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1.キッド THE KID (2000年米)<4.0> 
 [監督]ジョン・タートルトーブ
  [出演]ブルース・ウィリス、スペンサー・ブリスリン、エミリー・モーティマン、リリー・トムソン、シャイ・マクブライド
  [時間]104分
 [内容]独身のラスは優秀なイメージ・コンサルタントで、著名人にイメージ・アップのためのアドバイスをしている。ある夜、
    ラスは自宅で小さな男の子を目撃する。その時は見失ってしまうが、翌日、もう一度その少年に出会ったラスは、少年
    が昔のラス=ラスティであると知る。二人で話をしているうちに、ラスは今の自分が子供の頃の夢をひとつも叶えてい
    ない事に愕然とする。そして、ラスティにもうすぐ訪れる8歳の誕生日が最悪なものであった事を思い出す……。
  [寸評]今年の初見作品は元旦にムービープラスで放映された本作品。以前、童門冬二氏の著書「人生で大切なことは
    映画で学んだ」で本作品が紹介されていてマークしていた。銃を持ってひたすら走り回るイメージの強いブルース・ウィ
    リスだが、本作品ではいつもと違う役柄を演じている。ひたすら時間に追われ、優しさも見失った40歳間近となったラス
    が、8歳間近の昔の自分と対峙し、本来の自分を取り戻していく、という現実離れした幻想的な話ではあるが、最後の
    オチが実によく、心温まる内容だった。”人生は長い。途上で色々あるにしても、最後に理想的な姿になっていれば
    よいではないか!”というメッセージが汲み取れる。未曾有の不況という厳しい環境にあるが、本作品は多くの人に勇
    気を与えてくれるのではないか。好みは分かれるかもしれないが、年頭に鑑賞するに相応しい心地よい作品です。

2.ツォツィ TSOTSI (2005年南ア・英)<3.0> 
 [監督]ギャヴィン・フッド
  [出演]プレスニー・チェニエハエ、テリー・フェト、ケネス・ンコーティ、モツスイ・マッハーノ
  [時間]95分
 [内容]南アフリカ、ヨハネスブルクの旧黒人居住区ソウェトのスラム街。アパルトヘイトの爪痕が今も残るこの街に、誰にも
    本名を明かさず、不良を意味する“ツォツィ”を名乗る一人の青年がいた。彼とその仲間達は暴力や窃盗を繰り返し、
    時には殺人さえ躊躇わない無軌道な毎日を送っていた。そんなある日、ツォツィは女性が運転するBMWを目にすると
    持っていた銃で女性を脅し車を奪う。なおも追いすがる女性に銃弾を浴びせ、そのまま奪った車で逃走するツォツィ。
    しかし、後部座席には生後数ヵ月の赤ん坊が乗っていた。車を乗り捨て、一度は置き去りにしようとしたツォツィだった
    が、思い留まって泣き叫ぶ赤ん坊を抱き上げるのだった。
  [寸評]2006年のアカデミー外国語映画賞に輝いた作品で11月にBS放送で放映されたので録画しておき、1/2に”キッド”
    に引き続き鑑賞。南アフリカのスラム街で暴力と犯罪にまみれた無軌道な人生を送る一人の黒人青年が、思いがけ
    ず生まれたばかりの赤ん坊を拾ってしまった事で初めて人間的な感情に目覚めていく姿を、南アフリカの過酷な現状
    と共に描いた内容。過激な暴力・犯行シーンもあり、ストーリー的にも決して心地良いのもではないが、南アフリカの
    映画を初めて観たし、国の雰囲気、スラム街の状況が映し出されていたので新鮮ではあった。主人公の青年はひどい
    悪者ではあるが、赤ん坊との触れ合いの中から、僅かながらも人間性を発揮させていく。しかし、青年に赤ん坊を奪わ
    れ、最後に取り戻せるにせよ、銃撃されて足が不自由になってしまった母親の事を考えるといたたまれない。本当に
    暴力がない、人を労われる社会にならないものか・・・

3.ミーアキャット THE MEERKATS (2008年英)<3.5> 
 [監督]ギジェームズ・ハニーボーン
  [出演]<ナレーション>ポール・ニューマン(日本語版:三谷幸喜)
  [時間]83分
 [内容]日光浴のために後ろ足と尾で直立する愛嬌あるポーズが印象的な小さな野生動物、ミーアキャットが、アフリカ・カ
    ラハリ砂漠の過酷な自然環境の中で生き抜いていく生態を、“ロコ”と名付けられた幼い子供のミーアキャットの成長
    の物語になぞらえ、驚異の映像の数々と巧みな編集でエキサイティングに紹介していく自然ドキュメンタリー。
  [寸評]「ディープ・ブルー」「アース」のBBCならではの映像技術でアフリカの大自然の驚異を綴る内容とあれば、自然ドキ
    ュメンタリー・シンパの私が見逃す手はない。妻と一姫が(一姫が師事している)ピアノの先生が出演する演奏会に行
    く間に、二太郎と男同士で劇場で鑑賞。2008年9月、惜しまれつつこの世を去った名優ポール・ニューマンがナレーシ
    ョンを担当して遺作となった事が話題となっているが、私達が観たのは日本語吹替版で、ナレーションは(初挑戦!)
    脚本家の三谷幸喜が担当している。二太郎と行く際、母にも声をかけたが、遠慮する、という事だった。大のヘビ嫌い
    の母(私もだが・・・)にとって観なくて正解であった。コブラから追われ、仲間と連携して威嚇するシーンがなかなか長
    くてまともに観るのが辛い。ミーアキャットはマングースの一種で大きさは生後7cm、大きくなっても30cmという小柄な
    生物で、ミーアキャットの視点でとらえているため、他の動物を大きく見せているし、昆虫や蠍までアップ映像なのは
    ビックリした。自然界で生き抜く大変さを本作品も語っているし、カラハリ砂漠は気温70℃にもなる灼熱地獄で、よくス
    タッフはこんな映像を撮影するものだと(毎度ながら)感心させられる。コンパクトにまとめられたマズマズの内容でし
    た。

4.007/慰めの報酬 QUANTUM OF SOLACE (2008年英・米)<4.0> 
 [監督]マーク・フォースター
  [出演]ダニエル・クレイグ、オルガ・キュリレンコ、マチュー・アマルリック、ジュディ・デンチ、ジェフリー・ライト
  [時間]106分
 [内容]何者かの陰謀によって愛するヴェスパーを亡くし、復讐を誓ったボンドは、彼女を操っていたミスター・ホワイトを
   捕らえ、真相を究明すべく尋問する。そして、彼の背後には世界中の有力者や諜報機関をも取り込む巨大な組織が存
   在している事を知った。その調査のため、まずハイチに向かったボンドは、そこでカミーユという謎めいた女性と出会う。
   更に彼女を通じて組織の幹部ドミニク・グリーンを突き止める。グリーンの表の顔は、環境保護のため土地を買収する慈
   善団体“グリーン・プラネット”のCEO。しかし、その裏では、ボリビアの土地に眠る貴重な天然資源の独占を目論み、そ
   れを機に世界支配を企んでいたのだ・・・。
  [寸評]シリーズ第22作。前作「カジノ・ロワイヤル」のエンディングの1時間後から始まるというシリーズで初めての続編。
   初めて運命を感じた女性を失い、復讐心に駆られたボンドが、諜報員である自らの使命との間で揺れながら闇の組織
   へ立ち向かっていく内容。本作品を観るには「カジノ・ロワイヤル」を観て復習する必要があると思っていた。先行上映
   の土曜日の午前中は子供達は部活動があり、午後、二太郎の習い事の送迎の間に上映時間が見事にはまっている
   事から、妻と午前中に「カジノ・ロワイヤル」のDVDを鑑賞し、午後、本作品を劇場で鑑賞した。(正に007デー!)
   確かに正統な続編で、前作を観ていない人は訳分からないのでは・・・。前作よりアクション・シーンがパワーアップし
   ていて見応えはあるし、ダニエル・クレイグが痛々しくも感じる。ボンド・カーの武器や小道具が全く使われないのは、
   やや寂しい(Qが懐かしい)が、その分、肉弾戦で見せてくれる・・今回は復讐心もあって、ボンドがやたらと人を殺す
   (手掛かりになるので情報を吐かせれば・・・と思ったし、Mもそう責めるが・・・)ので従来と違って横暴な感じもした。
   時折、話がややこしく感じるが、ボンドとカミーユの復讐劇のお話でアクション・シーンを楽しむ感覚で望めばいいと思
   う。ヴェスパーの元彼氏は予想通りであったな・・・本作は前作と併せて観るのがオススメです。最後のテロップに
   「JAMES BOND WILL RETURN」と表記されていたので、次の新作が楽しみだ。

5.ザ・ムーン IN THE SHADOW OF THE MOON (2007年米)<4.0> 
 [監督]デヴィッド・シントン
  [出演]月へ行った宇宙飛行士達
  [時間]100分
 [内容]1969年、アポロ11号が人類史上で初めて月に降り立った。以来、最後のミッションとなった1972年のアポロ17号
    まで、12人の宇宙飛行士がその月面を体験した。しかし、未だ月面に降り立った人間はその12人のみである。そん
    な科学の進歩を一足飛びしたかのような奇跡の偉業を成し遂げた“アポロ計画”の全貌を、同プロジェクトに関わっ
    た10人の宇宙飛行士たちの貴重な証言と、NASA秘蔵の驚異の映像の数々で綴るドキュメンタリー。
  [寸評]待望の月面着陸等に関わるプロジェクトを描いたドキュメンタリー。当初は妻と2人で鑑賞しようと思っていたが、東
    宝シネマで1/18(日),1/25(日)の朝1,2回目の上映は親子で入場の場合、大人1,000円、子供500円となる事が分かっ
    たので,1/25(日)の朝1回目の上映を皆で鑑賞。子供達にとって初の字幕表示映画の挑戦となったが、小4の二太郎
    には辛く睡眠モードになったようだ。月へ行った宇宙飛行士達が色々な証言を行い、数多くの今までに目にした事にな
    い貴重な映像が映し出され、眠くなる要素もあるが、刺激的で感銘させられる。あの時代に、よくそこまで成し遂げる
    ものだ、と思うし、当事の米国は凄かったんだと実感する。月面を最大時速17kmで走行している様子、宇宙船の窓か
    ら見える宇宙空間、月面からのあの有名な地球の映像は特に印象深いし、これを観れただけで価値はあると思う。
    月面着陸は”ヤラセ”だったという噂が流れた事も初耳だった。月を体感した宇宙飛行士達の話す言葉は重みがあり、
    敬意を表する。DVDが発売される際、更に貴重な特典映像が付いたら買いなのだが・・・。本作品を観たら、妻と1995
    年に鑑賞した「アポロ13」が急に観たくなり、翌日にDVDを購入してしまった。

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