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51.おくりびと (2008年日)<4.5>
[監督]滝田洋二郎
[出演]本木雅弘、広末涼子、山ア努、余貴美子、吉行和子、笹野高史、杉本哲太、峰岸徹
[時間]130分
[内容]チェロ奏者の大悟は、所属していた楽団の突然の解散を機にチェロで生きていく道を諦め、妻を伴い、故郷の山形
へ帰る事にした。早速、職探しを始めた大悟は、“旅のお手伝い”という求人広告を見て面接へと向かう。しかし旅行代
理店だと思ったその会社の仕事は、“旅立ち”をお手伝いする“納棺師”というものだった。社長の佐々木に半ば強引に
採用されてしまったが、世間の目も気になり、妻にも言い出せないまま、納棺師の見習いとして働き始めるのだが…。
[寸評]夢が破れ、納棺師となった主人公が、特殊な仕事に戸惑いながらも次第にその儀式に大きな意義を見出していく
姿と、故人を見送る際に繰り広げられる様々な人間ドラマを丁寧な筆致で描いた内容。正直言って最近までノーマーク
でいたが、第32回モントリオール世界映画祭でグランプリを受賞したり、第81回米国アカデミー賞最優秀外国語映画賞
部門へ正式エントリーされ、国際的に話題になっている事から、その実力を確かめるべく、公開初日の朝一番で鑑賞。
「シコふんじゃった」「ラストソング」で上手い演技を見せた本木雅弘が今回も素晴らしい演技をしていて、広末涼子の表
情、山ア努、笹野高史の風格ある演技、久石譲の音楽、本木演じる大悟が奏でるチェロのメロディ・・・どれをとっても
素晴らしい。私にとって、本年の日本映画ではベスト1、久々のオススメ作品(「ダークナイト」も凄いんだが・・・)といえ
る。大悟が真摯に仕事に取り組む姿を見て、最初は侮蔑していた友人や妻も、誠意・熱意のある姿勢に見直す所は、仕
事・生き様のあり方を再認させられた。物語には、すんなり入り込め、時には微笑ましく、時には涙ぐんで、心安らかな
良い時間を過ごせる。4年前に父を送った時の事も思い出されたな・・・。本当に素晴らしい掘り出し物(失礼!)的な良
作です。
52.俺たちフィギュアスケーター BLADES OF GLORY (2007年米)<3.5>
[監督]ウィル・スペック、ジョシュ・ゴートン
[出演]アウィル・フェレル、ジョン・ヘダー、ウィル・アーネット、エイミー・ポーラー、クレイグ・T・ネルソン
[時間]93分
[内容]米国男子フィギュア・スケート界の2大スター、チャズ・マイケル・マイケルズとジミー・マッケルロイ。野性的な魅力で
女性ファンを虜にするチャズに対し、ジミーは正統派の天才スケーターである。激しいライバル心を燃やす2人は、見事に
同点一位となった世界選手権の表彰台で大乱闘を繰り広げ、金メダル剥奪、永久追放という憂き目にあう。それから3年
半後、かつての栄光は過去のものとなり、みじめな日々を送るチャズとジミーだが、再びスポットライトを浴びるチャンス
が訪れる。それは、ルールの盲点を突いて2人でコンビを組み、前代未聞の男子ペアとしてペア競技に出場するというも
のだ…。
[寸評]男2人でフィギュアのペア種目に参加する下品でおバカな痛快コメディ。年初に劇場公開されている時から関心はあ
り、レンタルDVDで鑑賞。本当に何も考えず、それなりにシンプルに楽しめる作品で、特にチャズが発するブラック・ジョー
ク等は各々の好みで捉え方は変わるであろう。ライバルをスパイしたり、事前に落としいれようとする定例的なパターン
が出てきたが、かえって微笑ましく思えた。「ドッジボール」もそうだったが、最後のオチはやり過ぎというか不要に思え
る。ジミーを演じたジョン・ヘダーはトム・クルーズとマーク・ハミルに似た感じがしたが、いかがでしょう?サーシャ・コーエ
ン、ナンシー・ケリガンらフィギュア界の有名選手も本人役で多数出演している。
53.容疑者Xの献身 (2008年日)<4.0>
[監督]西谷弘
[出演]福山雅治、柴咲コウ、北村一輝、松雪泰子、堤真一、ダンカン、長塚圭史、金澤美穂、益岡徹、渡辺いっけい
[時間]128分
[内容]ある日、男性の惨殺死体が発見される。やがて身元は、無職の富樫慎二と判明した。死因は絞殺で、顔が潰され、
指を焼かれていた。そこで貝塚北署の刑事・内海は捜査に乗り出し、被害者の元妻・花岡靖子へ聞き込みに当たる。
しかし、容疑者と見られていた彼女には完璧なアリバイがあった。そんな中、靖子の隣人である高校数学教師・石神
が“ガリレオ”こと湯川と同じ帝都大出身だと知った内海は、さっそく湯川へ相談を持ちかける。すると、湯川は石神を
“僕の知る限り、本物の天才”と評し、2人がかつて互いに唯一理解し合えた間柄だった事を打ち明ける。そして、彼が
この事件に深く関わっているのではと疑念を抱き始める湯川だったが…。
[寸評]東野圭吾の『ガリレオ』シリーズ初の長編にして直木賞受賞の傑作感動ミステリーを、TVシリーズ「ガリレオ」(実は
観ていないが・・・)のスタッフ・キャストで映画化した作品。2年前に旅行の道中に原作を携行して読んだ。東野作品は
TV化・映画化しても概ね期待を裏切る事はないので、今回も劇場公開日初日に早速拝見。福山雅治演じる湯川は、
(TVを観ていないので)初めて観たが、なかなか適役ではないかな。原作を上手く映画に落とし込み、分かりやすく、見
応えのある内容に仕上がっていると思う。主役をはれる松雪泰子、堤真一が容疑者側を演じていて、非常に良い演技を
している(最後の涙は圧巻!)ので締まっている。本題の”献身”というのは、”なるほどそういう事か”なのだが、人は自
分が気付かない所で誰かの支えになっていたり、救っていたりする事があるものなんだね。”皆各々、存在価値がある
ので、決して自己を卑下する事なく、しっかり生きていけばよい!”というメッセージを感じ取れた。10月より東野圭吾原
作の「流星の絆」が連続ドラマで放送される。原作も非常に面白いし、キャストも良いので、こちらも期待できそうだ。
54.ファイナル・デッドコースター FINAL DESTINATION 3 (2006年米)<3.5>
[監督]ジェームズ・ウォン
[出演]メアリー・エリザベス・ウィンステッド、ライアン・メリマン、クリスタル・ロウ、シャーラン・シモンズ
[時間]93分
[内容]ハイスクールの卒業イベントとしてやって来たアミューズメント・パークで、仲間達と一緒にジェットコースターに乗り
込んだウェンディは、その瞬間、壮絶な事故の予知夢を見てパニックに陥る。結局ウェンディと仲間たちは係員によって
降ろされてしまうが、その直後、ジェットコースターは本当に事故を起こしてしまう。多くの犠牲者が出る中、九死に一生
を得たウェンディ達だったが、免れたはずの“死の運命”は、形を変えて再び彼女たちを狙い始めるのだった…。
[寸評]迫り来る“死の運命”から逃れようとする若者達を襲う数々の恐怖を描くシリーズ第3弾。アミューズメント・パークの
ジェットコースターを皮切りに、幾通りもの独創的なデッド・シーンが若者達を待ち受ける、という内容。過去2作を観たの
で臆病な私でも怖いもの観たさで本作をDVDレンタルしてきて妻と鑑賞。冒頭の予知夢⇒夢通りの凄惨な現実の事故
⇒事故を免れた者にも続々と惨劇が襲う、というパターンは3作とも同じで、心構えはかなりできるようになったが、惨劇
の描き方には何とも恐れ入る。口がポカーンと空いてしまう・・・。近年、ジェットコースターのトラブルが実際に起こった
ので、乗るのが怖くなりそうだな。前作の時もコメントしたが、惨劇の描き方が壮絶だが、”少しの油断、過ちから、とん
でもない事になる"という警鐘に取れる。今回の、最後に予知夢を見て、その惨劇が起きるか?という終わり方は、なか
なかインパクトがあった・・・来年、3D映像で第4作目が劇場公開される模様。観に行ってしまうかも?
55.ドルフィンブルー フジ、もういちど宙(そら)へ (2007年日)<3.0>
[監督]前田哲
[出演]松山ケンイチ、高畑充希、西山茉希、永作博美、山崎努、池内博之、坂井真希、田中哲司
[時間]105分
[内容]植村一也は沖縄美ら海水族館に新任獣医としてやってきた。海獣課に配属され、館長や先輩飼育員に鍛えられな
がら、少しずつイルカの事を理解していく。そんなある日、水族館の人気者、イルカのフジの尾びれが壊死し始めている
事が判明する。一也を始め、飼育員達の懸命の治療も虚しく、原因不明の壊死は止まらず、尾びれの切除が行われる。
一命は取り留めたものの、泳げなくなってしまったフジに対し、何とかしてもう一度泳がせてやりたいと考えた一也は、タ
イヤメーカーのブリヂストンに、フジの人工尾びれを作ってほしいと相談を持ちかけるが・・・。
[寸評]沖縄美ら海水族館のバンドウイルカをめぐる奇跡の実話を映画化した作品。原因不明の病気で尾びれを失ったバン
ドウイルカの“フジ”と、フジのための人工尾びれの実現に奔走した一人の青年獣医の温かな交流を描いた内容。一姫
によれば、進研ゼミの教材にも、この話は紹介されていたらしい。06年3月に妻子と沖縄美ら海水族館を訪れた事もあ
り、劇場公開されている時から気にしていたが、チャンネルNEOで放送されたので録画して鑑賞。美ら海水族館や沖縄
の風景を映し出されると旅行の事が懐かしく思い出されるし、植村が通勤で自転車で走る時の道・風景を見ると、私と妻
も自転車で走りたい気にさせてくれる。さて、肝心の本編だが、アッサリしているとか、淡々としていて、植村の熱意、フ
ジへの思いが希薄に感じる。昨年秋〜半年放送された「3年B組金八先生」に出演した高畑充希が出てきたので、最初
は期待したが何とも中途半端な役だったので残念だった。何人かのいいキャストが出ていながら、上手く活かしきれてい
ず、もったいない感じがした。
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