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56.シルミド/SILMIDO SILMIDO (2003年韓国) <3.5>     
 [監督]カン・ウソク
  [出演]アン・ソンギ、ソル・ギョング、ホ・ジュノ、チョン・ジェヨン、イム・ウォニ
  [時間]135分
 [内容]1968年1月、北朝鮮特殊工作部隊による青瓦台(韓国大統領府)襲撃未遂事件が発生。同年4月、韓国政府はその
    報復として仁川沖のシルミド(実尾島)に死刑囚ら31人の男達を集め、極秘に金日成暗殺指令を下した。こうして31人は
    その時の年月から名付けられた684部隊の特殊工作員としてジェヒョン隊長の下、過酷な訓練を開始する。3年後、優秀
    な工作員に仕立て上げられた彼等に、いよいよ実行命令が下される。しかし、政府の対北政策は決行目前になって大き
    く転換し、北潜入へ向けて行動を開始した部隊に急遽命令の撤回が告げられるのだったが…。
  [寸評]長年に渡って隠蔽されてきた韓国政府による金日成暗殺計画とそれを巡る工作部隊の反乱事件を描いたアクション
    ・サスペンス。自国の暗部に光を当てた衝撃的なテーマと壮絶なアクションが話題となり、韓国では記録的な大ヒットと
    なった。作品の冒頭に陳述されている通り、事実に対して多少の脚色をしてある、という事から、本当は特殊部隊は死刑
    囚やヤクザばかりでないのかもしれない。本作品は観終わって、しみじみと考えると何とも”重い”内容だ。復讐を行うた
    め、特殊部隊を作り、方針転換したら、”爆弾”を抱える事になったから、”爆弾”を処分するよう命じる、という国家の非情
    な姿勢。方針転換せずに、暗殺計画を実行していたとしても、特殊部隊は助からなかったであろう事を考えると、特殊部
    隊の運命は非常に虚しいものだ。でも、本当にどこまで事実に基づいて描かれているのだろうか?どの国でも何時でも
    戦争のもたらす悲劇は数多く、虚しいものである事は変わらないが・・・

57.名探偵コナン 銀翼の奇術師(マジシャン) (2004年日)<3.0>     
 [監督]山本泰一郎
  [出演]<声>高山みなみ、山崎和佳奈、神谷明、茶風林、緒方賢一、林原めぐみ、山口勝平
  [時間]108分
 [内容]日本を代表する舞台女優・牧樹里が怪盗キッドの犯行予告状を持って毛利探偵事務所を訪れた。それは、樹里が
    舞台で使用しているスターサファイア“運命の宝石”を盗み出すというもの。小五郎は樹里が主演する明日の公演最終
    日にキッドが現われ、劇中でスターサファイアを奪うと予言する。そこで、小五郎、蘭、コナン達は公演が行われている劇
    場“宇宙”を訪れる。そして公演前に、驚くべき事に、コナン達の前に工藤新一が現われたのだ。自分が本当の新一であ
    る事を隠しているコナンは、目の前の新一が変装したキッドであることを確信しながらも、そのことを明かせず地団駄を踏
    む。一方、蘭は久々の新一との再会に心揺れる。そうこうしているうち、いよいよ舞台“王妃ジョセフィーヌ”が始まった。
  [寸評]劇場用作品の第8作目。コナンにはまる契機となった劇場用最新作「水平線上の陰謀」が公開されるタイミングで昨
    年の劇場用作品の本作品が4月にTVで放映された時に録画(DVD−RW)しておいた。一姫二太郎は既に観ていたが、
    私は、8作目ゆえ、コナンの過去の劇場用作品を押さえてからにしようと保留にしていた。機は熟したか(?)、DVD−RW
    を取り出し、鑑賞。3作目に引き続き、怪盗キッドが登場する。いきなり工藤新一に変装するため、蘭を惑わせ、その惑
    いが最後迄きいてくる。今回の内容は犯人は誰か?という探偵的な要素は少なく(犯人はすぐ想定できたし、事件はあ
    っさりとしたもの)、飛行機が無事着陸できるか、が主を占める。映画「乱気流 タービュランス」を思い起こさせる内容
    だ。あんなに簡単に俳優(怪盗キッド変装)に操縦を任せるのも変だし、コナン・蘭がコックピットの操作機器名を知って
    いて操作がスラスラ出来るのは漫画だ(漫画なんだけどね・・・)。観ていて楽しめる事は確かだが、何か他映画の二煎
    じの感が強く、「ありえねー」事だらけで今回はやや消化不良であった。

58.トゥーランドット THE TURANDOT PROJECT (2000年米・独) <3.5>     
 [監督]アラン・ミラー
  [出演]ジョヴァンナ・カゾッラ、セルゲイ・ラリン、バーバラ・ヘンドリックス
  [時間]85分
 [内容]プッチーニのオペラ『トゥーランドット』を紫禁城で上演する―あのカラヤンが企画しながらも成し得なかった夢のプ
    ロジェクト。これが、フィレンツェ歌劇場主席指揮者ズービン・メータの指揮、「紅いコーリャン」「初恋のきた道」のチャン・イ
    ーモウ演出でついに実現した。未だかつて誰も経験した事のない紫禁城での舞台づくり。そして、言葉や文化の違いか
    ら対立するイーモウら中国人スタッフとヨーロッパ人スタッフ。カメラはこうした様々なな困難を乗り越えて大成功裡に終
    えた歴史的イベントの舞台裏を克明に記録していく。
  [寸評]私はオペラを観るのも好きである(今年は行っていないが・・・)。「トゥーランドット」はNHK衛星で放送されたもの、
    2003年1月に愛知県芸術劇場で公演されたものを観た事がある。それゆえに1998年9月に物語の舞台でもある北京の
    紫禁城で初めて上演された歴史的な一大イベントの舞台裏に迫ったドキュメンタリーを非常に関心を持って鑑賞。中国
    の映画監督であるチャン・イーモンの映画やフィレンツェ歌劇場の文化と異なる中での演出の苦労がひしひしと伝わって
    くる。こどわりのある芸術家達との間でのやり取りは大変なんだな。フィレンツェ歌劇場側のチャン・イーモンへの厳しい
    風当たりが印象的だ。DVDの特典映像(メイキング)を観ている感じだったが、オペラを公演するに当たっての舞台裏を
    みれたのは良かった。紫禁城は私の(ささやかな)旅行歴の中でも3本の指に入る印象深い地だ。そんな場所で実際に
    オペラを観られた人はうらやましいな。なんだかオペラ「トゥーランドット」のDVDでも購入して観たくなった。

59.ニュースの天才 SHATTERED GLASS (2003年米) <2.5>     
 [監督]ビリー・レイ
  [出演]ヘイデン・クリステンセン、ピーター・サースガード、クロエ・セヴィビニー、スティーブ・ザーン
  [時間]94分
 [内容]1998年、ワシントンD.C.。25歳のスティーブン・グラスは、米国大統領の専用機に唯一設置され国内で最も権威があ
    るといわれる政治マガジン“THE NEW REPUBLIC”に勤める最年少の編集者だ。彼は斬新な切り口で身近な政財界の
    ゴシップを次々とスクープしてスター記者へと成長していく。一方で、その驕らない人柄から社内外での人望も厚かった
    スティーブンだが、ある時彼の手掛けた“ハッカー天国”というスクープ記事が他誌から捏造疑惑を指摘されてしまう。
    そしてそれを契機に、スティーブンの驚くべき事実が発覚していく…。
  [寸評]米国のマスコミ界に衝撃をもたらした人気ジャーナリストによる記事捏造事件を、事実を基にリアルに再現した社会
    派ドラマ。捏造が発覚し次第に追い詰められていく青年記者と、複雑な思いを胸に事件と向き合う周囲の人々の姿を綴
    った作品。最近、新聞記事に書かれる内容も悪意に満ちていたり、データの裏づけがいい加減だったりする事を目に
    する。記事を発表する迄の、メンバーで情報入手先のメモ等が基になっているか確認しあったり、表現を添削しまくった
    りする様を見せてくれたのは興味深かったが、全般的にはわざと混沌とさせている所もあり、イマヒトツ響いてこなかっ
    た感じがする。ヘイデン・クリステンセンもマズマズではあったが・・・。マスコミの記事も当てにならないものが多い、と
    いう教訓を示してはいるが・・・。観終わって何となく嫌な気持ちにもなった。

60.機動戦士Zガンダム II−恋人たち− (2005年日) <3.5>     
 [監督]富野由悠季  
  [出演]<声>飛田展男、池田秀一、古谷徹、鈴置洋孝、ゆかな、浪川大輔、池脇千鶴
  [時間]98分
 [内容]宇宙世紀0087年、カミーユが参加した反地球連邦組織エゥーゴと連邦軍のエリート組織ティターンズの内戦は相譲
    らず、激化の一途を辿っていた。そんな中、地球に残っていたカミーユは神秘的な女性フォウ・ムラサメと出会う。彼女に
    運命的なものを感じたカミーユだが、実はフォウはティターンズの強化人間だったため、2人は哀しき宿命へいざなわれ
    ていく。やがて宇宙に戻ったカミーユは新型モビルスーツZガンダムに搭乗し、混沌の戦場へ。また一方では、新たな勢
    力である旧ジオン軍の残党アクシズが台頭していた…。
  [寸評]オリジナルのTVシリーズ全50話に新作カットを追加し、新解釈でブラッシュアップした劇場版シリーズの第2弾。TV
    シリーズを観ていなく、劇場版第1弾を観たので話についていくのが必死だった。本屋で別冊宝島「僕たちの好きなガン
    ダム『機動戦士Zガンダム』全エピソード徹底解析編」を購入して物語の背景を理解しようとした。しかし、冒頭を読んだだ
    けで他の本に走ったりしていたので実際に読んだのは本作品を見る直前。第28話のエピソード迄を頭に入れて鑑賞し
    た。「Zガンダム」は根強いファンがいるのか公開日初日という事もあり、観客が多かった(前作は公開日最終日に鑑賞し
    たが、それなりに観客がいた)。頭に入れてのぞんが甲斐があって、今回はついていけたかな(逆に理解していかないと
    特に冒頭からは入りにくいのでは?)ブライトの妻・2児の母となったミライが出てきたり、ララアの回想シーンが出てきた
    のは嬉しかったな。ダイジェスト的な作品ゆえ、アムロやカミューユの葛藤が描ききれないのは残念な気もする。それに
    してもカミュ−ユは好色魔か?1年戦争の印象の強い私はシャアとブライト・アムロ・ハヤトが同じ部隊にいるのには未だ
    に違和感を感じる。Zガンダムの世界は結構難しいね。今回の観客層に子供はいなかった(昔TVを観ていた大人達が
    主?)が本当に分かるのかな?来年の3月に3作目が公開される。どんな結末を迎えるのか(TV版とは異なる?)楽しみ
    だ。

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