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31.ミスト THE MIST (2007年米)<3.5> 
 [監督]フランク・ダラボン
  [出演]トーマス・ジェーン、マーシャ・ゲイ・ハーデン、ローリー・ホールデン、アンドレ・ブラウアー
  [時間]125分
 [内容]のどかな田舎町に激しい嵐が襲った。その翌日、デヴィッドは湖の向こう岸に発生した異様に深い霧に懸念を
    抱きながらも、息子と共にスーパーマーケットへ買い出しに出掛けた。すると、その濃い霧は間もなく買い物客でご
    った返すマーケットに迫り、ついには町全体を飲み込むように覆っていく。人々がマーケットに缶詰状態となる中、霧
    の中に潜む不気味な触手生物をデヴィッドは発見する。彼を信じた者達は即ちに店のバリケードを作り始め、武器に
    なりうる物もかき集める。その一方、骨董品店の女主人であるカーモディは狂信めいた発言で人々の不安を煽ってし
    まう。そして夜、突如として霧の中の生物達が襲撃を開始し、店内は大混乱となるのだが…。
  [寸評]スティーヴン・キング”原作”、フランク・ダラボン”監督”のコンビによる「ショーシャンクの空に」「グリーンマイル」に
    続く3作目。今度は人々が、突然町を包み込んだ濃い霧とその中にうごめく不気味な生物達の恐怖でパニックに陥って
    いく様を描いた驚愕のホラー・ミステリー。劇場で予告編で何度か目にしていたし、「グリーンマイル」以来の原作・監
    督のコンビの作品という事で関心はあった。しかし、”後味が悪い”という風評を幾つか聞き、躊躇していた。有休を取
    得し、妻と「チャーリー・ウィルソンズ・ウォー」を観ようと思い、鑑賞前に食事をしたところ、時間がかかり、開演時間に
    僅差で間に合わず、急遽、勢いで本作品を鑑賞する事になった。私は、かなり心理戦に重点を置いた内容かと思っ
    ていたが、エイリアン系要素も盛り込まれた内容だった。「来るな!」と思って構えていても、仰天する事が数回。私と
    間を置いて右側にいた高齢者2名の反応の仕方は目立っていたかもしれない。内容も深層的にもタイトル通り、”ミス
    ト”だ。ヌルヌルなどの怪物との戦い以上に、集団において、宗教の先導者に徐々に皆が洗脳されていく様、恐怖にお
    ののき、自分を見失う者がでたり、グルーピングされていく群集心理の描写の仕方が印象的だった。しかしながら、最
    後の後味の悪さは、ああいう事だったとは・・・前半の場面に登場した女性の姿が後半に映し出されたのを見ると、人
    生は”紙一重”なのか?。決して心地の良くない怖い作品だが、妙にインパクトがあり、結果的には鑑賞しておいてよ
    かったといえる。

32.チャーリー・ウィルソンズ・ウォー CHARLIE WILSON'S WAR (2007年米)<3.0> 
 [監督]マイク・ニコルズ
  [出演]トム・ハンクス、ジュリア・ロバーツ、フィリップ・シーモア・ホフマン、エイミー・アダムス、ネッド・ビーティ
  [時間]101分
 [内容]テキサス選出の下院議員チャーリー・ウィルソンは、美女とお酒をこよなく愛するお気楽議員だ。それでも、根は
    優しく大らかな人柄で、周囲の人々から愛される存在だった。そんな彼がある日、テキサスを代表する富豪の女性ジョ
    アンから、ソ連の侵攻に苦しむアフガニスタンの人々を救ってほしいと頼まれる。実は政治にまるで興味のない彼だっ
    たが、アフガンの実情に心を痛め、一肌脱ぐ決意を固める。さっそく、大国ソ連を相手に二の足を踏む政府を横目に、
    CIAのはみ出し者、ガストの協力を得ながら前代未聞の極秘作戦を開始する…。
  [寸評]米ソ冷戦終結の真の立役者とも評されるテキサス選出の下院議員をモデルに描く実録政治コメディ。トム・ハンク
    スとジュリア・ロバーツの共演、良く知らない史実(疎いだけ?)の話、という事もから関心があり、鑑賞した。ソ連がア
    フガニスタンに侵攻していて、撤退させるのに一役買う話だが、その事実を認識できた事と、トム・ハンクスが相変わら
    ず良い雰囲気を出していたのは良かったと思う。但し、早朝に目が覚めてしまう土曜日の午前に劇場で観たのが影響
    したのか、全般的にダルイ要素があったからか、眠かったなあ。所々肝心な台詞を見逃しているので、吸収しきれな
    かった。DVDが出たら再見し直そうとまでも思えない。先日、妻と本作品を見逃して、観た「ミスト」の方がよほど見応え
    があった。映画好きと自称しながら、こうも頻繁に劇場で睡魔と戦う自分は何なんでしょう?面白い作品なら眠くはなら
    ないと思うのだが・・・・

33.ザ・マジックアワー (2008年日)<4.5> 
 [監督]三谷幸喜
  [出演]佐藤浩市、妻夫木聡、深津絵里、綾瀬はるか、西田敏行、小日向文世、寺島進、戸田恵子、伊吹吾郎
  [時間]136分
 [内容]港町の守加護(すかご)が舞台。街を牛耳るギャングのボス-天塩の愛人・マリに手を出してしまった手下のホテル
    支配人・備後は、天塩に捕まり絶体絶命となる。助かる唯一の条件として天塩が示したのは、5日以内に幻の殺し屋
    “デラ富樫”を連れてくる事だ。条件をのんだ備後だったが、そんな簡単にデラが見つかるわけもなく、最後の非常手段
    としてニセモノを用意する事にした。そこで備後は、映画監督になりすまして無名の俳優・村田大樹を雇うと、映画の撮
    影と称して彼に殺し屋“デラ富樫”を演じさせ、天塩の前に差し出すのだったが…。
  [寸評]三谷幸喜監督が贈る「ラヂオの時間」「みんなのいえ」「THE 有頂天ホテル」に続く超待望の映画監督作品第4作
    目。私にとっては08年の映画では「インディ・ジョーンズ最新作」と並ぶ期待作で、昨年から指折りで楽しみにしてい
    た。子供達が午前中に部活動に行くので、妻と劇場公開日の第1回目の上映で鑑賞。本当に素直に抱腹できる痛快
    な作品である。私も妻も観客も、声をあげて爆笑したし、笑いすぎで涙が出た。佐藤浩市が演じる村田が天塩に応対
    する際にナイフをなめる場面(○回もある)、トランポリンのシーンは今でも思い出すだけで笑える。全体的に幻想的な
    世界で、ともかく真面目に考えて観てはいけないだろう。村田は不可解に思わないのか?などと考えるとアラは出てく
    る。素直に純粋に楽しく三谷ワールドにはまって観れば、楽しい時間が過ごせるのは間違いないと思う。(好き嫌いは
    分かれるか?)佐藤浩市、伊吹吾郎がコメディの世界でもはまっているし、綾瀬はるかは非常に可愛らしいし、三谷
    ファミリーの豪華俳優が揃い踏みで、視覚的にも内容的にも楽しめる。「みんなのいえ」「THE 有頂天ホテル」も十分
    面白かったが、それでも「ラヂオの時間」のインパクトが強すぎ、期待が大きいゆえに、時折ゆるんだシーンも見受け
    られた感があるが、今回は概ね冒頭から最後まで抜かりなし、といえるのでは。早くもDVDの豪華特典映像を楽しみ
    にしている。鑑賞後、早速、インタビュー・メイキング等を織り込んだ、ぴあMOOK「ザ・マジックアワ−・オフィシャルブ
    ック」を購入してしまったので、じっくり読んでみよう。

34.水になった村 (2007年日)<3.0> 
 [監督]大西暢夫
  [出演]徳山村の人々
  [時間]92分
 [内容]ダムの建設が始まり廃村した岐阜県徳山村で、実際に水没するぎりぎりまで村に留まり、暮らしを続けた村の老
     人達の姿を15年にわたって記録したヒューマン・ドキュメンタリー。
  [寸評]会社の環境に関わるイベントが安城市のデンパークで行われ、午前中に妻子と「エコ・クッキング」に参加し、作っ
     た料理を食べた後、すかさずデンパークの近隣のJAあいち生活館で本作品の上映会が開催され、参加した。徳山
     村は大学入学前の春休みに車窓から見て、両親が岐阜の出身で徳山村の人達が移住してきた住宅を見た事もある
     ので、”徳山村とダム”の単語は子供の頃から刷り込みされていて、関心を持って鑑賞した。徳山村を捨てきれない
     高齢者の方の食材の集め方、木の皮をむいたり、釜湯に入る淡々とした生活ぶりを描いているが、彼等達の”活きる
     力”が伝わってくるし、喧騒のない田舎で粛々と生活する表情が非常に良い。住居が破壊される様は何ともはかなく
     胸が痛む。村ごとが水没した形になってしまったのは、住民からすると辛い事だ。全体的に淡々としたテンポで、子
     供にとっては決して楽しい作品ではないが、食材、住環境、生きていく上での喜びを考える上では、有用な内容だと
     思う。
      
35.インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国
    INDIANA JONES AND THE KINGDOM OF THE CRYSTAL SKULL (2008年米)<4.0> 
 [監督]スティーブン・スピルバーグ
  [出演]ハリソン・フォード、シャイア・ラブーフ、レイ・ウィンストン、カレン・アレン、ケイト・ブランシェット
  [時間]122分
 [内容]1957年、米国内で米兵に扮した女諜報員スパルコが率いるソ連兵の一団が米軍基地を襲撃した。彼らは、宇宙
    の神秘を解き明かす力を秘めているという“クリスタル・スカル”を探し求め、その手掛かりを辿っていた。そしてそこに
    は、何とインディが捕らえられ、クリスタル・スカルの捜索を強要されていたのだった。しかし、スキをみて脱出を図り、
    何とかスパルコの手を逃れたインディは考古学教授として赴任している大学へと舞い戻る。すると今度は、彼の前に
    一通の手紙を携えたマットという青年が現われる…。
  [寸評]ハリソン・フォード、スティーヴン・スピルバーグ、ジョージ・ルーカスの黄金トリオで19年ぶりに復活したシリーズ
    第4弾。第4弾は噂されながらも、脚本が固まるのに時間がかかり、ようやく公開が実現した待望の作品で、先行上映
    の朝一番で鑑賞した。今回は3作目の「最後の聖戦」から19年を経た(ハリソンを考慮?)米ソ冷戦下の1957年を舞台
    に、インディが秘宝をめぐって熾烈な争奪戦を繰り広げる内容。蛇、ジープを並走したバトルシーン、「○○○○!」と
    いう雄叫び、裏切り等、過去の3作品を懐古させるシーンが幾つかちりばめられていたので、ニヤニヤさせられた。アク
    ションの絶え間ない連続を期待していたが、前半はやや大人しく、??と思ったが、中盤から後半までは、しっかりと
    見せてくれた。但し、過去の3作品のような新鮮さはなかったかな・・・(インディを契機にアドベンチャー作品の描写の
    仕方も高度化しているしね・・)。人間関係の細かい描写の仕方で気になる点はあるし、インディ自身の謎解きが無か
    ったのが残念だったが、「失われたアーク」以来の登場となる”マリオン”(カレン・アレン)が非常に可愛らしく(失礼!?)
    彼女の活躍ぶりには好感が持てた。クリスタル・スカルのオチが、考古学の世界からSFにぶっとんでしまったのには
    驚いた。あれは、スピルバーグ監督のSF大作2作品を思わせるな・・・。エンディングの前のあのシーンは必要かな?
    ハリソン・フォードが本当にこの出演で最後(本人は次回を望んでいるようだが・・)なら、ケジメになるのだろうが・・・。
    映画のシリーズ作品は概ね3作、4作といくと、どんどんトーン・ダウンしていくが、今回も何とか面白さを維持し、楽し
    ませてくれた。劇場で堪能すべき作品でしょう。(ちなみに映画のシリーズものでは「インディ・ジョーンズ」が一番好き
    である)

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