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61.ブタがいた教室 (2008年日)<4.5> 
 [監督]前田哲
  [出演]妻夫木聡、26人の子供達、大杉漣、田畑智子、大沢逸美、戸田菜穂、原田美枝子
  [時間]109分
 [内容]6年2組の担任となった熱血新米教師の星先生は、ある大胆な授業を計画していた。それは、生徒達に生きている
    ものを食べるという事に真剣に向き合ってもらおうと、最終的に自分達で食べる事を目的に、1年間クラスでブタを飼育
    してみようというもの。星先生の熱意が伝わり、校長から学校でブタを飼う許可も無事取り付け、星先生と26人の生徒
    達によるブタの飼育が始まる。生徒たちは子ブタを“Pちゃん”と名付け、一生懸命世話して可愛がるようになるのだっ
    たが…。
  [寸評]1990年に大阪の小学校で実際に行われ賛否両論を巻き起こした授業を映画化。食育といのちの大切さをテーマに
    “子ブタを自分達で飼育し自分達で食べる”という実験的な実践授業に挑んだ新任教師の星先生と26人の生徒達の1年
    間を見つめ、最終的にブタの処遇を巡ってクラスを二分して白熱の議論を戦わせるさまをドキュメンタリー・タッチで綴っ
    た作品。朝の「めざましTV」で本作品の特集をやっていて、主演の妻夫木聡のインタビューや子供達が議論していて
    本当に泣き出した、という話を聞いて、正に6年生の一姫、4年生の二太郎を連れて一緒に観たいと思った。一姫も特集
    を一緒に観ていて強く関心を持ったようで、妻子と鑑賞。子供達の議論時での発言は、どれも正統な事を言っている。
    あれだけ魂を込めて考え、議論する事自体が貴重で意義があると思う。星先生の当初の真意と結論を導いた本人の中
    でのプロセスを聞きたかった。この作品に対する感じ方は色々と異なるだろうが、子供達が真剣にPちゃんと向き合い、
    議論する様は現在の多くの子供達にも参考に見せるべきかと思う。我が家の一姫二太郎も「観て良かった」と言ってい
    たし、私や妻にとっても心に残る良い作品だった。

62.ブラブラバンバン (2007年日)<2.5> 
 [監督]草野陽花
  [出演]安良城紅、福本有希、岡田将生、足立理、近野成美、徳永えり、藤村俊二、森本レオ、原日出子、宇崎竜童
  [時間]93分
 [内容]高校に入学したばかりの白波瀬歩は、放課後、音楽室で一人でホルンを吹く芹生百合子と出会う。彼女に合わせて
    トランペットを吹くと、芹生は突然歩を押し倒し制服を脱がし始めるのだった。慌てて逃げ出した歩は、翌日、彼女が音楽
    で気持ちよくなると無意識に発情してしまう特異体質だと知る。そこで歩は、ちょっとした下心を忍ばせつつ、芹生のため
    に、つぶれかけた吹奏楽部の再建に乗り出し、急ごしらえのメンバーでコンクール出場を目指すのだったが…。
  [寸評]週刊ヤングサンデーに連載された柏木ハルコの同名コミック(未読)を映画化した青春音楽ムービー。高校の弱小
    吹奏楽部を舞台に、内気な男子高校生と音楽に昂揚すると我を忘れてエッチな行動に出てしまうヒロインを中心に個性
    豊かな部員達が繰り広げる青春模様を描いた内容。一姫二太郎が現在、小学校の金管バンド部に所属し、一姫はトロ
    ンボーンを、二太郎がアルトホルンを演奏しているので、ブラバン物というと愛着があり、チャンネルNEOで放送されたの
    で録画して鑑賞。(一部、余り子供にはよろしくないシーンもあるが、一姫は既に観てしまっていた!)「スウィングガー
    ルズ」「うた魂」系に比べると、目指す所が定まっていないし、関係人物の描き方も浅薄だ。最後に盛り上がる(盛り返
    す)のも、この種の作品のパターン通りで手堅いのだが、何であの演奏が出来るんだ!いつ練習したんだ!というワザと
    らしさ感がある。青春物という事で、そこそこ観られるものの、期待が大きすぎたかな?TV録画で観て正解だった。安良
    城紅の女子高生には余りに無理があるような気がする。

63.ハッピーフライト (2008年日)<4.5> 
 [監督]矢口史靖
  [出演]田辺誠一、時任三郎、綾瀬はるか、吹石一恵、田畑智子、寺島しのぶ、岸部一徳、笹野高史、ベンガル
  [時間]103分
 [内容]機長昇格を目指す副操縦士の鈴木和博は、いよいよ乗客を乗せた実機での最終訓練に挑もうとしていた。そんな彼
    が乗り込む飛行機は、ホノルル行き1980便。ただでさえ緊張しているのに、試験教官が威圧感バリバリの原田教官に
    急遽変更となった事で、その緊張は更に増す。一方、同じ便にはこれが国際線デビューとなる新人キャビンアテンダント
    (CA)、斎藤悦子が搭乗するそんな中、空港カウンターではグランドスタッフの木村菜採が乗客のクレーム対応に追われ
    更に整備場でも若手整備士が離陸時刻に遅れまいと必死のメンテナンスを続けていた。他のすべてのスタッフもまた、
    1980便を定刻に離陸させ、ホノルルまで安全に運行できるよう、各々の持ち場で懸命に仕事をこなしていたのだが…。
  [寸評]「ウォーターボーイズ」「スウィングガールズ」の矢口史靖監督が航空業界の舞台裏を題材に描くエンタテインメント・
    アンサンブル・ドラマ。飛行機1回のフライトに携わる多種多様なスタッフ各々にスポットを当て、スタッフ達が織りなす様々
    なエピソードを描いた作品。私にとって、今年の日本映画の最大の期待作で、子供達が最初に搭乗したのがANAの飛行
    機(06年3月の沖縄旅行)ゆえ、ANAが全面協力している事もあり、妻子と一緒に公開初日に鑑賞。期待通りの最初から
    最後まで、抜け目無く爽快に楽しめる作品だ。過去2作も面白いが、途中でアラや気になる所はあったが、本作は、完成
    度が高いと思う。ここ3年に限れば、飛行機に乗る機会があったので、各スタッフの仕事の舞台裏の描写は、親近感を持
    って観れたし、臨場感いっぱいで楽しめた。綾瀬はるかの茶目っ気や可愛らしさは良かったし、笹野高史のユーモアに
    も笑えた。印象的だったのは、寺島しのぶ演じるチーフパーサーが厳格ながらも、ここぞの時に部下を守る様、岸部一徳
    演じるオペレーション・ディレクターが、日頃はIT音痴でダラダラしているのに、ここぞの時に統率して的確な判断をする
    様だ。やはり上司はああでなければ・・・・(自分は?というと???)。観る人各々によって、捉え方は分かれるだろうが、
    無難に楽しめる本年屈指のオススメ作品です。今からDVDの特典映像を楽しみにしている。

64.犯人に告ぐ (2007年日)<3.0> 
 [監督]瀧本智之
  [出演]豊川悦司、石橋凌、小澤征悦、笹野高史、片岡礼子、井川遥、松田美由紀、石橋蓮司
  [時間]117分
 [内容]巻島刑事は、6年前、誘拐事件で犯人を取り逃した末、人質の少年を殺された責任を取らされ左遷された。ある日、
    彼のもとに神奈川県警時代の上司で現・県警本部長の曾根から連絡が入る。巻島に、難航している川崎連続児童殺人
    事件の捜査責任者となり、テレビで視聴者に情報提供を呼びかける大役を任せるという。早速、生放送のニュース番組
    に出演した巻島は、突然“BADMAN”と名乗る犯人に直接、語りかけ始め、犯人を挑発する。案の定、視聴者からは抗
    議の声が殺到するが、番組の視聴率は上昇し、報道は過熱していくが・・・。
  [寸評]雫井脩介の同名ベストセラー小説を映画化したサスペンス・ミステリー。連続児童殺害事件の捜査を任された刑事
    が、テレビを使った前代未聞の“劇場型捜査”で犯人を追い詰めていく中、地位や名誉を優先する警察幹部や視聴率至
    上主義に走るマスコミの各々の思惑が複雑に絡み合っていく様子を描いた作品。レンタルDVDででも観たいと思ってい
    たらTVで放映されたので、妻と現在、観ている日曜日の連続ドラマ「スキャンダル」より優先して鑑賞。(「スキャンダル」
    は録画しておき、本作品の後に引き続き鑑賞)TVの2時間ドラマとして観るにはマズマズだが、映画としてどうかな?とい
    う感じだ。警察内部のしがらみ、出世を意識した混沌した様を全面に出している。犯人側の描き方をもうひと工夫してほし
    かったな(原作がどうか分からないが・・・)。冒頭の被害者家族が最後の最後にああいう形で出てくるのは何となく予感し
    ていたが・・・。真面目に取り組んでいる警察の方は本当に大変な仕事だと思う。欲にかられて変な方向ばかり見ている
    輩(どこの社会・会社にもいるが・・・)は不快だった。最後に巻島が”かっと眼を見開いた”のは何を意味するのだろう?
    世の中、未曾有の不景気になりつつあるが、変な犯罪が増えていかないように切に願っている。

65.1408号室 1408 (2007年米)<3.5> 
 [監督]ミカエル・ハフストローム
  [出演]ジョン・キューザック、サミュエル・L・ジャクソン、メアリー・マコーマック、トニー・シャルーブ
  [時間]104分
 [内容]超常現象を一切信じないマイク・エンズリンは、幽霊や怪奇現象が噂されるスポットを訪ね歩いては、その体験を文章
    にまとめるオカルト作家である。ある日、そんな彼のもとに“1408号室には入るな”と書かれた謎めいたポストカードが届
    く。絵柄はニューヨークにあるドルフィン・ホテルのものだった。興味をそそられたエンズリンだったが、ホテル側は1408
    号室の宿泊に異常な拒絶反応を示す。支配人はエンズリンに、1408号室の宿泊客で1時間以上もった者がいない事、
    その犠牲者は56人にものぼるという驚愕の事実を明かして、宿泊を思い留まるよう説得する。しかしそれを聞き、ますま
    す興味をかき立てられたエンズリンは、支配人の再三の忠告を無視して、ついに1408号室へと足を踏み入れるのだった
    が…。
  [寸評]スティーヴン・キングの短編ホラーをジョン・キューザック主演で映画化。超常現象を疑い、呪われた部屋として知ら
    れる“1408号室”に宿泊して、その謎を解明しようとした主人公に襲いかかる想像を絶する恐怖を描いた作品。「アイデン
    ティティ」の印象が強烈なジョン・キューザックがスティーヴン・キングの原作に出演する、という事で関心を持ち、妻と
    鑑賞。(有休の日に上映映画館までサイクリング(1時間強)して鑑賞予定もあいにくの雨であった)サミュエル・L・ジャク
    ソンが支配人として登場するので、色々と絡み合うのかと思ったが、ほとんどが、ジョン・キューザックが超常現象と悪戦
    苦闘する独り芝居だ。彼の演技は、やはり上手い。話の内容は、よくよく振り返ると分かったような分からないような感じ
    だが、彼の演技と幾つかの超常現象にビックリ(睡魔が襲い掛かってきてもパッと眼が覚める!)するだけでも観る価値
    はあったと思う。ビルの向かいに助けを求めた時の、その反応、屋根裏伝いの脱出の試み等の場面は新鮮で印象的だ
    った。スティーヴン・キングの原作の映画は幾つか観ているが、原作は直に読んだ事がない。原作と対比して、本作品は
    どれだけ描写しきれているのだろうか?

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