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36.シャーロットのおくりもの CHARLOTTE'S WEB (2006年米)<2.5>     
 [監督]ゲイリー・ウィニック
  [出演]ダコタ・ファニング、ケヴィン・アンダーソン、エシィ・デイヴィス、ゲイリー・バサラバ、ボー・ブリジッス
  [時間]97分
 [内容]ある春の夜、牧場を営むエラブル家に11匹の子ブタが生まれた。しかし母ブタの乳は10個しかなかったため、一番
    小さな子ブタはやむを得ずその場で処分されることに。ところが、娘のファーンは自分が面倒見ると宣言し、その子ブタ
    を引き取るとウィルバーと名付けて大切に育て始めるのだった。やがて、ウィルバーは向かいの広いザッカーマン農場
    に預けられ、他の個性豊かな動物たちと一緒に暮らすことに。そんなある日、ウィルバーは“春に生まれた子ブタは、冬
    を越せない。なぜならクリスマスのハムになるから”という話を聞いてしまう。怯えるウィルバーに対し、賢くて心優しいク
    モのシャーロットが“必ずあなたを守ってあげる”と約束するのだった。
  [寸評]E・B・ホワイトのロングセラー児童書を映画化。居住市の市民会館の映画鑑賞会に応募し、当たったので、(実際は
    座席の3分の2も占めていなかったから、人気薄だったのだろう)妻子と鑑賞。前夜に3家族で居住市の施設で宿泊して
    トランプをやったり、二太郎にせかされて早朝に起きて虫取りに付き合ったため、眠くなる事は目に見えていた。その通
    り、睡魔が襲ってきて格闘し、幾つかの空白の時間を経由して鑑賞した。完全に子供向けの作品といえる。動物同士の
    駆け引き等をクローズ・アップしているが、全体的にあまり、惹きつけられなかったのが率直な感想。ブタやクモをアップ
    で見せられてもねえ・・・。シャーロットがクモだとは思わなかった。シャーロットの声を字幕版ではジュリア・ロバーツが、
    吹替版では鶴田真由が演じている。ここだけが話題といえるのかな?睡魔と闘いながら観た事もあるが、それを差し引
    いても、もう少し、見せ場・感動要素があるといいのだけど・・・但し、シャーロットとウィルバーのやり取りの中で、存在す
    る事は何らかの大きな意味・影響がある事を表している所は良かった。

37.ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団 HARRY POTTER AND THE ORDER OF THE PHOENIX
    (2007年英・米)<3.5>     
 [監督]デヴィッド・イェーツ
  [出演]ダニエル・ラドクリフ、ルパート・グリント、エマ・ワトソン、ロビー=コルトレーン、レイフ・ファインズ
  [時間]138分
 [内容]ホグワーツ魔法学校の5年生に進級したハリーはある日、人間界で魔法を使ってしまい、魔法界を追放されかねな
    い立場に追い込まれる。ヴォルデモート卿の復活が起因と証言したダンブルドア校長のおかげで処罰を免れたハリー。
    しかし、魔法省は、ダンブルドアは魔法大臣の地位を横取りするために嘘の証言をしたと勘ぐり、防衛術を教える女教
    師を学校全体の監視役として送り込んできた。一方、ヴォルデモートは仲間を集めて、ハリーたちを陥れようと暗躍し始
    める。その兆しを誰よりも早く察知していたハリーは、ロンやハーマイオニーたちと秘かに“ダンブルドア軍団”を結成す
    るが…。
  [寸評]シリーズも早くも第5作目で、今回5年生となったハリーが、恐るべき因縁と向き合いながら、仲間の指南役を務めて
    復活した宿敵ヴォルデモート卿の脅威に立ち向かう内容。先週末に、買ったままの状態であった4作目のDVD「炎のゴ
    ブレット」を観て備えをした上で、妻と一緒に劇場で鑑賞。(同じ時間帯に一姫二太郎は「河童のクゥと夏休み」を鑑賞)
    土曜日の早朝に相変わらず目が覚めてしまうので、14:40〜の鑑賞のため、眠くならないようにガムとアメをひたすら口
    に入れて、眠気防止を図りながら最後まで何とか観きれた。原作は読んでいないので、どんな展開になるのか興味を持
    ちながら観たが、まずは1作目から出演している子役のキャラの成長が著しいのに驚く。冒頭に久々に出てきたダドリー
    の余りの成長度合いには笑えてしまったぐらい・・・。しかし、今回の内容は子供にはなかなか理解しがたいのではない
    のかな・・・。当初は単純な子供向けだった内容が、話が進む毎に、ダークで政治的な要素も絡み合い、大人でも難しい
    内容になった感じがする。焦ってはいけないのだろうが、もう少し、今回、ヴォルデモートと激しい戦いをしたり、大きな展
    開があるのかと思いきや、そうでもなかったのは少し残念。何かスターウォーズ的な雰囲気があるよなあ・・・。もっとハリ
    ー・ポッター・シリーズの独自色を出してほしい・・・。巷で話題になっているハリーとチョウとのキスシーンは、2人が今
    後、どんな展開になるのか分からないが、いかがなものなのか?ダニエル・ラドクリフが「炎のゴブレット」の特典映像の
    インタビューで原作にもあるキスシーンを楽しみにしていると話していたが・・・。最終話である第7巻の原作が発売され
    て(日本語版は未だ先)話題になっているが、ダニエル・ラドクリフ、ルパート・グリント、エマ・ワトソン達は最後迄やり
    切る模様だ。あと2作、ここまで来たら、お付き合いしますが、内容を充実化させて下さいね。

38.レミーのおいしいレストラン RATATOUILLE (2007年米)<4.0>     
 [監督]ブラッド・バード
  [出演]<声の出演>バットン・オズワルト、ブライアン・デネヒー、ブラッド・ギャレット
  [時間]120分
 [内容]天才的な料理の才能を持ち、いつか一流レストランのシェフになるという叶わぬ夢を持つドブネズミのレミー。ある日、
    彼は嵐で家族とはぐれてしまい、パリのある一軒のレストランに辿り着く。なんとそこは、レミーが尊敬する今は亡き名シ
    ェフ:グストーの店だった。一方、その厨房内では、見習いシェフのリングイニがスープを台無しにする失態を演じてしま
    う。すると、レミーはこっそりとそのスープを作り直し、最高の味に仕上げるのだった。それを目撃していたリングイニは、
    自分に料理の才能がないことからレミーの力を借りることを画策する。こうして彼らは秘かにコンビを組み、パリ一番の
    シェフを目指す事になるのだが…。
  [寸評]ディズニー/ピクサーが贈る待望の新作。グルメの都パリを舞台に、シェフを夢見るドブネズミと料理の苦手な見習い
    シェフが巻き起こす奇跡を描いた作品で、監督は「Mr.インクレディブル」のブラッド・バードがつとめる。いつものごとく、
    このシリーズの作品は妻子と一緒に劇場で鑑賞。映像が非常に美しく、話の展開も最初から最後まで引き込まれ、見応
    えがあり、上手く作られていると思う。但し、本作品は、ネズミは「衛生の敵」「汚い生物」という現実感を持って観続ける
    と、違和感が生じてくるだろう。確かにネズミの仲間たちで食事を作っていたら・・・変な感じがするよね?それにしてもリ
    ングイニはグストーの本当の息子なのか?最後の最後まで料理の才能の片鱗を見せなかったし、コレットとの恋の落ち
    方も違和感を感じた。悪役も少しパンチ力に欠けたかな・・・もう少し徹底的に闘ってほしかった気もする。面白い作品で
    ある事は確かだが、最近の作品「カーズ」「Mr.インクレディブル」「ファインディング・ニモ」「モンスターズ・インク」に比べ
    るとインパクトが弱いかな・・・

39.ヒロシマナガサキ THE DESTRUCTION OF HIROSHIMA AND NAGASAKI (2007年米)<4.5>     
 [監督]スティーブン・オカザキ
  [出演]中沢啓治、居森清子、笹森恵子、田中ヤスヨ、岡チエミ 他 証言者の方々
  [時間]86分
 [内容]中沢啓治氏の英訳された『はだしのゲン』を読み広島、長崎の原爆投下に関心を持ったオカザキ監督は、1981年に
    初めて広島を訪れて以来、500人以上の被爆者に会い、丹念な取材を重ねてきた。それを基に本作では、14人の被爆
    者と、実際に爆撃に関与した4人の米国人の証言を軸に、貴重な映像や資料を織り交ぜ、ヒロシマ・ナガサキの真実の
    姿を描き出す・・・。
  [寸評]米国在住の日系3世のドキュメンタリー作家、スティーヴン・オカザキ監督が、25年の歳月の末に完成させた原爆投
    下を巡る真実の姿を明らかにする渾身のドキュメンタリー映画。これまで原爆に関する作品で印象深いのは本作に証言
    者として登場している中沢啓治氏の原作の『はだしのゲン』と井伏鱒二氏原作の『黒い雨』だ。本作品は実際の被爆者
    が、その時の壮絶・悲惨な体験を生々しく語ってくれ、一言一言に物凄い重みがあり、強烈に胸に響く。日本側だけで
    なく、米国の原爆の関係者が登場して証言を行う事、米国の番組で原爆を投与した人物と被爆者の代表の日本人が語
    り合う場面を見せられたのは驚きだ。オカザキ監督は、よくぞ、ここまで聞き出し、まとめあげたものだ、と敬服する。
    証言者の語り、彼等の心身に残る傷跡を正視するのが辛い場面があるが、この事実を我々はしっかりと正視しなければ
    ならない。多くの人に観てほしい作品である。それにしても冒頭の”若者が原爆投与の事実を答えられない場面”には悲
    しいものがあるな・・・

40.夕凪の街 桜の国 (2007年日)<4.5>     
 [監督]佐々部清
  [出演]田中麗奈、麻生久美子、吉沢悠、中越典子、伊嵜充則、金井勇太、粟田麗、藤村志保、境正章
  [時間]118分
 [内容]「夕凪の街」─原爆投下から13年後の広島。母フジミと2人でこの街に暮す平野皆実には弟の旭がいたが、戦時中
    に疎開し、そのまま伯母夫婦の養子になっていた。そんなある日、皆実は会社の同僚、打越から愛の告白を受ける。た
    めらいつつも幸せに浸る皆実だったが、そんな彼女を原爆症の病が襲う…。
    「桜の国」─現在の東京。定年退職した父の旭と弟の凪生と一緒に暮す七波は、ある日、旭の行動を不審に思って後を
    つけ、そのまま広島まで来てしまう。やがて、広島で色々な場所や人を巡る旭の後を追っている内に、次第に自分のル
    ーツに思いを馳せていく…。
  [寸評]名古屋シネマテークで「ヒロシマナガサキ」を観た後、引き続き、栄の名演小劇場(初めて訪れた)へ移動し、本作品
    を鑑賞。原爆を扱った作品を連続して観たが、本作品は平成16年度文化庁メディア芸術賞マンガ部門大賞、第9回手塚
    治虫文化賞新生賞を受賞した”こうの史代”の同名マンガを実写映画化した人間ドラマで、過去と現在の2つの物語を通
    して原爆が世代を超えてもたらす悲劇を静かに見つめた内容。この作品は非常に観て良かったし、現時点で私にとって
    本年のNo.1作品といえる。被爆者の辛さ、思いを世代を越えて伝えてくれる貴重で、素晴らしい内容ではないかな。
    「THE 有頂天ホテル」で不可思議な愛人&香取慎吾役の幼なじみの”なおみ”役を演じていた麻生久美子の演技が非
    常にインパクトがあった。一つ一つのシーン・言葉に含蓄があるし、ジーンと感動させられる傑作です。早速、こうの史代
    さんの原作漫画を購入して読んで、引き続き、一姫も読んだ。この作品はDVDが発売されたら購入して家族と一緒に
    改めてじっくりと観たいと思う。

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