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31.キサラギ (2007年日)<4.5>     
 [監督]佐藤祐一
  [出演]小栗旬、ユースケ・サンタマリア、小出恵介、塚地武雅、宍戸錠、香川照之
  [時間]108分
 [内容]マイナーなグラビアアイドル、如月ミキが焼身自殺を遂げてから1年が過ぎた。彼女のファンサイトでは一周忌に
    彼女を偲ぶ会を開催する事になった。集まったのは、サイトの管理人の家元とサイトの常連、オダ・ユージ、スネーク、
    安男、いちご娘という5人の男達だ。初めて直に顔を合わせた彼らは、ミキの思い出に浸り、自慢話で盛り上がる。明
    るかったミキの自殺という事実に釈然としない気持ちを各人は持ち続けていた・・・。そしてオダ・ユージの“彼女は殺さ
    れたんだ”という発言を境に、彼らはミキの死の真相を巡って怒涛の推理を展開していく・・・。
  [寸評]ワン・シチュエーションでありながら、どこまでもスリリングに個性派キャスト5人のアンサンブルで展開していく笑い
    と感動のハートフル・サスペンス・コメディ。この脚本を手掛けたのが、あの「ALWAYS 三丁目の夕日」の古沢良太氏と
    いうのも納得がいく。本作品は全然ノーマークだったが、映画評論のネットで高評価である事から、有休で「プレステー
    ジ」を観た日の夜にレイトショーで鑑賞。昨年後半からオススメマークが付けられる(評価4.5以上)作品が少なく、自分
    の尺度が厳しいのか、感受性が鈍くなったのか、何とも言い難いのだが、本作品は密室で繰り広げられる5人の熱演・
    話の展開に釘付けになり、非常に面白く(あくまで私の主観ですが・・・)、07年度上期No.1作品といえるオススメ。香川
    照之は本当に上手いね。彼の存在感は非常に大きく、笑わせたり・シリアスにさせたり・ほのぼのとさせたり、様々な面
    で多大な効果をもたらしている。ただ少し残念だったのは、エンドロールで如月ミキの画像を映した事と、宍戸錠が出て
    きた場面だ。本編であそこまで如月ミキの姿を映さずにいたのなら最後まで貫いてほしかったなあ・・・宍戸錠のコメント
    は、これまでの議論は何?という事になりかねないが、本作品は5人のやり取りの過程を楽しむものなので、あまり深く
    気にしないようにしよう・・・

32.それでも生きる子供たちへ LES ENFANTS INVISIBLE (2005年伊・仏)<4.0>     
 [監督]メディア・カレフ、ジョン・ウー、リドリー・スコット、ジョーダン・スコット他4名
  [出演]ビラ・アダマ、ロージー・ペレス、デヴィッド・シューリス、ダニエル・ヴィコリト、ザオ・ツークン
  [時間]130分
 [内容]7つの話から成るオムニバス形式。「タンザ」:大きな銃を手にゲリラ部隊の一員として戦闘にかり出されるルワンダの
    少年の話。「ブルー・ジプシー」:窃盗団家族に生まれ、親から盗みを強要される少年の話。「アメリカのイエスの子ら」:
    HIV感染者を両親に持ち、生まれた時からHIVに感染し、“エイズ・ベイビー”と呼ばれいじめられている少女を見つめた作
    品。「ビルーとジョアン」:廃品を集めて小銭に換え自活するブラジルの兄妹の話。「ジョナサン」:戦場でのショックで幻覚
    にうなされるフォトジャーナリストが体験する不思議な出来事を描いた作品。「チロ」:大窃盗団の最下層でたくましくも懸
    命に生きる少年の話。「桑桑(ソンソン)と小猫(シャオマオ)」:裕福だけど愛のない家庭に暮らす少女と、貧しい老人に拾
    われた孤児の少女が、一体のフランス人形を介して不思議な運命に導かれていく話。
  [寸評]“世界中の子供たちの窮状を救うため”というイタリアの女優マリア・グラツィア・クチノッタの呼びかけにユニセフと国
    連世界食糧計画が賛同し、7ヵ国から7組8人の映画監督が参加し、各々の国の子供達の過酷な現実を独自の視点で描
    き出したオムニバス・ドラマ。本作品は愛知県では伏見ミリオン座でしか上映されていず、伏見ミリオン座に一度も行った
    事もない事と非常に内容に関心がある事から、足を運び鑑賞。しかし、私は土曜日の日中は劇場で観ない方がよいのか
    もしれない。土曜日は何故か体内時計が働くのか、金曜日に遅く寝ようが、朝早く(5時)目がギンギンに覚めてしまい、
    日中、時折睡魔が襲うのだ・・・7つの作品共、どの内容も各国の状況を風刺した良く出来た作品かと思うが、先の理由で
    襲ってくる睡魔と戦わねばならなかったので辛かった。その中でも「アメリカのイエスの子ら」「桑桑と小猫」は良好な状態
    で観れ、非常に心に残る良い作品だった。子供たちは今後の未来の希望である。子供たちにいかに愛情を注いで、まっ
    とうに生き、自立できるようにしていく事が我々の使命である。各国・各環境下の色々な事情で辛い思いをしている子供
    たちがたくさんいる。そんな現実を知る事が本作品を観る意義だと思う。DVDが発売されたら再見してみよう・・・

33.エンロン 巨大企業はいかにして崩壊したのか?
    ENRON: THE SMARTEST GUYS IN THE ROOM (2005年米)<3.5>     
 [監督]アレックス・ギブニー
  [出演](ナレーション)ピーター・コヨーテ
  [時間]110分
 [内容]エネルギー業界の規制緩和の波に乗り、急成長を遂げ、ついには全米第7位の巨大企業となったエンロンは、一つ
    の不正疑惑報道をきっかけに、わずか一月半で破綻に追い込まれる事になる・・・。
  [寸評]全米のみならず世界中に衝撃をもたらした巨大企業“エンロン”を巡る史上最大の企業スキャンダルの真相に迫る
    作品で、急成長の裏側で繰り広げられた欲に駆られた人間達のモラルなき暴走ぶりを、元社員の証言や内部資料を基
    に暴き出していくドキュメンタリー。劇場公開時(愛知県では単館のみ)に関心はあったが、結局、観に行けず、DVDを購
    入して鑑賞した。今、コンプライアンス(法令遵守)が厳しく叫ばれる中、どの企業も、少しでも逸脱しようものなら簡単に
    転落してしまう。エンロンの転落の舞台裏を見ると、本当に一部の経営者のエゴにより、多くの社員・家族が不遇な目に
    あった事が分かる。それだけ会社トップの責任は重いのだ。それにしてもエンロンの話はひどいな・・・悪しき事例を把握
    しておく上で参考になる。自分の勤務している会社はこうであってほしくないね・・・

34.不都合な真実 AN INCONVENIENT TRUTH (2006年米)<4.5>     
 [監督]デイヴィス・グッケンハイム
  [出演]アル・ゴア
  [時間]96分
 [内容]民主党クリントン政権下で副大統領を務め、2000年の大統領選挙では共和党ジョージ・W・ブッシュ候補と激戦を展
    開し、前代未聞の大接戦と混乱の末に敗れ去ったアル・ゴア氏。彼は、その後、自身のライフワークとも言える環境問
    題、特に地球温暖化への対策の緊急性を訴え全米を中心に世界各地で精力的な講演活動を続けている。彼の講演活
    動の日々に密着し、豊富でヴィジュアルな素材と巧みなトークで構成された鮮やかな講演の模様を紹介。
  [寸評]2006年のアカデミー賞でドキュメンタリー長編の最優秀作品賞を受賞した事とテーマが話題の「環境問題」という事で
    非常に関心を持ち、まず、ゴア氏著作の原作を購入して読んだ。劇場で作品を観たかったが、結局観損ねたので、DVDを
    購入して鑑賞。正にゴア氏の講演そのものなのだが、映像・グラフ等を駆使してビジュアルに分かりやすく、地球温暖
    化、環境問題の深刻さを説明してくれて響いてくる。これは大勢の人が観るべき内容だと思う。本作品を観ていたら、二
    太郎が来て画面を少し観て、「お父さん、字幕で観ているけど、これは僕でも日本語で観たら分かる?」と聞いて来た。
    「この映画は大事な話だから、もう少ししたら観るといいね(現在、小3)」「僕が中学生になったら分かるかな?」「もっと早
    く分かるよ」というやり取りをした。何か感じ取るものがあったようだ。妻子・母とも皆で観るようにしたい。ゴア氏が語った
    ように、温暖化による悪化傾向を悲観的に眺めるのではなくて、少しでも温暖化を防ぐ事を意識して取り組まなければな
    らない。DVDの包装もエコを意識し、紙で作られており、”私にできる10のこと”が記載してある。十分意識しなければ・・

35.明日の記憶 (2005年日)<3.5>     
 [監督]堤幸彦
  [出演]渡辺嫌、樋口可南子、坂口憲二、吹石一恵、水川あさみ、及川光博、渡辺えり子、大滝秀治
  [時間]122分
 [内容]広告代理店に勤める49歳の佐伯雅行は、仕事も充実し、一人娘の結婚も控え、公私ともに忙しくも幸せな日々を送っ
    ていた。ところが最近になって急に物忘れが激しくなり、不安になって病院を訪れた佐伯は、そこで衝撃の事実を告げら
    れる。医者の診断は“若年性アルツハイマー”というものだった。佐伯は、やり場のない怒りと不安に苛まれる。だが、そ
    んな夫を妻の枝実子は静かに受け止め、2人で一緒に病と闘い続けようと覚悟を決めるのだった・・・。
  [寸評]働き盛りのサラリーマンに襲い掛かる“若年性アルツハイマー”の恐怖を描いた荻原浩の同名ベストセラーを映画化。
    2006年の日本アカデミー賞で渡辺嫌が最優秀主演男優賞を受賞している。徐々に記憶が失われていく主人公の戸惑い
    や不安、そんな夫を献身的に支える妻との深い絆を描いた作品で、“若年性アルツハイマー”誰しもが決して他人事とは
    いえない問題だ。TV放送されたので録画して妻と鑑賞したが、真剣に見入った。渡辺嫌と樋口可南子の演技、2人のや
    り取りの場面は、流石に上手くて見応えがある。この作品は2人に尽きると思う。最後の最後が、致し方ないが”ムム?”
    という終わり方だったな。大滝秀治が登場して渡辺嫌に語りかえるシーンは意味があるのかな?本作品を観終わった
    後、妻と「お互い、迷惑をかけるような事にはなりたくないね・・・」と会話した。まずは目の前の日々を一生懸命生きていく
    事が大切だね。

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