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26.あらしのよるに (2005年日)<3.0>     
 [監督]杉井ギサブロー
  [出演]<声の出演>中村獅童、成宮寛貴、竹内力、山寺宏一、坂東英二、早見優、市原悦子
  [時間]107分
 [内容]ある嵐の夜、仲間とはぐれたヤギのメイは、壊れた山小屋に避難した。するとそこへ、同じように嵐を逃れてやってき
    た一匹の“仲間”?。小屋の中は真っ暗でお互いの姿は見えないものの、心細かった二匹は言葉を交わし、次第に仲良く
    なっていく。そして、“あらしのよるに”を合い言葉に、翌日の再会を約束しそれぞれ小屋を後にする。ところが、待ち合わ
    せの場所でメイの前に現われたのは何とオオカミのガブだった・・・。
  [寸評]オオカミとヤギの間に芽生える友情を描いた”きむらゆういち”作のベストセラー絵本をアニメ映画化した作品。TV放
    送されたので録画して家族で2回に分けて鑑賞した。子供だけでなく、大人もそれなりに楽しめる内容なのだが、オオカミ
    とヤギという相反する立場で、各々が相手を思いやる様はよいのだが、どうもゲイ的で妙な感じがしてしまった。いっその
    事、男女のラブストーリーにした方がよかったのかもしれない。話は極めて単調な展開かと思いきや、過程において”最
    後はどうなってしまうのだろう?”と、それなりに緊張感を持って観れたし、最後の10分の展開はまるで読めなかった。TV
    で録画して観る分には悪くはない。それほど余韻に残る作品ではないかな・・・

27.県庁の星 (2006年日)<3.5>     
 [監督]西谷弘
  [出演]織田裕二、柴咲コウ、佐々木蔵之介、和田聰宏、紺野まひる、益岡徹、ベンガル、酒井和歌子、石坂浩二
  [時間]131分
 [内容]K県庁のキャリア公務員の野村聡は、プライドが高く、組織の中でいかに出世するかが人生の目的の全てという極端
   な上昇志向の持ち主だ。ある時彼は、県政の目玉プログラムである民間企業との人事交流研修のメンバーに選出される。
   ところが、派遣されたのは田舎の三流スーパー“満天堂”で。しかも、野村の教育係となった二宮あきは自分より年下のパ
   ート店員で、それでも出世のためと意気込む野村だったが、書類とマニュアル優先の仕事しか知らない野村はまるで役に
   立たず、現場主義で実戦派の二宮ともことごとく衝突してしまうのだった・・・
  [寸評]「官」と「民」の意識の違いを分かりやすくユーモラスに描き出した桂望実の同名ベストセラー(未読だが・・)をTVドラ
   マ「白い巨塔」「ラストクリスマス」等を演出した西谷弘が監督した作品。予告編を観た時から興味はあったが、劇場で観る
   には至らず、TV放送されたので録画して妻と拝見。私の会社・部署でも「現地現物」と叫ばれているように、いかに現場の
   人や動きを知り、その立場にたって改善等を考えていけるかが大切である。野村は杓子定規のように上から見下ろす態度
   でスーパー“満天堂”の人達と接していたのだが、二宮とやり取りしている内に、変わっていき、人間味が厚くなってくる。
   仕事の基本姿勢を改めて認識させてもらったし、野村と二宮の掛け合いもなかなか良かった。故伊丹監督の「スーパーの
   女」で描かれた改革に比べると、緊迫感・面白さには及ばないが、「官」の世界も風刺しているので、マズマズの内容だと
   思うし、楽しく観れた。最後の最後がハッピーエンドでないところも、それはそれで良いのかな。どちらにしても改革を行う
   には目標の明確化・共通化、モチベーションの向上、皆との結集等、エネルギーがいりますね・・・

28.舞妓 Haaaan!!! (2007年日)<3.0>     
 [監督]水田伸生
  [出演]阿部サダヲ、柴咲コウ、堤真一、小出早織、京野ことみ、生瀬勝久、真矢みき、吉行和子、伊東四朗
  [時間]120分
 [内容]鈴屋食品の東京本社に勤務する平凡な会社員である鬼塚公彦は、高校時代に修学旅行先の京都で舞妓に出会っ
   て以来、熱狂的な舞妓ファンとなり、いつかは“舞妓はんとの野球拳”を行うという究極の夢を抱いていた。まだ“お茶屋”で
   舞妓と遊んだ事がない公彦だったが、念願の京都支社への転勤が決まり、同僚OLの彼女である大沢富士子をあっさりと
   捨てて京都に赴く。はじめは“一見さんお断り”の壁に跳ね返されるものの、お茶屋の常連だった社長から“仕事で結果を
   出せば連れて行ってやる”と言われ、懸命に働いて成果を出し、ついにお茶屋デビューを果たす。そして公彦は、いよいよ
   念願だった舞妓との野球拳を実現しようとするのだが…。
  [寸評]正直、予告編では観ていたものの、当初はノーマークの作品だった。第9回目となる大学時代の仲間との宿泊付の
   会合の帰途の際、観る映画を思案した結果、単純に笑えそうな本作品を選んで鑑賞。本作品は冒頭から突拍子もないテン
   ションで始まり、最初は違和感を感じる。それを”まともであれよ!”と真面目に考えて観ようとするといけない。最後の最後
   まで独特のテンションが貫き通される。結局、何が言いたかったか、よく分からない感じがしたが、単純に笑えるオバカ映画
   という感覚で観ればよいのでは・・・。それにしても内容が無茶苦茶であるが、京都の祇園の世界に触れたり、”一見さん、
   お断り”というル−ルがある事を知れ、柴咲コウの舞妓姿も観れて、観る分には退屈はしないし、笑ってしまう場面もある。
   真面目に考えると変な作品だけどね・・・劇場で観るまでもなく、レンタルやTV放送で十分かもしれない・・・

29.ダイ・ハード4.0 LIVE FREE OR DIE HARD (2007年米)<3.5>     
 [監督]レン・ワイズマン
  [出演]ブルース・ウィルス、ジャスティン・ロング、ティモシー・オリファント、メアリー・エリザベス・ウィンステッド
  [時間]129分
 [内容]米国独立記念日の前夜。ワシントンDCのFBI本部に、何者かが全米のあらゆるインフラを監視するシステムにハッキ
   ングを仕掛けてきたとの情報が入り、ブラックリストに載るハッカー達の一斉捜査が開始される。一方その頃、ニューヨーク
   市警統合テロ対策班のジョン・マクレーン警部補は、久しく顔を見ていない娘ルーシーに会うため、ニュージャージー州の大
   学に立ち寄っていた。しかし、意に反してルーシーの冷たい対応に気落ちする。おまけに、たまたまそこにいたばかりに、上
   司から、近くに住むマットというハッカーをFBI本部まで連行せよ、というヤボ用まで仰せつかるハメになる。不承不承、マッ
   トのアパートへと向かうマクレーンだったが、それは、不運の序章にすぎなかった…。
  [寸評]「ダイ・ハード3」以来、12年ぶりに続編として登場。「ロッキー」同様、何故、今また「ダイ・ハード」なのか?という感を
   否めないが、過去の3作品共、好きな私(但し、個人的評価は1>2>3)にとってはやはり飛びついてしまい、先行上映を鑑
   賞。事件の舞台は1→2→3→4といくにつれ、高層ビル→空港→ニューヨーク市街→米国全土とスケールアップしていき、
   本作品は犯罪規模も壮大で、アクション・シーンもド派手でびっくりするようなシーンも数箇所あるのだが、何故か、犯人側
   がやりたい事もイマヒトツよく分からない(3作目同様、結局”金”という事なのだろうが)し、事件を解決していく紐解きが弱
   い感じがする。1作目は一つ一つの台詞が後半にしっかりつながっていく秀作だっただけに、今回は、娘とのエピソードも
   薄っぺらいし、救出場所にたどり着くのが、ドラえもんの”どこでもドア”を使ったのではないか?というぐらい無理があるし、
   人をむやみに殺しすぎる。ジョン・マクレーンは当初から、自身が酒飲みで、妻との関係も危うい、欠落している所もある刑
   事だが、1作目、2作目で捨て身で妻や民衆を救い、「英雄」となった。そこまでして救った妻と、今回の設定では離婚してい
   て、子供達とも疎遠になっている、という事になっていて、物悲しかったな。何とか上手くやっているよ、という姿を見たかっ
   たんだけどなあ・・・何もかも満たされている英雄はいない、というのは真実だけどね。ブルース・ウィルスはまだまだ健在
   という事はいえるが、本作品は過去3作品には及べなかったと正直思います。(2回程、睡魔が来たもの・・・)

30.プレステージ THE PRESTIGE (2006年米)<4.0>     
 [監督]クリストファー・ノーラン
  [出演]ヒュー・ジャックマン、クリスチャン・ベイル、マイケル・ケイン、スカーレット・ヨハンソン、レベッカ・ホール
  [時間]130分
 [内容]舞台は19世紀末のロンドン。華麗かつ洗練されたパフォーマンスで魅せる“グレート・ダントン”ことロバート・アンジ
    ャーと、天才的なトリック・メイカー“ザ・プロフェッサー”ことアルフレッド・ボーデンという2人のマジシャンがいた。2人は、
    修業時代から互いを認め合い、マジックの腕を競い合っていた。しかし、アンジャーの妻が脱出マジックに失敗して命を
    落とすと、その原因がボーデンの縄の結び方にあった事から、アンジャーは彼への復讐に取り憑かれていく。そんな中、
    ボーデンはサラと出会い、幸せな家庭を築く。一方のアンジャーも、美しく優秀なアシスタント、オリヴィアを得て、その華
    麗なステージが評判となる。しかし、2人の確執は一層激しいものとなっていくのだった・・・
  [寸評]世界幻想文学大賞を受賞したクリストファー・プリーストの傑作『奇術師』を、「メメント」「バットマン ビギンズ」のクリ
    ストファー・ノーラン監督が映画化したサスペンス。予告編から非常に関心を持っていたので、6/26は亡父の命日で、お寺
    さんと一緒にお経を唱えるため、有休にしたので、お経の終了後、妻と一緒に劇場にて鑑賞。本作品は全編に渡り、暗い
    テンションで、登場人物が皆、重いものを背負っていて、ハッピーになる事はない。しかし、話の展開の仕方が非常に上
    手く出来ており、ミステリアスで最後までひきつけられる上質な作品といえる。妻と観終わった後に会話したところ、幾つ
    か、分かっていない所、理解できない所がある。マジシャンは舞台のみならず、プライベート面でも装いを行っているとか
    観客にとって種明かしは何ら興味がない、といったマジックを深堀りした描写は興味深かった。本作品の結末を認識した
    上でDVD(発売後)でじっくり再見すると新たな気付きがあるかもしれない・・・

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