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6.誰も守ってくれない (2008年日)<4.0>
[監督]君塚良一
[出演]佐藤浩市、志田未来、松田龍平、石田ゆり子、佐々木蔵之介、佐野史郎、木村佳乃、柳葉敏郎
[時間]118分
[内容]ある日突然、船村家の未成年の長男が小学生姉妹殺人事件の容疑者として逮捕されてしまった。両親と15歳の
妹・沙織は状況も分からぬままマスコミの好奇の目に晒され、激しいバッシングに追いつめられていく。そんな中、刑
事の勝浦は容疑者家族の保護という任務を命じられる。さっそく保護マニュアルに則り所定の手続きが進められ、
三人別々に保護するため、同い年の娘を持つ勝浦が沙織を担当する事になった。しかし、沙織を匿おうと懸命に手を
尽くす勝浦だったが、マスコミはその度に居場所を嗅ぎつけ執拗に沙織を追いかけ回す。やがて勝浦は、東京を離
れ、ある場所へ向かうのだったが…。
[寸評]社会的に注目を集める殺人事件を巡って巻き起こるネットの暴走やマスコミ報道のあり方を、警察による容疑者
家族の保護という新たな切り口で問い直す社会派作品。突然、兄が殺人犯となった事から追いつめられていく少女と
彼女を世間の非情な視線から守る事を命じられた刑事が繰り広げる過酷な逃避行の行方を描いた内容。映画公開の
初日の1/24(土)の夜にフジテレビで本作品の4ヶ月前から始まる「誰も守れない」という2時間ドラマが放映されたの
で妻と鑑賞した。ドラマは被害者家族を守る観点で描かれていて、本作品の冒頭につながる形になっている。ドラマを
観てから映画の本作品にのぞむのがよいと思う。(そうでないと木村佳乃演じる精神科医の位置付けがよく分からな
いのでは・・・)それにしても本作品は非常に重かった。最初から最後まで飽きる事なく観れるが、警察、マスコミ、闇ネ
ット等社会のダークな部分を浮き彫りにしていて決して心地良くない。友人が助けに来たと思いきや、陥れにきた!と
いうシーンがあったが、現実に世相を反映しているにしても何だか物悲しくなった。演技派の俳優が揃っていて、
各々が良い持ち味を出していると思うし、柳葉敏郎が演じたペンションのオーナーが激高するシーンと夫婦で手を握っ
てある事を報告するシーンが印象的だった。良い作品ではあるが、ともかく重苦しい内容だった・・・
7.ラストエンペラー/ディレクターズカット THE LAST EMPEROR (1987年伊・英・中)<4.0>
[監督]ベルナルド・ベルトルッチ
[出演]ジョン・ローン、ジョアン・チェン、ピーター・オトゥール、坂本龍一、デニス・ダン、ヴィクター・ウォン
[時間]219分
[内容]わずか3歳で清朝皇帝の地位につきながらも、近代化の嵐にもまれ、孤独な日々を送らざるを得なかった溥儀。彼
が即位してから文化大革命以降に至るまで、文字通り、激動の生涯を送る・・・
[寸評]1988年に劇場公開(163分)され、当事、大学4年の私は本作品を鑑賞した。アカデミー賞で、作品・監督・脚色・撮
影・美術・衣装デザイン・編集・オリジナル作曲・録音賞の受賞と、ほぼ総嘗めにしてしまい、話題になった。映画を観
たのも少しばかり影響し、大学卒業旅行で中国を訪れ、紫禁城には圧倒され、景山公園から見た紫禁城の光景は
私の生涯で観た景色の中でも最高級のものである。20年後の昨年1月に妻子・母と北京を訪れ、紫禁城を再度訪れ
(その時は北京の発展具合に度肝をぬいた・・)、帰国後、妻と劇場公開版をレンタルDVDで観た。56分の映像を追
加したディレクターズ・カット版を探し求めていたが、昨秋、DVDが発売されたので購入し、ようやく鑑賞した。56分の
映像が入ると別の映画を観ている感覚になる。追加映像では溥儀の幼少時代や天津でのエピソードが詳しく描かれ
ている。それにしても溥儀の人生は非常に不憫な感じがしてならない。3歳で皇帝の地位につくものの、飾りにすぎ
ず、城の外では別の動きが行われているわ、妻も不幸にしてしまうし、教官から”昔は最高の人物だったかもしれな
いが、今は最低の人物だ!”などと言われてもしまう。中国独特の激動の歴史の流れに翻弄された溥儀を描いた
大作で良く出来ているし、坂本龍一の音楽も非常に素晴らしい。しかし、216分になっても、まだまだ理解し難い所も
多いのも正直なところ・・・。私自身が歴史を勉強しないといけないか・・・
8.マンマ・ミーア! MAMMA MIA! (2008年英・米)<4.0>
[監督]フィリダ・ロイド
[出演]メリル・ストリーブ、ジュリー・ウォルターズ、クリスティン・バラスキー、アマンダ・セイフランド、ピアース・ブロスナン
[時間]108分
[内容]ギリシャの美しいリゾート地、カロカイリ島で小さなホテルを営む母ドナと2人暮らしのソフィは、恋人スカイとの結
婚式をいよいよ明日に控えていた。またそんな彼女には、“父親と結婚式のヴァージン・ロードを歩きたい”という密か
な夢があった。しかし、母子家庭で育ったソフィは未だに父親が誰なのかを知らない。そこで母の昔の日記から、父
親であろう3人の男性、建築家のサム、銀行マンのハリー、冒険家のビルを探り当て、ドナに内緒で結婚式の招待状を
送ってしまっていた。やがて、道中鉢合わせた3人が揃って到着。ソフィは結婚式のサプライズのため、ドナの目が届
かない場所に彼らを匿う。ところが、ドナが偶然3人を目撃してしまった事を機に、様々な問題が湧き起こっていく…。
[寸評]往年の人気ポップグループABBAのヒットナンバーで構成され世界中でロングランとなった傑作ミュージカルを映画
化したロマンティック・コメディ。ギリシャのリゾート地を舞台に、結婚式を目前に控えた娘とその母親をめぐる24時間の
一騒動を歌と踊りで陽気に綴った作品。劇団四季のミュージカルの名古屋公演が終演間近で結局観に行けずじまい
なので、映画化された本作品は見逃すまいと公開日2日目に早々に鑑賞した。一言で言うと”安心して楽しめる心地
良い映画”である。ABBAのメロディが素敵なんだな・・・中学生の時に流行っていたが、当事は余り興味がなかったが
劇中に流れた曲はどれも良かった。ドラマの展開も、最初はどうなるかと思いきや、シンプルで収まる所に収まってい
くコメディ・タッチだ。最近、仕事等で疲れ気味ゆえ、本作品を観て、良い気分になった。米国で大ヒットとなった本作品
のCDを購入したい。それにしてもメリル・ストリーブは元気だよな。彼女がこんな役もやるとは凄い!007役を演じた
ピアース・ブロスナンまでが歌ってしまうが、彼の歌はイマヒトツだったかな・・・
9.旭山動物園物語 ペンギンが空をとぶ (2009年日)<3.5>
[監督]マキノ雅彦
[出演]西田敏行、中村靖日、前田愛、堀内敬子、笹野高史、長門裕之、塩見三省、六平直政、岸部一徳、柄本明
[時間]112分
[内容]北海道旭川市市営の“旭山動物園”に新たにやってきた吉田は飼育係を担当する。人付き合いが苦手な彼を、園
長の滝沢以下ベテラン・スタッフ達が温かく迎える。しかし、客足が伸びず、長年の財政赤字に苦しむ旭山動物園の置
かれた状況は非常に厳しいものだった。それでも園長の指揮の下、飼育係達は動物園を魅力あるものにしていくべく
様々なアイデアを実行に移していく。そして次第に活気を取り戻していくが、ある事件をきっかけに、ついに閉鎖の危機
を迎えてしまう・・・
[寸評]様々な創意工夫を凝らした展示方法で今や全国的に人気を博す動物園となった“旭山動物園”の成功までの苦難
の道のりを描いた作品で“旭山動物園”ファンの私にとっては楽しみにしており、公開初日の初回上映で鑑賞。(NHK
の「プロジェクトX」で取り上げられていた事を契機に関心を持ち、本・DVDに幾つか目を通し、07年8月に動物園に妻子
と訪れた)動物の様子・表情をたくさん映し出しており、文部省選定の子供・家庭向という事もあり、無難に楽しめる作
品にまとめてある。今や世の中は未曾有の不況で、新聞を見ていても暗い話ばかりだが、本作品で描かれている
(実話)ように、逆境の中で頑張る姿が身にしみた。「止まない雨はない。嵐は去る・・・」オバマ大統領の言葉とダブル
が、粛々と頑張らないといけないんだよね・・・旭山動物園が立ち直り、全国区になったのは、皆の斬新な発想と試行
錯誤の繰り返しによるものだが、イマヒトツ残念だったのが、斬新な発想を基に施設を作りこんでいく様を見せてほし
かった。(撮影上、やむを得ないが、いきなり現在の施設が映し出されたから・・・)エンディングで現在建設中の「オオ
カミの森」が登場したが、機会あれば、じっくりと動物園を回りたい。07年8月は混んでいて、それなりに回ったものの
不完全燃焼だったから・・・。
10.13日の金曜日 FRIDAY THE 13TH (2009年米)<2.5>
[監督]マーカス・ニスベル
[出演]ジャレッド・バダレッキ、ダニエル・バナベイカー、アマンダ・リゲッティ、トラヴィス・ヴァン・ヴィンクル
[時間]97分
[内容]クリスタル・レイクはかつて美しい自然に囲まれ、若者達に人気のキャンプ場だった。ところがある日、一人の少年
が湖で溺死するという事故が起き、キャンプ場は閉鎖される事になる。それから数十年後、キャンプ場が再開された。
しかし、ほどなくしてそこを訪れた若者の一行が行方不明になってしまう。更に、その事態を知る由もないジェナ達の
大学生のグループがキャンプ場にやって来る。一方、行方不明となった妹ホイットニーを探すためクリスタル・レイクに
青年クレイが向かう。彼は現地で知り合ったジェナの協力のもと、わずかな手掛かりから妹の捜索を開始する。だが
そんな中、彼らをつけ狙うがごとく、一人の大男が森の中をうごめいていた…。
[寸評]1980年代に登場し、数多くのシリーズとブームを生み出した作品を、ヒットメーカー、マイケル・ベイの製作により
新たに書き起こしたホラー。有休ではなく、減産による会社一斉休業日(しかも13日の金曜日)に本作品を妻と劇場で
鑑賞。私も妻も「ベンジャミン・バトン数奇な人生」を観るか迷ったあげく、怖いもの観たさで選択してしまったが、今回
の選択は誤ったなあ・・・。昔、同名作品を観た記憶がおぼろげにあるが、ここまで残虐だったかな?ともかくジェイソ
ンが只の狂人であり、ひたすら殺人を繰り返すだけの内容だ。正直、途中で脱出したくなったが、ファイティング・ポー
ズを取りながら何とか耐え切った。ホラーに関心のある妻も流石に本作品には参ったようで、後半は目をつむってい
たとの事。更に後席のマナーの悪い人の席を蹴られまくったようだ。共に鑑賞後、車の中で疲労がどっと出た。性描写
もあり、残虐すぎて子供にはとても見せられません・・・残虐映画はスクリーンで観るのは遠慮しておこう。
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