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51.DV ドメスティック・バイオレンス (2004年日)<3.0>     
 [監督]中原俊
  [出演]遠藤憲一、英由佳、高野八誠、中原和宏、高橋かすみ、りりィ、小沢和義
  [時間]85分
 [内容]ジュエリーショップに勤める29歳の鬼頭泰子は、ひと回り年上の41歳になるサラリーマンの昭吾と3年前に結婚、幸
    せな日々を送っていた。子供は未だいなかったが、互いに相手を心から愛していた。ところが3回目の結婚記念日、花束
    を手に妻の勤めるジュエリーショップの前に立った昭吾は、年下の同僚・前田と親しげに言葉を交わす妻を目にすると、
    突然、その場を立ち去ってしまう。数日後、泰子はリビングに飾ってあった写真がすべてなくなっていることに気づく。昭吾
    は、泰子の大切なアルバムも捨ててしまっていた。やがて昭吾の常軌を逸した行動はエスカレートしていく…。
  [寸評]近年、日本でも急速に社会問題化している、配偶者や恋人による暴力、いわゆるDV(ドメスティック・バイオレンス)に
    真正面から取り組んだ社会派ドラマ。夫の暴力に脅えながらも逃げる事のできない妻の姿を通して、歪んだ愛の形が引
    き起こす悲劇を描いている。夫婦には色々な形があり、この作品で描写されている夫婦を観ると戦慄を覚える。りりィが演
    じた主婦の想い・つぶやきが非常に印象的で、体を傷つけられまくり、将来、時間をかけて復讐する事が生きがい・・だな
    んて余りに虚しいではないか。男性が女性を自分の型にはめ込もうというのは論外で、双方が尊重しあってゆかないと上
    手くいかないのではなかろうか。観ていて悪寒を感じ、面白いものではないが、ここまで踏み込んだ監督の手腕はなかな
    かだと思う。
    
52.チャーリーとチョコレート工場 CHARLIE AND THE CHOCOLATE FACTORY
    (2005年米・英) <3.0>     
 [監督]ティム・バートン
  [出演]ジョニー・デップ、フレディ・ハイモア、デヴィッド・ケリー、ヘレナ・ボナム=カーター、クリストアファー・リー
  [時間]115分
 [内容]失業中の父、母、そして2組の寝たきりの祖父母に囲まれて、貧しいながらも幸せに暮らしている少年チャーリー。
    彼の家の傍には、ここ15年間、誰一人出入りしたことがないにも関わらず、世界一のチョコレートを作り続ける謎に包ま
    れた不思議なチョコレート工場があった。ある日、工場の経営者ウィリー・ウォンカ氏は、全商品の内、5枚だけに入って
    いる“ゴールデン・チケット”を引き当てた者にだけ、特別に工場の見学を許可する、と驚くべき声明を発表した。そして
    1年に1枚しかチョコを買えないチャーリーも、奇跡的に幸運のチケットを手にして、晴れて工場へと招かれるのだが…。
  [寸評]有休を取り、妻と一緒に免許の更新手続を行いにいき、その後、本作品を鑑賞した。何ともメルヘンチックな作品で
    悪い子供にはおしおきが与えられ、良い子供は報われる、という「勧善懲悪」もので、かつ「家族愛」の大切さを訴えて
    いる。ストーリーの大枠はつかみながら、前日、何故か余り眠れなかった事が響き、所々睡魔に襲われてしまったが、
    まあ、子供が観る分には、そこそこ楽しめる作品ではないか(大人は好き嫌いが分かれそう・・・)。ジョニー・デップは、
    この手の役柄が適任という感じだね。チョコレートが大好きな私(健康上、控えねばならないが・・・)にとっては、チョコ
    レートの製造工程は観ているだけでお腹一杯という感覚だった。

53.スクール・オブ・ロック THE SCHOOL OF ROCK (2003年米) <4.5>     
 [監督]リチャード・リンクレイター
  [出演]ジャック・ブラック、ジョーン・キューザック、マイク・ホワイト、サラ・シルヴァーマン
  [時間]110分
  [内容]ロックの心を全身で体現するギタリストであるデューイ・フィン。しかし、そのあまりの破天荒ぶりがアダとなり、つい
   にバンドをクビになってしまう。一方、私生活でも、家賃の滞納が原因で居候していた親友ネッドのアパートを追い出され
   ようとしていた。そんな時、ネッドのもとに名門私立小学校から代用教員の話が舞い込む。たまたま電話に出たデューイ
   は、お金の欲しさから自分がネッドになりすまし、臨時教師の職に就いてしまうのだった。ところが、いざ小学校へ行ってみ
   ると、そこは厳しい管理教育がなされ、生徒達からはまるで覇気も個性も感じられなかった。まともに授業をする気もない
   デューイにとって、それはどうでもいい事だったが、そんな生徒達が音楽の才能にあふれていると知ったとき、彼の頭には
   ある邪なアイデアが浮かぶのだった・・・。
  [寸評]昨年のG.Wに劇場公開している時から評判も良かったので、観に行きたかったが、行きそこない、レンタルになって
   からもタイミングを見合わせている内に、ようやく拝見する運びになった。個性あふれ、破天荒で、端から見ればグータラ
   なデューイが、動機が極めて不純ではあるが、徹底的に管理教育をされている子供達を、眠っている音楽の才能と自信・
   活力を引き出させる爽快な作品。金太郎飴的な杓子定規な厳しい教育で個性を埋没させるより、いかに自身の好きな事
   を見つけ、努力して活力ある生き方をいていく事が大切!人の価値は表彰や序列という尺度で計れない!という事を示し
  た教育的にも良い映画ではないか。前半は、家賃は滞納するわ、開き直るわ、いい加減な男にしか見えないデューイが、
   段々まともに格好よく見えてくる。その対比を、冒頭では観客に(体を)受け止めてもらなかったのが、最後にしっかりと受
   け取めてもらえる形で描き、何とも微笑ましい。

54.マザー・テレサ MADRE TERESA (2003年伊・英) <4.0>     
 [監督]ファブリツィオ・コスタ
  [出演]オリヴィア・ハッセー、セバスチャーノ・ソマ、ミハエル・メンドル、ラウラ・モランテ、イングリッド・ルビオ
  [時間]116分
 [内容]1946年、インドのカルカッタ。カトリックの修道院内にある女子校で教鞭をとる修道女のマザー・テレサ。彼女はある
   日、ダージリンへ向かう途中で“貧しい人々のために尽くしなさい”という神の声を聞く。自分の居場所が修道院の中では
   なく貧しい群衆の中にあると悟った彼女は、カルカッタに戻り修道院の外で活動を開始する。やがて、従来の修道会に属し
   ながらの活動に限界を感じた彼女は、新しい組織“神の愛の宣教者会”を設立、親を失った子どもたち、貧しい人々、ハン
   セン病患者といった人々のためにより一層献身的に尽くすのだった・・・。
  [寸評]貧困と飢えに苦しむ人々のため、そして世界平和のために、87年の生涯を捧げた伝説の修道女マザー・テレサ
    の波乱に満ちた人生を映画化した伝記ドラマ。高校の時に英語の教科書で「マザー・テレサ」が取り上げられていた記
    憶がある。有休が取れたので、妻と劇場で鑑賞した。元来はイタリアのTV映画で3時間あったものを、映画用に2時間内
    にまとめたようだ。マザー・テレサの強い信念・粘り強さ・突き進む姿勢等、とても素晴らしいし、あれぐらいしないと事は
    成せない、と痛感する。真っ直ぐに突き進むがゆえに、周囲の反発を買ったり、スキャンダルに巻き込まれてしまう、と
    いう彼女の欠点が描かれているのも良い。映画として2時間という時間は手頃であったが、どうしても場面場面で話が
    すっ飛ぶ所が見受けられるのは、3時間の作品をカットしているからやむを得ないだろう。本作品は残虐な映像もない
    し、教育的にも良い台詞が多いので、子供達にもいつか観せてあげたいと思うが、じっくりと3時間版を観てみたい。しか
    し、世界では本当に厳しい環境の中で生きている人達が多いんだな。先週、聴いた池間哲郎氏の「閉ざされた世界の中
    で懸命に生きる子どもたち」の講演と相重なる所もあって、現状に私たちは感謝して生きていかねばならない、と思った。

55.名探偵コナン 世紀末の魔術師 (1999年日)<3.5>     
 [監督]こだま兼嗣
  [出演]<声>高山みなみ、山崎和佳奈、神谷明、茶風林、緒方賢一、林原めぐみ、山口勝平
  [時間]100分
 [内容]怪盗キッドから警視庁にある犯行予告状が届く。キッドが狙うものはロマノフ王朝の秘宝“インペリアルイースターエ
    ッグ”。早速コナンらはエッグのある大阪へ移動。予告通りキッドは現れ、エッグを盗まれてしまうが、ハンググライダーで
    逃走中にキッドは何者かに撃たれてしまう。そして現場に落ちていたものは怪我をした白いハト、キッド愛用の片眼鏡、そ
    して盗まれたエッグのみで彼の姿はそこにはなかった…。
  [寸評]劇場用作品の第3作目。またまたコナンをレンタルして拝見。すっかりハマッています。今回は工藤新一の同業のライ
    バル:服部平次と宿敵:「怪盗キッド」が登場するし、コナンが蘭にあわや正体を白状しかける等、見所は多い。今回は怪
    盗キッドの追跡劇を中心に描くかと思いきや、途中からロマノフ王朝の遺産の話に焦点が変わってしまう。怪盗キッドは
    どこへ行ってしまったのか、と思ったら、私の予想通りでした。犯人のスナイパー(本作品を既に観た一姫が、私が観てい
    る時に、「お父さん、これが犯人だよ!」と言うのはやめさせないといけない。)の行動の裏まで何故、怪盗キッドが熟知し
    ているのか、またスナイパーが怪盗キッドの逃走経路をつかんでいたのかは謎で、その辺の説明は残念ながらされてい
    ない。遺産の話が解明した時、末裔の女性が、金・物に余り、こだわらず、「心」を重んじたのは、かなりアッサリしている
    と思う反面、7〜9月に放映されていたTVドラマ「女系家族」の娘達と余りに対照的だったな。それにしても、コナンは工藤
    新一の姿に戻る時は来るのだろうか?

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