一覧へ 前頁ヘ 次頁ヘ
61.箪笥 A TALE OF TWO SISTERS (2003年韓国) <1.5>
[監督]キム・ジウン
[出演]イム・スジョン、ムン・グニョン、ヨム・ジュンア、キム・ガブス
[時間]115分
[内容]韓国のソウルの郊外。ある日、スミとスヨンの姉妹は長い入院生活を終え、静かに佇む一軒家に帰って来た。2人を
笑顔で迎える継母のウンジュ。だが、そこには同時に冷たい表情も浮かんでいた。新しい母親に対し、姉妹は嫌悪と警
戒心を抱く。その夜、部屋で何者かの気配を感じて怯えるスヨンを優しく抱きしめ落ち着かせるスミ。しかしスミの方も
その晩、悪夢にうなされてしまう。それ以来、家の中では怪奇現象が頻発し、情緒不安定になったウンジュと姉妹の対
立も深まるばかり・・。ところが父親のムヒョンはそんな彼女達をただ傍観するのみだった…。
[寸評]韓国の古典怪談『薔花紅蓮伝』を下敷きに、怨霊に取り憑かれた家に住む4人家族を巧みな心理描写とスタイリッシ
ュな映像で描いたミステリー・ホラー。スピルバーグ監督が史上最高額でリメイク権を獲得したことでも話題になった
作品でレンタルDVDで妻と鑑賞。しかし、どうにも訳が分からん話だった。鑑賞後に妻と話をしても、何が正しい解釈なの
かも分からない。時間軸も現在?過去?と入り乱れているので、何が何だか理解できない。父親のムヒョンを見ていると
本当に腹が立つ!本作品の中味はDVDの音声解説でも聞けば多少は理解ができるのかもしれないが、それを聞いて
までも理解しようというパワーはない。「反則王」のキム・ジウン監督にしては期待外れ。現時点では本年のワースト作
品。
62.ブラック・ジャック (1996年日) <3.0>
[監督]出崎統
[出演]<声>大塚明夫、水谷優子、涼風真世、星野充昭、井上喜久子、岩本規男
[時間]93分
[内容]以前治療した少女に新たな病気が併発した事を聞きつけ、ロンドンへと赴いたブラック・ジャック。しかし到着時には
既に手の施しようがない状態だった彼女は、そのまま息絶えてしまった。落胆しながらも少女の病理解剖に立ち会った
彼は、そこで愕然とする。その14歳の少女の臓器は、まるで90歳の老人のように使い古されていたのだ…。
[寸評]手塚治虫の漫画の中でも「ブラック・ジャック」「火の鳥」は大傑作だと思う。これまでも幾つか映画化(実写化も有)
されているが、漫画の素晴らしさをイメージ・ダウンさせてほしくなくて観る気がしなかった。ところが2004年からTV放送
されている作品(月曜日19時)は原作を上手く再現しており、非常に好感が持てる。一姫がお気に入りで私・妻子共に欠
かさず観ている。今年の12月に映画版が公開されるため、当然のごとく皆で観に行く(前売り券を購入済)。11/5の夜に
家族で映画会を行う事になり、レンタルDVDで1996年の劇場版を鑑賞する事になった。監督は出崎統、キャラクターデ
ザインは杉野昭男という「あしたのジョー」「エースをねらえ」のコンビ。声優は大塚明夫、水谷優子で今のTVと同じゆえ、
違和感はないかと思って鑑賞。今のTVシリーズのノリ・音楽になじんでいるため、子供達はかなり違和感を感じた模様。
「何か怖いよ〜」を連発。物語も大人を対象にした内容で子供にはなじみにくいか。私も可も不可もなし、という感じ。
原作に本作品のモチーフはあったのかな?何か手塚さんの思いと離れて製作されていると遺憾な感じもする。個人的
に残念なのはピノコちゃん(TVシリーズが非常に好感!)を軽く描いていた事。見知らぬ人にあんなにたやすくついてい
かないぞ!
63.史上最大の作戦 THE LONGEST DAY (1962年米) <4.0>
[監督]ケン・アナキン、ベルンハント・ヴィッキ、アンドリュー・マートン
[出演]ジョン・ウェイン、ヘンリー・フォンダ、ジャン=ルイ・バロー、ロバート・ライアン、リチャード・バートン
[時間]179分
[内容]1944年6月、フランス、ノルマンディー。第二次世界大戦は佳境に差しかかろうとしていた。この地では、司令官ロン
メル率いるドイツ軍が、英仏海峡を挟んで戦機を目論む連合軍の攻撃に備えている。敵には人数で圧倒されているが
天候を味方につけて堅固な防御態勢を敷いていた。一方イングランドでは、アイゼンハワー司令官率いる連合軍が、ノ
ルマンディー上陸作戦の日であるDデイを何日にするか最終的に絞り込んでいた。こうして6月66日の早朝、連合軍の
空挺部隊が降下したのを皮切りに、いよいよ熾烈を極めた上陸作戦が始まるのだった…。
[寸評]1944年6月6日、連合軍によるノルマンディー上陸作戦に材を取ったコーネリアス・ライアンのノンフィクションを基に
ダリル・F・ザナックが製作費36億を投じて作り上げた一大戦争パノラマ。米・英・仏・独のトップスター達が顔を揃えて
凄まじい戦場を再現している。本作品の存在は以前より知っていたが、TVを録画しながら観ずに終わり、春にDVDで
廉価版(980円)で発売されたので購入していた。ようやく拝見。登場人物が多く、幾つかの話が織り交ぜているので、
今、こちらはどちらの軍かな?この人は先の人と同じ人物か?と混乱しながら3時間、壮絶な戦場のシーンを見つめる
事になる。パラシュートが時計台に引っかかった兵士から見た戦場の姿、ヒトラーの指示が曖昧ゆえ、部下に困惑し
ながらヤケクソな指示を与える士官等、個々には印象深いエピソードがある。「プライベート・ライアン」のように「一つの
大命題」に向けて繰り広げられる話ではないので、本作品の方が時間の長さを感じるかな。ノルマンディー上陸作戦の
背景も分かり勉強にもなったが、本作品は劇場の大画面で堪能すべきものでしょう。
64.運命を分けたザイル TOUCHING THE VOID (2003年英) <3.5>
[監督]ケヴィン・マクドナルド
[出演]ジョー・シンプソン、サイモン・イェーツ、ブレンダン・マッキー、ニコラス・アーロン、リチャード・ホーキング
[内容]1985年6月、野心溢れる若き英国人クライマー、ジョー・シンプソンとサイモン・イェーツは、アンデス山脈の難関、
標高6600mのシウラ・グランデ峰に挑んだ。ほぼ垂直にそびえる西壁はいまだ誰も成功したことのない未踏のルート。
それでも2人は数々の困難を乗り越え、ついに西壁を制覇し登頂に成功する。しかし、悲劇は下山の途中に起きた。
細心の注意を払って下山する彼らを自然の猛威が襲う。そしてついにジョーが数10メートル滑落してしまう。滑落時の
衝撃で片脚を骨折してしまうジョー。雪山での骨折は、即、死を意味した。事態の深刻さに言葉をなくすジョーとサイ
モン。意を決したサイモンは互いの体をザイルで結びつけ、無謀な単独救出を試みる。しかし・・・
[寸評]アンデスの過酷な雪山でザイルに繋がれたまま遭難した2人の登山家の奇跡の生還劇を、当事者たちのインタビ
ューと迫真の再現ドラマで描き出した真実の物語で、ジョー・シンプソンのベストセラー・ノンフィクション『死のクレバス
アンデス氷壁の遭難』を映画化した作品。ミニシアター系で上映されていた時に注目していたが、ミニシアター系作品
もレンタルに確実に登場するのでありがたい。ジョー、サイモン、リチャードの当事者のインタビューに沿って当時の
様子を迫真に別の俳優が演じているドキュメンタリータッチの作品。後半は見ている間、「あの重傷の中でジョーはど
のように窮地を脱するのか」「サイモンは引き返して助けにいかないのか、どのタイミングで助けるのか」の2点だけを
考えていた。ジョーの行動力・生命力は凄いし、想像を絶するものだ。それにしても雪山は怖いね。サイモンの行動は
多くの山岳関係者からバッシングを受ける中、ジョーは擁護したとの事。私も妻もサイモンについては複雑な思いが
残ったな。当事者にしか分からない超越した出来事なんだけど・・・
65.パッチギ! (2004年日) <4.0>
[監督]井筒和幸
[出演]塩谷瞬、高岡蒼佑、沢尻エリカ、楊原京子、尾上寛之、真木よう子、オダギリジョー
[時間]119分
[内容]1968年の京都。東高校2年の松山康介はある日、担任の布川先生から指示を受け、常日頃争いの絶えない朝鮮高
校へ親善サッカーの試合を申し込みに行くハメになった。そして、親友の紀男と共に恐る恐る朝鮮高を訪れた康介は、音
楽室でフルートを吹くキョンジャという女生徒に一目惚れしてしまう。間もなく彼女の兄が朝鮮高の番長アンソンである事
も知る康介。それでも彼はキョンジャと仲良くなるため、楽器店で知り合った坂崎からキョンジャが演奏していた『イムジ
ン河』という曲を習い、彼女の前でギターで弾こうと決意するのだが…。
[寸評]朝鮮分断の悲しみを歌った名曲『イムジン河』をモチーフに、騒動を巻き起こす日本と在日朝鮮の高校生達の恋や
友情を熱く綴った作品。タイトルのパッチギとは、ハングル語で“突き破る、乗り越える”または“頭突き”という意味も持
つ。劇場で本作品の予告編を観て関心は持っていたが、現在、火曜日21時からTV放送されている「1リットルの涙」の
主演の沢尻エリカが本作品に出演している事もあり、レンタルDVDで拝見。井筒和幸監督は厳しい映画批評も行うが、
それなりに良い作品を作る。喧嘩のシーンがかなり過激であったり、妊娠〜出産までの時間軸が?であったりするが、
なかなか観ていて楽しい作品だった。私が生を受けた時代が60年代で、その時代の世相を反映させており、興味深かっ
た。康介とキョンジャの最後のシーンはなかなかいいね。でも本作品の中心はキョンジャの兄のアンソンだね。あまりに
破天荒でどこかトボケテいるけど面白いキャラだ。キョンジャを演じた沢尻エリカも、京都弁とハングル語を使いまわして
頑張っていたね。もっと出番が多くても良かったけどな。
一覧へ 前頁ヘ 次頁ヘ