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26. NANA (2005年日)<3.5>     
 [監督]大谷健太郎
  [出演]中島美嘉、宮崎あおい、成宮寛貴、松山ケンイチ、平岡祐太、サエコ、松田龍平
  [時間]114分
 [内容]東京に向かう新幹線の中で偶然出会った小松奈々と大崎ナナ。何よりも恋を優先し、東京にいる彼氏のもとに
   向かう奈々。一方、パンクバンドのヴォーカルとして成功を誓い、東京を目指すナナ。20歳同士で同じ名前だった事で
   2人は意気が投合する。その後、引っ越し先の部屋でも偶然の再会を果たし、結局2人は一緒に暮らす事に。対照的な
   2人ではあったが、この奇妙な共同生活は周囲の予想に反し、2人にとって充実したものとなり、ナナと奈々の友情は
   深まっていった・・・
  [寸評]若い女性を中心に熱狂的な支持を集めているという”矢沢あい”(実は知らなかった)の同名コミックを、人気シン
   ガーの中島美嘉と2008年の大河ドラマ「篤姫」の主演に抜擢された宮崎あおいの主演で映画化した青春ストーリー。
   木曜日の23時過ぎから40分限定(明日の仕事を考え)で妻と観始めたが、引き込まれて、途中で止めるのが惜しくな
   り、最後迄観てしまった(1時)。中島美嘉と宮崎あおいが各々の役柄を上手く演じていると思うが、観終わると、あれ、
   ここで終わり?という感じで余韻がやや物足りなかったかな・・・。2人のキャラをもっと深く掘り下げて描いた方がよか
   ったような気がする。宮崎あおい(奈々)のナレーションから、ナナに何かあったのか?という感じも受けるが、原作を読
   んでいる人は、知っている事なのだろうし、私とは違う感じ方をしたのだろうな。奈々もナナも収入がない内に、7万円の
   家賃のアパートを借りようとするのは無理があるぞ!(この言い方はオジサンくさいか?)人気コミックを映画化した話
   題作を観て最近の流行(?)を知る面では価値があったかな。

27.歓びを歌にのせて SA SOM I HIMMELEN (2004年スウェーデン)<4.0>     
 [監督]ケイ・ポラック 
  [出演]ミカエル・ニュクビスト、フリーダ・ハルグレン、ヘレン・ヒョホルム、レナート・ヤーケル、ニコラス・ファルク
  [時間]132分
 [内容]天才指揮者として世界的に大きな名声を得ているダニエル・ダレウス。しかし想像を絶するプレッシャーと過酷なス
   ケジュールのために彼の肉体と精神はもはや限界に達していた。そしてついに彼は第一線から退くことを決断する。全て
   を捨てた彼がたった一人で向かった先は、幼年期を過ごした小さな村ユースオーケル。ここで静かに余生を送ろうとして
   いたダニエルだったが、やがて地元の聖歌隊を指導してほしいと頼まれる。最初は抵抗を感じたものの、素人ばかりの
   彼らが心から音楽を楽しむ姿に触れ、次第に彼自身も音楽の素晴らしさを改めて実感していくのだった・・・。
  [寸評]本国スウェーデンで大ヒットし、2005年のアカデミー賞外国語映画賞にもノミネートされた作品で、心身共に疲れ果
   てた名指揮者と聖歌隊の触れ合いを描いた注目作品だが、愛知県では1館でしか上映(?)されていなかったため、レ
   ンタルで拝見。合唱を通じて、自信を深めたり、結束力を固めていくのがオーソドックスなパターンだが、本作品は、人間
   模様が予想以上にドロドロと生々しく描かれている。嫉妬、長年の鬱積の爆発、DVを受け続ける女性、恋愛感情・・・。牧
   師の嫉妬は見苦しくみえるが、彼の気持ちも分からないではない。人の求心力は不変ではないし、精一杯、何かを人々に
   与え、共鳴してもらえなばならない・・・。レナのような女性には私は違和感を感じるのが正直なところだが、彼女はなかな
   か芯が強いなあ・・・ダニエルとレナの最後のシーンは余分な気がするが・・・。最後は物悲しい結末となるが、ハッピーな
   終わり方にしても良かったと思う。大学時代、男性合唱をやっていた私にとっては、懐かしく、音楽の素晴らしさを再認識
   させられた。ガブリエラのソロは心に響いた。

28.Mr.&Mrs. スミス MR. AND MRS. SMITH (2005年米)<3.5>     
 [監督]ダグ・リーマン
  [出演]ブラッド・ピッド、アンジェリーナ・ジョイニー、ヴィンス・ヴォーン、アダム・ブロディ
  [時間]118分
 [内容]運命的な出会いの末、電撃的に結婚したスミス夫妻。しかし、この2人には互いに相手に知られたくない秘密があっ
   た。実は、Mr.スミスは直感を頼りに修羅場をくぐり抜けてきた一流の殺し屋、一方のMrs.スミスも最新鋭のテクノロジ
   ーを駆使してミッションを遂行する暗殺エージェントのエースだったのだ。しかも2人は対立する組織に属していた。互いに
   正体を隠して結婚生活を送っていた2人だったが、ある時ついに、ミッション遂行中の現場でバッタリ出くわしてしまう。正
   体を知られてしまった以上、たとえ愛する人でも抹殺するのがこの世界の掟。早速、2人は相手を始末すべく、壮絶な戦
   闘を開始するのだが…。
  [寸評]ハリウッドを代表するスーパースター、ブラッド・ピットとアンジェリーナ・ジョリーが初共演を果たしたアクション・コ
   メディで、アンジェリーナ・ジョリーが私生活でもブラッド・ピットの子供を出産する事になった話題作。結構、周囲からの
   ”外れなし”という評判を基にレンタルで拝見。なかなかアクション・シーンは見応えがあるし、笑えるコメディ要素もあるの
   で観ていて楽しめるのは確かだ。但し、後半のオチが何と言ってよいやら・・・。欲を言えばキリがないが、組織間の全面
   戦争まで話を拡大していくれてもよかったかな・・・。本作品は、夫婦間には各々秘密があって、それがバレタ事によって
   ドタバタ争いをしながらも結束を固めていく「夫婦間の絆」・・・という事を言いたかったのかな。

29.ワールド・トレード・センター WORLD TRADE CENTER (2006年米)<4.0>     
 [監督]オリヴァー・ストーン
  [出演]ニコラス・ケイジ、マイケル・ペーニャ、マギー・ギレンホール、マリア・ベロ、スティーブン・ドーフ
  [時間]129分
 [内容]2001年9月11日の早朝。港湾警察のジョン・マクローリン巡査部長は、いつものように署に着くと部下達を集め“お互
    いを守り合い、事故のないように”と言葉をかけ、それぞれの現場へと送り出す。ところが間もなく、世界貿易センタービ
    ルの北棟に旅客機が激突する大惨事が発生し、港湾警察官達に緊急招集がかけられる。すぐさまマクローリンを班長と
    した救助チームが結成され、現場へと急行する。現場の惨状に言葉を失う彼らだったが・・・
  [寸評]9.11米国同時多発テロの際、崩落した世界貿易センタービルの瓦礫の中から奇跡的に生還した2人の港湾警察官
    の感動の実話を「プラトーン」「7月4日に生まれて」のオリヴァー・ストーン監督により映画化。先般観た「ユナイテッド93」
    とは異なる視点で描かれた作品。タイトルに対して、本作品は生き埋めになった2人の港湾警察官の生還、家族の
    思い、2人を救う救出劇に焦点を絞った内容のため、もっと多くの犠牲者の事を考えて、多角的な視点で「9.11」を描くべ
    きだ、という意見も出うるし、評価も分散すると思うが、こういう描き方も良いのではなかろうか。あのビルの中から救出さ
    れた人数が僅か20人とは・・・。爆発のシーンは迫力があって、胸が痛んだな。生き抜く意志、家族の愛情、使命感・・・
    といった大切なものを改めて認識させてくれた。あんな惨劇は二度と起こってほしくないし、テロの起きない世の中になっ
    てほしいもの。

30.フラガール (2006年日)<4.0>     
 [監督]李相日 
  [出演]松雪泰子、豊川悦司、蒼井優、山ア静代、岸部一徳、富司純子
  [時間]120分
 [内容]昭和40年、福島県いわき市の炭鉱町。時代は石炭から石油へと変わり、閉山が相次ぎ、町は先細りの一途をたどっ
    ていた。そこで、起死回生のプロジェクトとして豊富な温泉を利用したレジャー施設“常磐ハワイアンセンター”が計画さ
    れた。そして、目玉となるフラダンスショーのダンサーの募集が地元の少女達に対して行われた。この町から抜け出す
    チャンスだと考えた早苗は紀美子を誘って説明会へと向かう。説明会では、セクシーな衣装で踊る姿に、大半の応募者
    が逃げ出し、残ったのは紀美子と早苗の他には初子と小百合のわずか4人だけだった。そんな中、元SKD(松竹歌劇
    団)のダンサー平山まどかがフラダンスの教師として東京から招かれる。
  [寸評]炭坑の閉山で活気を失った町の再生を期して計画されたレジャー施設“常磐ハワイアンセンター”(現・スパリゾート
    ハワイアンズ)誕生にまつわる感動秘話を映画化した作品。急遽、雑誌を立ち読みしていて本作品の記事を見て興味が
    わいたところに、一姫が「観たい」と言ったので、私と一姫二太郎で鑑賞。素人な女性達が一から取り組み結束していく
    姿は「スウィング・ガールズ」を、炭坑の風情は「リトルダンサー」を彷彿させるが、本作品は色々な登場人物のエピソード
    を絡めて話が進み(やや中途半端な気もするが)、最後のダンス・シーンで華麗に一気に魅せてくれる。蒼井優のダンス
    もなかなかいいね!松雪泰子の、立ち小便に文句を言うシーン、男湯に殴りこむシーンは滑稽であった。ところどころに
    粗や疑問がありながらも「ウォーターボーイズ」「スウィング・ガールズ」同様に、しっかりと最後に締めてくれました。
    ダンスの後に彼女達が浮かべた涙は共感できるなあ・・・。本作品はアカデミー外国映画賞の選考に日本映画代表とし
    て出品される。どれくらい評価されるか注目したい。
 
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