシャ神話の時代から神に代わり、<運命の意志>を実践してきた“フラタニティ”という秘密の暗殺組織で、その一員だっ
   たウェスリーの父は敵に殺されてしまったのだという。さらに自分が暗殺者の素質を持ち組織の王位継承者でもあると知ら
   されたウェスリーは、父の復讐を誓い、その宿命を受け入れる。こうして、暗殺者としての潜在能力を覚醒させるため、フォッ
   クスの下で尋常ならざる特訓を受けることになるのだが…。
  [寸評]暗殺組織に素質を見出された青年が覚醒し、孤高の暗殺者へ成長していく姿を理屈抜きのビジュアル満載で描いた
   作品。予告編で何度も目にしていて関心はありながら、劇場では鑑賞せず、レンタルDVDで妻と鑑賞。「チェンシリング」で
   子供を想って奮闘する母親役を演じ、別の一面を見せてくれたアンジェリーナ・ジョニーだが、彼女は本作のようなアクショ
   ン系がやはり本流か?彼女の雰囲気・ド派手な動きが作品の見応えの大半を支えていっているといってよい。アクション・
   シーンが数多くあるが、5月に後方から追突された苦い経験があるので、カー・チェイスで車がぶつかりまくるシーンは、現実
   を考えると怖くて痛々しく感じられる。特に列車にフォックスが車で突っ込み、更に橋から列車が転落するシーンは何の罪
   の無い乗客が巻き添えにされている事を考えるとやりすぎだと思う。最後は思わぬ展開になるが、これとて組織モノではあ
   りがちなパターンな気がする。運のない青年が覚醒し、やたら逞しくなってしまい、相応に楽しめるのだが、何かと痛々しく
   感じた作品だった。

40.アマルフィ 女神の報酬 (2009年日)<4.0> 
 [監督]西谷弘
  [出演]織田裕二、天海祐希、戸田恵梨香、佐藤浩市、大塚寧々、佐野史郎、サラ・ブライトマン、福山雅治
  [時間]125分
 [内容]イタリアで予告されたテロから日本人を守るため、外交官・黒田康作がクリスマス目前のローマに派遣された。だが、
   ほどなくして、一人の日本人少女が失踪する。彼女は、亡き夫との思い出の地であるイタリアを訪れた旅行者・矢上紗江
   子の愛娘だった。そして、この誘拐事件の通訳担当となった黒田は、紗江子へ掛かってきた犯人からの電話を受け、彼女
   の“偽りの夫”と称して事件に巻き込まれる事になる。しかし、警察の介入を犯人に見破られるなどして事件の解決は遠の
   くばかり・・・。更に独断で事件の調査を進めるものの、外交官には捜査権限がないためイタリア当局から越権行為と指摘さ
   れ、大使館内でも孤立する。やがて、誘拐事件は連鎖テロへ発展し、イタリア全土に広がっていく。こうして犯人グループの
   思うがまま捜査が混迷を極める中、黒田は事件の鍵がイタリア南部の港町・アマルフィにあることを突き止めるのだが…。
  [寸評]フジテレビ開局50周年記念作品として邦画初となるオールイタリアロケが敢行されたサスペンス作品。「ホワイトアウ
   ト」の人気作家・真保裕一が企画の段階から参加し、本作の原作を書き下ろした。日本人少女の失踪に端を発した謎の犯
   人グループによるイタリア大規模連鎖テロの真相を追い、少女誘拐事件の解決へ奔走する日本人外交官の姿を描いた内
   容で、劇場で何度も予告編を目にし、天海祐希や戸田恵梨香、サラ・ブライトマンまで出演する事から注目していて、公開日
   初日に妻と劇場で鑑賞。全編イタリアが舞台で景色が非常に美しく、その中でサスペンスが展開されるので、マズマズ見
   応えがある。真保裕一氏の原作ゆえ、「ホワイトアウト」同様、犯人は、いきなり怪しいと思う通り、○○が演じる人だった。
   犯人の起こす行動は分かったが、その背景が今ヒトツ理解しきれなかった事と、各々の登場人物について、もう少し深く描
   けると良かったと思う。最後の海岸のシーンは期待するものがあったが、あっさりでした。話題作ゆえ、観て損はなしと言え
   るでしょう。

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