一覧へ  前頁ヘ  次頁ヘ
26.GOEMON (2008年日)<4.0> 
 [監督]紀里谷和明
  [出演]江口洋介、大沢たかお、広末涼子、ゴリ、要潤、玉山鉄二、りょう、寺島進、平幹二朗、伊武雅刀、奥田瑛二
  [時間]128分
 [内容]1582年。天下統一目前の織田信長が明智光秀の謀反に遭い本能寺にて非業の死を遂げた。その悲報を受け、信長
    の右腕・豊臣秀吉はすぐさま光秀を討ちとり、主君の無念を晴らすと共に、自ら天下統一を果たし、ここに豊臣の治世が
    始まった。しかし、それなりの平安は訪れたものの、格差は広がり、庶民の困窮ぶりはひどくなるばかりだった・・・。そん
    な時、彗星のごとく現われたのが天下の大泥棒・石川五右衛門・・・。金持ちだけを狙って盗みを働き、貧しき者に分け与
    える義賊行為で一躍庶民のヒーローになる。ある夜、五右衛門が紀伊国屋文左衛門の屋敷からたまたま南蛮製の箱を
    盗み出すも逃亡の途上で捨ててしまう。やがて五右衛門は、石田三成が配下の霧隠才蔵を使い、その箱の行方を血眼
    に追っている事を知るのだが…。
  [寸評]「CASSHERN」(未見)でデビューを飾った紀里谷和明監督の長編映画2作目。戦国の世を舞台に、大泥棒・石川五右
    衛門を始めとした歴史上の有名キャラクター達が繰り広げる奇想天外なストーリーが、時代劇の枠にとらわれない大胆か
    つ斬新な映像で綴られるアクション作品。歴史の中でも戦国時代の話が一番好きな事と本作の映像が話題になっている
    事から鑑賞。時代・技術の進化か従来の歴史物と異なるSF風ともいえる映像で新鮮に感じた。物語も史実を忠実にでなく
    独特にアレンジしているが、三成が非常に邪悪だったり、茶々が清純であるのにはどうしても違和感がある。江口洋介、
    大沢たかおの役はなかなか適していたと思う。五右衛門と才蔵のやり取りの中で一部理解し辛い所があったが・・・。五右
    衛門が、天下の地位を争い続ける事の虚しさを説く台詞は、含蓄があってよかったと思う。映像は綺麗でCG映像がくどい
    ぐらいだが、全般的には斬新な歴史物といえ、まずまず楽しめました。

27.天使と悪魔 ANGELS & DEMONS (2009年米)<3.5> 
 [監督]ロン・ハワード
  [出演]トム・ハンクス、アイェレット・ゾラー、ユアン・マグレガー、ステラン・スカルスガルド、ニコライ・リー・コス
  [時間]138分
 [内容]ハーバード大学の宗教象徴学者ロバート・ラングドン教授は、ルーヴル美術館での一件以来、冷戦関係だったヴァチカ
    ンから思いがけない協力要請を受ける。秘密結社イルミナティがヴァチカンを窮地に陥れていた。それは17世紀にガリレオ
    を中心とする科学者によって組織されるものの、ヴァチカンの激しい弾圧で消滅したものと思われていた。しかし秘かに復
    讐の機会を待ち続け、教皇の逝去を受けて行われようとしていたコンクラーベに乗じてついに復活を果たしたのだ。彼らは
    最有力候補の枢機卿4人を誘拐し、1時間ごとに殺害すると予告、その上ヴァチカン全体を爆破する計画まで進めていた。
    そのために彼等はスイスのCERN(欧州原子核研究機構)から恐るべき破壊力を秘めた“反物質”を盗み出していた。そこ
    でCERNの科学者ヴィットリア・ヴェトラも駆けつけ、ラングドンと協力して事件解決に乗り出すのだが…。
  [寸評]ロン・ハワード監督、トム・ハンクス主演で贈る“ロバート・ラングドン”シリーズ第2弾。教皇選挙(コンクラーベ)が行わ
    れるヴァチカンを舞台に、宗教と科学の数百年にわたる対立の歴史が招いた恐るべき陰謀の阻止に奔走する宗教象徴
    学者ロバート・ラングドンの活躍を綴った内容。3年前に公開された「ダヴィンチ・コード」は宗教を絡めた話についていきれ
    ず、不完全消化状態だったので、関心はあるものの話が理解できるか元来不安であった。今回、(有休を取得して)妻とサ
    イクリングを行っている途中に劇場に立ち寄って鑑賞したが、途中、予想通り、疲れから睡魔が生じた所があり、一部消化
    できなかったのも事実だが、「ダヴィンチ・コード」よりは本作の方が全般的に理解できた。今回は俳優の名前で誰が真犯
    人かミエミエだったので、どんな悪さをするか着目していた。宗教と科学を絡めた話なので難しい面はあるのは前作と変わ
    らないけどね・・・今回の展開は時間との戦いとの事もあり、余りにラングドンがテキパキ解読していく様は名探偵みたいで
    若干、違和感があるが、アクション的な後半の展開はそれなりに見応えがあった。鑑賞後に妻と会話していると、細かな
    所を見落としたり、分かっていない事に気付くのだが・・・・。5/16(土)に「ダヴィンチ・コード」がTV放映されるので、妻とじっ
    くり観る予定でいる。今度は消化できるかな??

28.東京タワー オカンとボクと、時々、オトン (2007年日)<3.5> 
 [監督]松岡錠司
  [出演]オダギリジョー、樹木希林、内田也哉子、松たか子、小林薫、渡辺美佐子、冨浦智嗣、田中祥平
  [時間]142分
 [内容]1960年代、オトンに愛想を尽かしたオカンは幼いボクを連れ、小倉から筑豊の実家に戻ると、妹の小料理屋を手伝い
    ながら女手一つでボクを育てた。1970年代、15歳となったボクは大分の美術高校に入学、オカンを小さな町に残して下宿
    生活を始めた。1980年代、ボクは美大生となり憧れの東京にやって来るが、仕送りしてくれるオカンに申し訳ないと思いな
    がらも学校へもろくに行かず自堕落な日々を送ってしまう。留年の末、どうにか卒業したものの、その後も相変わらずフラ
    フラした生活を送るボクだったが…。
  [寸評]空前のベストセラーとなったリリー・フランキーの同名自伝小説をオダギリジョー、樹木希林主演で映画化した作品。
    若い頃のオカン役を樹木希林の実の娘、内田也哉子が演じていて、第31回(2008年)日本アカデミー賞で最優秀作品賞を
    獲得した話題作ゆえ、5/8にTV放映されたので録画して鑑賞。ボクがガンに冒されたオカンを東京に呼び寄せて面倒をみ
    る事を軸に、幼少からの回顧、オトンや周囲の人達との交流をごく自然に描いた内容。主人公は一時は自堕落になりなが
    らも徐々に挽回していき、全般的にはギスギスしていず、ほのぼのと温かく人々と触れ合う様が描かれているので、気楽
    な感じで観られる。淡々としてはいるが、息子が母を思いやる様、母親の人柄・行動が息子の仲間たちに慕われる様は
    微笑ましくてなかなか良かった。樹木希林は最優秀主演女優賞を獲得しただけあって非常に上手い演技だった。本作品
    は人間の温かみを描いた事が評価されて最優秀作品賞となったのだろうが、私的には競いあった「それでもボクはやって
    いない」「キサラギ」「ALWAYS 続・三丁目の夕日」の方が面白かったな・・・

29.重力ピエロ (2009年日)<4.0> 
 [監督]森淳一
  [出演]加瀬亮、岡田将生、小日向文世、吉高由里子、岡田義徳、渡部篤郎、鈴木京香
  [時間]119分
 [内容]泉水と春は、優しい父と今は亡き美しい母の愛情に包まれて育った仲の良い兄弟である。兄の泉水は遺伝子の研究
    をする大学院生で、弟の春は、街中の落書き消しの仕事をしている。彼らが暮らす仙台市内は、頻発する連続放火事件
    に揺れていた。ある時、春は、放火現場の近くに必ず謎のグラフィティアートが描かれている事に気づく。事件との繋がり
    を直感した春は、泉水を誘って夜の街で張り込みを開始するのだが…。
  [寸評]切なくも感動的な一家族の絆を綴った伊坂幸太郎の同名ミステリー作品の映画化。仙台を舞台に、連続放火事件と
    その現場で見つかるグラフィティアートの謎を追う兄弟が、やがて家族にまつわる哀しい過去と向き合っていく様を、家族
    の愛を軸に情緒的に描いた内容。加瀬亮が出演し、重苦しそうな話という事で注目していて公開日初日に妻と劇場で鑑
    賞した。前半はやや淡々としていたが、段々と深みを増し、物悲しく重苦しい話となっていく。本作品はほとんど主要人物
    6名で演じられていると言ってよい。皆が上手くはまっていて見せてくれる。小日向文世の若い頃の髪の毛がたくさんある
    様はニヤニヤさせてくれる。しかし、小日向文世が、本作で一番熱演し、彼の迫力ある演技はインパクトがあった。彼の苦
    渋の告白には奥深い真意があったのだろうか?これは原作ではどう表されているのか興味がある。それにしても渡部篤
    郎が演じた”類の人”は反省・後ろめたさを感じないものか?どうしてそうした心境たるものか想像し難く悲しくなる。見応え
    のある作品だが、観終わった後には悶々とした重苦しさ感が残った。

30.スター・トレック STAR TREK (2009年米)<3.5> 
 [監督]J.J.エイブラムス
  [出演]クリス・バイン、ザカリー・クイント、エリック・バナ、ウィノナ・ライダー、ゾーイ・サルダナ、カール・アーバン
  [時間]126分
 [内容]ジェームズ・T・カークは、突然の非常事態に見舞われる惑星連邦軍戦艦USSケルヴィンの中で生を受けた。この時、
    キャプテン代理を務めていた彼の父は、自らが犠牲となり800人のクルーを救った。22年後、無軌道な青春時代を送った
    青年カークは、未だ将来を見出せずにいた。そんなある日、父の壮絶な最期を知る惑星連邦艦隊のパイクと出会う。新型
    艦USSエンタープライズの初代キャプテンであるパイクから“父親を超える男になってみろ”との檄に突き動かされ、艦隊
    に志願する。それから3年、優秀な能力を発揮しながらもトラブルが絶えないばかりに士官への壁を越えられずにいたカー
    クは、ある時、緊急事態の発生で同期の仲間達が出動していく中、謹慎中のために待機となるカークだったが、友人の機
    転でUSSエンタープライズに潜り込む事に成功する。そこには、サブ・リーダーとして搭乗しているバルカン人と地球人の
    混血人のスポックもいた。バルカン人特有の論理的で冷静沈着なスポックと直感で行動するカークは互いに相容れない存
    在として、事あるごとに対立してしまうが…。
  [寸評]1966年に創作されたTVシリーズ「スター・トレック/宇宙大作戦」を基に再構築し、主人公カーク達の青年期に焦点を
    あて、無限大の宇宙や未知なる文明との遭遇、経験を通して成長していく姿を描いた作品。「スターウォーズ」は観るもの
    の、「スター・トレック」シリーズは有名でありながら観てこなかった。(1984年に「インディ・ジョンズ魔宮の伝説」と同時上
    映された「スター・トレック3/ミスター・スポックを探せ!」を観たが、スポックの風貌しか覚えていない)「バットマン」を再構
    築した「バットマン・ビギンズ」「ダークナイト」が面白かっただけに「スタートレック」の世界に踏み入れるか!と期待をこめ
    て鑑賞。カークやスコットの生い立ちや出会いを描いていて、ブラックホールは出るわ、怪獣から追われまくるシーンはあ
    るわ、宇宙船は格好良いわで、久しぶりにSF映画を大画面で観てワクワクした気持ちを味わえた。不肖な事に、途中、睡
    魔が襲ってきて、台詞を見落としたりした事もあり、後半のカークが未来にテレポートして、まだ戻ってくる展開は混乱して
    しまい、若干不完全燃焼気味になったのが心残り・・・。あのテレポートは上手く私がついていけていないだけ??全体的
    には楽しいSF娯楽作品といえます。

                              一覧へ  前頁ヘ  次頁ヘ