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16.ガンジー GANDHI (1982年英・印)<4.5>
[監督]リチャード・アッテンボロー
[出演]ベン・キングスレー、キャンディス・バーゲン、ジョン・ギールグッド、マーティン・シーン、エドワード・フォックス
[時間]188分
[内容]1894年、青年マハトマ・ガンジーは大英帝国支配下の南アフリカにおける人種差別政策に激しい怒りを覚え、民主
抵抗運動を起こす。この運動を皮切りに、ガンジーは人種差別撤廃の理想に燃え、祖国インドでの反英不服従運動の
指揮を執ることになる。1919年インドに導入されたローラッド法案に反対し、インド各地で暴動が起こるが、ガンジーは
断食をもって抵抗する・・・
[寸評]インド独立運動の指導者“偉大なる魂”マハトマ・ガンジーの波瀾に満ちた生涯を映画化した作品で第55回アカデミ
ー賞で9部門(作品・監督・主演男優・脚本等)を受賞している。かねてから本作品を観たいと思っていて、DVDを昨年
6月に購入しながら、ようやく拝見。世界地理・世界史に疎い私にとって、本作品を観る事によってインドの歴史、中東の
紛争事情等を(少しであるが)理解する事ができた。「ガンジー」とは如何なる事を行った人物か認識できるし、彼の唱え
る「慈愛」「正義」「非暴力」「圧政への抵抗」等、共感できるもので、万人にとって良い教材となる作品だ。もっと早く観て
おくべきだった。もっと詳しく描いて勉強させてくれても・・・という気もするが時間が果てしなく長くなるか・・・。アカデミー
賞9部門獲得も十分納得のいく歴史大作。主演のベン・キングスレーの役作りは、実物のガンジーにかなり近いものに
なっていて(特典映像で実物を観るとよく分かる)素晴らしい。他の登場人物達の演技も同様である。
17.半落ち (2003年日)<3.5>
[監督]佐々部清
[出演]寺尾聡、柴田恭平、鶴田真由、原田美枝子、吉岡秀隆、伊原剛志、國村隼、樹木希林
[時間]121分
[内容]ある日、元捜査一課警部・梶聡一郎は最寄りの警察署に出頭してきた。3日前に妻の啓子を自宅で絞殺したと告げ
る。梶は半年前、若くしてアルツハイマー病を発症した啓子の看病のため刑事を辞職し、警察学校で後進を育成して広
く敬愛されてきた。取り調べにあたった捜査一課・志木も困惑を隠せない。その上、梶は自首するまでの2日間について
固く口を閉ざし続ける“半落ち”の状態にある。現職警官による前代未聞のスキャンダルに県警全体が窮地に立たされ
る。組織の防衛を優先する県警幹部は、完落ちしない梶の“空白の2日間”に拘り続ける志木の意向を無視し、調書の
ねつ造で謎の隠蔽を図り、強引な事件の幕引きを目論むのだった・・・。
[寸評]2002年、各種のミステリー年間ランキングで第1位を獲得した横山秀夫の傑作ミステリーの映画化。病に苦しむ妻を
自ら殺害した元刑事が、取り調べに際し犯行を認めながらも“完落ち”することなく、決して明かそうとしない自首するま
での“空白の2日間”の謎を追って描いたサスペンス。職場のMさんによれば原作は非常に素晴らしく、涙モノらしい。そ
れゆえ、映画の本作品の描写に物足りなさを感じたとの事だ。概して優れた小説の映画化は期待に沿えない事が多い
(「模倣犯」等・・)。劇場公開された時から興味があり、先日、日本アカデミー賞で最優秀作品賞を受賞した後、TV放映
されたので録画してようやく拝見。私は、犯人は別人物で、寺尾聡演じる梶は、その人物を懸命にかばっているのか?
と勝手に思い込んでいたので全く別の「落ち」になった。”生命の尊厳さ・人生の意味"を梶を取り巻く刑事・新聞記者・
弁護士等の視点を交え、問いかけている。梶の立場に立つと、物凄く辛く、やりきれない感じがする。ただ家族との回想
シーンを増やす等、もう少し、事件・2日間に至る葛藤を詳細に描けなかったものかな。前半に比べて後半がトーンダウ
ンした感じがする。新聞記者・弁護士・判事の役割もイマヒトツ府に落ちなかった。観るに値する作品であったが、アカデ
ミー賞の最優秀作品賞を獲るほどの作品かというと疑問。(昨年の「壬生義士伝」も同様だが・・・)
18.名探偵コナン 水平線上の陰謀(ストラテジー) (2005年日)<4.0>
[監督]山本泰一郎
[出演]<声>高山みなみ、山崎和佳奈、神谷明、茶風林、緒方賢一、林原めぐみ、山口勝平
[時間]108分
[内容]太平洋の大海原。コナン、蘭、小五郎達一行は、蘭の親友・園子に誘われ、豪華客船アフロディーテ号の処女航海
に参加していた。船内は政財界をはじめ錚々たる顔ぶれが集い、華やかさに満ちていた。そんな中、園子が何者かに襲
われ監禁される事件が発生する。コナンの活躍で園子は無事に発見されるが、今度はついに殺人事件が発生してしま
う。目暮警部率いる捜査陣のヘリがアフロディーテ号に到着し本格的な捜査が始まる。やがて、15年前のある事件との
関連が浮かび上がってくるが、船内では更なる巨大な陰謀が乗客たちを待ち受けていた…。
[寸評]青山剛昌原作の人気TVアニメの劇場版第9作。かねてから「名探偵コナン」が話題になっている事は知っていたが
観た事がなかった。最近、一姫二太郎がTVを観るようになり、劇場版第8作が先日TV放映されたのを2人が観て、本作
品を観たい、と言い出した。HPを見ると「探偵もの」が好きな私にとっては、面白そうな内容である事から興味がわき、
一姫二太郎と劇場で鑑賞(妻は留守番)。正直言って非常に面白かった。今年観た日本映画の中で一番楽しめる作品
ではないか。第9作目でありながら、冒頭で初心者に分かる解説をしてくれるので、すんなり入っていけた。妙に単純に
事件が解決するな、と思いきや、しっかり二重構造になっていた。最後の最後まで手に汗を握り、楽しませてもらった。
真犯人の事は読めなかったな(一姫は分かったと言っていたが・・・)。新一と蘭のエピソードにはホロっとくる事もあっ
た。上映前に2人から「お父さん、今日は寝てはダメだよ」と言われたが、「大丈夫!」お父さんは寸分も寝る事なく堪能
し、来年の10作目を観に行く事を約束したのであった。
19.コーラス LES CHORISTES (2004年仏)<4.0>
[監督]クリストフ・パラティエ
[出演]ジェラール・ジュノ、フランソア・ベルレアン、ジャン=バティスト・モニエ、ジャック・ペラン、マリー・ブネル
[時間]97分
[内容]世界的指揮者のピエール・モランジュは母の葬儀のため帰郷した際、子ども時代の友人ペピノから一冊の日記を手
渡される。それは彼の当時の音楽教師クレマン・マチューが遺した形見だった。1949年、マチューはフランスの片田舎の
“池の底”という寄宿舎に新たに赴任してきた。そこでは、親をなくした子供や、素行に問題ある子供達が集団生活をし
ていた。子供達は心に問題を抱え、校長はそんな彼らに容赦ない体罰を繰り返していた。マチューは子どもたちに本来
の純粋さ、素直さを取り戻してもらおうと、“合唱団”の結成を決意する。やがてマチューは、学校一の問題児ピエール・
モランジュが素晴らしい歌声の持ち主である事に気づくのだった…。
[寸評]元グリークラブ(男性合唱団)の私としては、大変興味深い作品で公開早々に鑑賞。問題児の多い生徒達を一人の
教師が「音楽」「愛情」の力で持って、結束させ良い方向に導いていく、フランス映画によくあるパターンの話だ。合唱とい
うのは端からみると「ダサイ」「物好き」と思われがちだが、やっている立場からすると、非常に気分がすっきりするし、演
奏会を終えた時のあの感動は素晴らしいものがある。合唱をする事によって、生徒が結束し、良い方向に向かっていくの
は共感できるところだ。但し、冒頭の「悪ガキ度」から、あんなに良くなるものか?という気もするが・・・。モランジュ少年
のソロや生徒達の合唱はかなり上手で聴き応えがあった。ドラマとしては、もう少し、モランジュとマチュー等の触れ合
いや、マチューの悪い面とかも描くと厚みが増したのではないかと思う。正直、もっと感動する事を期待していた。それ
にしても、あの校長には腹立つね(最後にバチは当たるが)。
20.世界の中心で、愛をさけぶ (2004年日)<3.5>
[監督]行定勲
[出演]大沢たかお、柴咲コウ、長澤まさみ、森山未來、山崎努、杉本哲太
[時間]138分
[内容]結婚を控えていた朔太郎は、婚約者・律子の突然の失踪に困惑する。律子の行き先が四国と知り、彼女を追って四
国へ向かう朔太郎。しかし、そこは朔太郎の故郷であり、彼の初恋の相手にして最愛の人・アキとの思い出が眠る場所で
もあった。朔太郎は次第に初恋時代の思い出の中に迷い込んでいく――。高校2年の朔太郎は、アキとの甘く淡い恋に浸
っていた。ウォークマンでの声の交換日記や無人島への一泊旅行…。ところが、約束されていたと思われた2人の明るい
未来は、アキが不治の病に冒されている事が発覚し一転してしまう・・・。
[寸評]原作は大ベストセラーとなった片山恭一の同名小説で昨年の話題作。今年の1-3月に放映された「優しい時間」に
出演していた長澤まさみが日本アカデミー賞・ブルーリボン賞で最優秀助演女優賞を受賞。5/2の午前中は一姫二太郎
は学校に行っているので、妻と映画館へ行く事も検討したが、午前中に観たい作品が上映されないので、レンタルDVDで
本作品を鑑賞する事にした。朔太郎とアキ(森山未來・長澤まさみ演)の回想シーンは非常に良質で見応えがあると思う。
山崎努演じる重蔵の役柄・台詞も味があって良い。しかし、現在に目を向けると色々と余計な事を考えてしまう。律子は朔
太郎の心の中に「アキ」が住み続ける事を分かりながら、一緒になるのは辛くないのか?覚悟の上か?婚約をするまでの
仲なら、朔太郎は律子の足の怪我の理由、故郷の事を知らなかったのか?(会話をしているのか?)最後の最後まで律
子が不憫に見えてしまった。朔太郎には、律子を大事にしてあげてほしいね。昨年流行った「セカチュー」の核心にようやく
触れる事ができた。
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