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26.バレエ・カンパニー THE COMPANY (2003年米・独)<3.5>     
 [監督]ロバート・アルトマン
  [出演]ネーヴ・キャンベル、マルコム・マクダウェル、ジェームズ・フランコ、バーバラ・ロバートソン
  [時間]112分
 [内容]シカゴに本拠地を置く名門バレエ・カンパニー“ジョフリー・バレエ・オブ・シカゴ”。芸術監督のミスターAことアルベ
   ルト・アントネリの指揮の下、新たなシーズンが幕を開ける。ダンサーのライにとっては、いきなり同僚でもある恋人の浮
   気が発覚し、最悪のスタートとなってしまう。それでも、世界的な振付家ラー・ルボヴィッチの新作で主役の怪我により彼
   女に思わぬチャンスが到来する。一方、ミスターAは予算獲得に追われ、ベテラン・ダンサーは自らの行動を注意され、新
   人の団員はどこにも居場所を見つけられない時が続く…。
  [寸評]実在の名門バレエ団を舞台に、ダンサーや監督などバレエ団に関わる様々な人々の想いや苦悩が錯綜する中、ひ
    とつの作品が出来上がっていくまでを描いた群像劇。バレエの実舞台は「くるみ割り人形」「白鳥の湖」を観た事もあり、
    舞台の裏表を限りなくドキュメンタリー風に描いた(実はフィクション)本作品は映像も美しく興味深く拝見した。どの世界
    でもそうだが、生存競争の何と厳しい事か!(振付師が少しでもダンサーの動きを気に入らないと、練習が大詰めにな
    っていてもあっという間に出演者を交代させる。練習中に大ケガをするダンサーがいても、練習は何事もなかったかのよ
    うにすぐ再開される等)。主役はバレエ団(あえていえばライ)そのもので、特に物語があるわけではなく、淡々としては
    いるが、映像に惹かれて最後まで飽きずには観れる。ある衣裳が非常にエロティックに感じたな??・・・

27.ミリオンダラー・ベイビー MILLION DOLLAR BABY (2004年米)<4.5>     
 [監督]クリント・イーストウッド
  [出演]クリント・イーストウッド、ヒラリー・スワンク、モーガン・フリーマン、アンソニー・マッキー
  [時間]133分
 [内容]ロサンゼルスのダウンタウンにある小さなボクシング・ジムを営む老トレーナー、フランキーは素晴らしい指導力の持
    ち主だが、選手を大切に育てるあまり、成功を急ぐ優秀なボクサー達は皆、彼のもとを去ってしまうのだった。そんなあ
    る日、31歳になる女性マギーがジムの門を叩き、フランキーに弟子入りを志願する。トレーラーで育ち不遇の人生を送っ
    てきた彼女は、唯一誇れるボクシングの才能に最後の望みを託したのだ。ところが、そんなマギーの必死な思いにも、
    頑固なフランキーは、“女性ボクサーは取らない”のひと言ですげなく追い返してしまうのだった。それでも諦めずにジム
    に通い、ひとり黙々と練習を続けるマギー。フランキーの唯一の親友スクラップはそんなマギーの素質と根性を見抜き、
    目をかける。やがてマギーの執念が勝ち、フランキーはついにトレーナーを引き受けるのだった・・・。
  [寸評]2004年アカデミー賞で作品賞、監督賞、主演女優賞、助演男優賞の4部門を制覇した作品。昨年の「ミスティック・
    リバー」に続き、クリント・イーストウッドがどんな作品を製作したかにも注目して鑑賞。娘に断絶されたフランキー、不遇
    な育ちをしてきたマギー(その中で父親には特別な想いがある模様)との何ともせつない擬似父娘関係が話の中心だ
    が、モーガン・フリ−マン演じるスクラップが非常に良い役柄で、語り役をつとめると同時に彼の存在が(登場すると)作
    品をビシっと締めてくれる。中盤までは華々しいサクセス・ストーリーなのだが、後半は「ここまでやるか!」というほど哀
    しく虚しい展開となる。哀しい中で「人間の生き様」「尊厳」について描いており、しっかりと考えさせてくれる。だから本
    作品がアカデミー賞で主要4部門を制覇したのも納得がいく。良い作品ではあり、観る価値も十分あると思うが、クリン
    ト・イーストウッドは2作続けて重い(心にズシリと余韻を残してくれる)作品を製作したものだ。DVDが発売されたら購入
    したい気もするが、繰り返し観るにはきついかな・・・

28.スクール・ウォーズ/HERO (2004年日)<4.5>     
 [監督]関本郁夫
  [出演]照英、和久井映見、内田朝陽、SAYAKA、小林且弥、弓削智久、間寛平、里見浩太朗
  [時間]118分
 [内容]かつてラグビー日本代表選手として活躍した山上は、ラグビーで学校の再建をしたいと願う校長の説得を受け、荒
    れ果てた伏見第一工業高校に体育教師として赴任する。しかし高校の現実は山上の想像をはるかに超えていた。廊下
    をバイクが走り抜け、校内でのタバコも当たり前。それでも教師達は生徒の暴力に怯えて見て見ぬ振り。中でも、山上
    が指導するラグビー部はそんな不良学生のたまり場と化していた。生徒たちと真剣に向き合おうとする山上の熱い想い
    は、かえって彼らの反発をまねくばかりで、山上は苛立ちを募らせていった・・・。
  [寸評]1984年〜1985年にかけてTVで山下真司主演(伊藤かずえ、松村雄基、和田アキコ等出演)の「スクール・ウォー
    ズ/泣き虫先生の七年戦争」が放映されていた。大学受験を控えた身であっても、このドラマは欠かさず一生懸命観て
    感動していた。山口良治さんの原作・実話が基になっている。本作品は昨年、劇場公開されたものの、観るタイミングを
    逃したのでレンタルDVDで拝見。いや〜非常に良いよ、この作品。昔ながらに涙が出てしまう。山上が不良生徒に体当
    たり(思いやりが根底にある)で向き合って、生徒に心を開かせる様は素晴らしい。男泣きが大袈裟だ!という声がある
    かもしれないが、いいじゃないの、あれが感動させてくれるんだ。(こんな事を言うのはTVシリーズを観ていた我々の世
    代?)本作品には幾つか教訓になる事が散りばめられている。大黒摩季さんの歌う「HERO」がエンドロールで流れた
    のは嬉しかったが、欲を言えば劇中に流してほしかったかな?単純な私にとっては、本作品は現時点で今年鑑賞した
    日本映画の中ではNo.1です。
    
29.僕の彼女を紹介します WINDS TRUCK (2004年韓)<3.5>     
 [監督]クァク・ジェヨン
  [出演]チョン・ジヒョン、チャン・ヒョク、キム・テウク、チャン・ホビン、チャ・テヒョン
  [時間]123分
 [内容]街角でひったくりが発生。居合わせた婦警のヨ・ギョンジンは走り去る男を猛然と追いかけ、鮮やかに取り押さえる。
    しかし、この男性コ・ミョンウは、実際には犯人を追いかけていた善意の市民で、女子高で教師をしている真面目な青年
    だった。何とか誤解が解けて解放されたミョンウだったが、後日、生徒の非行防止のため相談に訪れた交番で再びギ
    ョンジンと遭遇してしまう。逃げる間もなく夜間パトロールに付き合わされたミョンウは、何にでも首を突っ込むギョンジン
    のせいで命懸けの一夜を過ごすハメになる。しかし、これがキッカケとなって2人は思いがけず、恋に落ちるのだった
    が…。
  [寸評]私にとって韓国映画で最も好きな「猟奇的な彼女」の監督と主演女優コンビが贈るもう一つの「彼女」の物語。今回
    の彼女の男性との出会い方も強烈だ。彼を誤認逮捕し、更には麻薬犯人捜査に道連れにする中で恋愛が芽生えてい
    くのだ。だから前半はお笑いモードで観ていて楽しい。しかし、後半からシリアスな内容になっていき、映画「ゴースト」
    の世界になっていく。確かにホロっと感動させられるのだが、余りに彼が哀しい感じがするし、話の持っていき方に無理
    がある気もする。チョン・ジヒョンは最初から最後迄、登場しまくりで、彼女の視点で描かれている。一番、「やるな!」と
    思わせられたのは、最後のプラットホームでの新しい彼氏(になるであろう人)との出会い。私は思わずニヤついてしま
    ったが、韓国映画も凝った事をするものだね。

30.バットマン・ビギンズ BATMAN BEGINS (2005年米)<4.0>     
 [監督]クリストファー・ノーラン
  [出演]クリスチャン・ベイル、マイケル・ケイン、リーアム・ニーソン、モーガン・フリーマン、ゲイリー・オールドマン、渡辺謙
  [時間]140分
 [内容]大富豪の家庭に育ったブルース・ウェインは少年時代に井戸で遭遇したコウモリの大群に圧倒的な衝撃を受け、更
    に彼の両親が目の前で殺されたため、大きなショックを抱え込む。強いトラウマと親の仇への復讐心は消えず、犯罪者
    の心理を知るため自ら罪人となる。そんな彼はある日、デュガードという男と運命的な出会いを果たし不正と闘うことを
    決意する。そして彼の薦めにより、ヒマラヤの奥地に潜む“影の同盟”なる自警団のもとで心身を鍛え、心の闇を解放す
    る。こうして彼は、ゴッサム・シティへと舞い戻ってきた。街は悪の組織と暴力がはびこり、腐敗が進んでいた。自らの使
    命に確信を持ったブルースは、バットマンとなり巨悪と対峙する道を選ぶのだった・・・。
  [寸評]「バットマン」の第1作目はマズマズだった印象があるが、2作目か3作目を劇場で観た時に辟易としたため、「バット
    マン」には触れないようにしてきた。よって本作品は完全にノーマーク状態だった。しかし、色々な評論を目にすると評判
    が良いので、久々に有休を取り、午前中に6/25の「スターウォーズ:エピソード3」の先々行上映の券を入手すると同時
    に鑑賞。バットマンの誕生に至る主人公ブルース・ウェインの秘められた過去を壮大なスケールで描いた良作でシリー
    ズの中では傑作物といえるでしょう。色々な葛藤、人間味が表現されており、対決する敵も「怪人」でなく、人間である
    のがよい。あの精神療法は非常に怖いし、リーアム・ニーソンの役柄は日本の漫画「ブラック・エンジェルズ」を思い出
    し(自分を鍛え育ててくれた人が善の指導者と思ったら実は悪であった・・)、「スターウォーズ:エピソード1」ながらのマ
    スターぶりが発揮されていて良かった。話題の渡辺謙の使い方はもう少し何とかならなかったかな。全般的に見応えが
    あり、アクション満載で面白いと思う。最後に続編の布石が示されたが、どうだろう?本作品で留めておいた方がよい気
    がするが・・・

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