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11.セルラー CELLULAR (2004年米)<4.0>
[監督]ジデヴィッド・R・エリス
[出演]キム・ベイシンガー、クリス・エバンス、ジェイソン・ステイサム、エリック・クリスチャン、ウィリアム・H・メイシー
[時間]95分
[内容]高校の科学教師であるジェシカは夫と息子の3人で幸せな毎日を送っていた。だが、そんなある日、いつものように
息子を学校へ送り、帰宅した彼女を、突然侵入してきた5人の男達が乱暴に連れ去ってゆく。そのまま、どこかの家の
屋根裏に監禁される。リーダー格の男イーサンは部屋にあった電話をハンマーで叩き壊すと、彼女を残し立ち去るのだ
った。男達の正体も誘拐の目的も分からないジェシカだったが、いずれ確実に殺されると悟った彼女は科学の知識を活
かして壊された電話のコードを接触させ、外への連絡を試みる。やがて、ライアンという青年のケータイに繋がる…。
[寸評]監禁された女性に迫り来る危機と、彼女からの電話を受けた青年が救出へ向け奔走する姿を描いたサスペンス・ス
リラー。本作品の犯人、犯人が探し求めるものは、複雑でも何でもなく、意外に「またこの類か・・・」と思わせられるもの
で、○○に対して不信感に陥り、嫌な気分にはなる。しかし、本作品の展開は最初から最後まで緊迫感があふれてい
て95分という手頃な時間を十分楽しませてくれる。日本映画の「着信アリ」と同じように、携帯電話をネタにした作品で、
進化した携帯電話の”ある機能”が大いに役立つ事になる。最後のエンド・クレジットも結構ユニークであった。内容的に
は細かいところで突っ込みたいところは色々あるが、スピーディな展開で面白かったから、良しとしよう。「ファーゴ」等で
悪役・ひと癖ある役の印象が強いウィリアム・H・メイシーが、今回は完全な善良な役柄を演じていた。
12.エレファント ELEPHANT (2003年米)<3.0>
[監督]ガス・ヴァン・サント
[出演]ジョン・ロビンソン、アレックス・フロスト、エリック・デューレン、イライアス・マッコネル、ジョーダン・テイラー
[時間]81分
[内容]オレゴン州ポートランド郊外のワット高校。ある初秋の朝、生徒達それぞれの、いつもの一日が始まる。ジョンは、酒
に酔った父と車の運転を交代して学校に到着する。だが、遅刻した彼は校長から居残りを言い渡される。写真好きのイ
ーライはポートレート制作の真っ最中。女子に人気のアメフト部員ネイサンはガールフレンドと待ち合わせ、食堂では仲
良しの女子3人組がダイエットや買い物などの話で持ちきり。そんな中、いじめられっ子で内向的なアレックスとエリック
は、ネットで入手した銃器を手に学校へ向かっていた…。
[寸評]マイケル・ムーア監督が「ボウリング・フォー・コロンバイン」で取り上げたが、本作品は1999年に起きた米コロラド州
コロンバイン高校の銃乱射事件をモチーフに、ガス・ヴァン・サント監督が、事件が勃発するまでの高校生達の一日を淡
々と描いたものである。本作品は2003年カンヌ国際映画祭でパルム・ドールと監督賞を受賞している。正直、本作品の
評価は観る人によって、かなり多岐に分かれると思う。途中までは「本年のワースト」コースだと思って観ていたが、後
半の銃撃事件を起こす描写を観て衝撃を感じ(寒気・おぞましさ・・・)、特典映像で監督のインタビューを聞く事によって
評価を持ち直した。とはいっても、良いとも悪いともいえない判定困難で3.0というものだが・・・。最近、日本でよく起こる
おぞましい事件と相重なり、人間の怖さを痛感する。結局、事件を起こした動機は明確とされない。驚いたのはセリフの
大半が俳優のアドリブとの事だ。後ろから歩く姿を写すシーンが多いのも特徴。監督のインタビューを聞いて色々な意図
を知る事ができた。本作品は”各人が何を感じ取るか”製作者側から投げかけたものだ。おぞましい事件は本当に起こ
らないでほしい。人間の感情とは分からないもので如何ともしがたい事があるが、少しでも良い社会となるよう皆が心が
けねばならないだろう。
13.香港国際警察/NEW POLICE STORY 新警察故事 (2003年米)<4.0>
[監督]ベニー・チャン
[出演]ジャッキー・チェン、ニコラス・ツェー、ダニエル・ウー、シャーリーン・チョイ、チャーリー・ヤン
[時間]124分
[内容]1年前に香港のアジア銀行がある一味に襲われた。しかも一味は犯行後、自ら意図的に警察へ通報。そして彼ら
は、駆けつけた警察官達を重装備で返り討ちに遭わせるのだった。対する香港警察のチャン警部は一味のアジトを特
定し、直ちに特捜部を率いて現場へ向かう。だが、そこには事件の早期解決(3時間内の逮捕)に自信を持っていたチャ
ンをあざ笑うかのごとく残忍な罠が仕掛けられ、チャンの部下達は次々と殺されてしまう。かろうじてその難を逃れたも
のの、生きる希望を失ったチャンは今、地に落ちた生活を送っていた。そんな彼の前に、新たな相棒として若いシウホン
がやって来る…。
[寸評]ジャッキー・チェンの映画は昔の「プロジェクトA(1,2)」「ポリスストーリー」「ファイナルプロジェクト」辺りは結構好き
だったが、最近の作品はどうもイマヒトツという感じがぬぐえなかった。本作品は香港を舞台に、かつての彼の持ち味を
発揮したなかなか面白い作品に仕上がっていると思う。いきなり自暴自棄になって、酔いつぶれているシーンから始ま
り、部下を失った事をずっとひきづっているので、全体のトーンは暗い。犯人グループは、裕福でありながら、目的を見
失い、方向を誤って暴発してしまう若者達だ。現在の日本でも頻発している不可解な事件と相重なり、非常に恐ろしく思
った。香港でも日本と同じような状況なのか・・・?007を思わせるようなアクション・街を派手に壊していくシーンもあり、
話の展開も観ていて飽きない。久しぶりに「ジャッキーが帰ってきた」と思える作品ではないか。
14.ビッグ・フィッシュ BIG FISH (2003年米)<2.5>
[監督]ティム・バートン
[出演]ユアン・マグレガー、アルバート・フィニー、ビリー・クラダップ、ジェシカ・ラング、ヘレナ・ボナム=カーター
[時間]125分
[内容]出産間近の妻とパリで幸せに暮らすジャーナリストのウィル・ブルーム。彼の父エドワードは自分の人生を幻想的
でマジカルな話として語り、聞く人を楽しい気分にさせる名人だった。ウィルも子どもの頃はそんな父の話を聞くのが大
好きだった。しかし3年前の自分の結婚式で喧嘩して以来、父とは断絶状態になっていた。そんなある日、母から父の
病状が悪化したとの報せを受け、ウィルは妻を連れて実家へと向かう。しかし、病床でも相変わらずホラ話を繰り返す
父と、父の本当の姿を知りたいと願う息子の溝はなかなか埋まらなかった…。
[寸評]レンタル店で無料クーポン券で借りたという甘え(どうせ無料だから・・・)があったのか、最近、公私共多忙なスケジ
ュールが続いていたので疲れが出たのか、本当に内容がだるかったのか、ともかく観るのが辛かった。眠気が襲ってく
るのだ・・・。父と子が最後にお互いを理解しあう、という私好みの内容であり、最後の「人間の存在は語られ続ける事に
よって永遠に残るものだ」という表示を見ると、本作品の主旨もよく分かる。しかし、どうにも前半の父エドワードの回想シ
ーンが、ユアン・マグレーが演じているにも関わらず、幻想的なシーンのオンパレードについていくのが妙に辛かった(単
純に眠いのかだるいのか不明だが・・・)。主旨・結論は分かりながら、途中の過程がどうにもこうにも・・・という状態で、
今回の評価はやや厳しいものになりました。(もう一度見直すと評価は変わるかもしれないが・・・)
15.サイドウェイ SIDEWAYS (2004年米・ハンガリー)<4.0>
[監督]アレクサンダー・ペイン
[出演]ポール・ジアマッティ、トーマス・ヘイデン・チャーチ、ヴァージニア・マドセン、サンドラ・オー
[時間]130分
[内容]小説家になる夢を捨てきれない中学校の英語教師マイルス。いつまでも離婚の痛手を引きずり神経質なところのあ
る彼は、ワインの事になると一家言もつこだわり派である。そんな彼の学生時代からの親友で、現在は落ち目のTVスタ
ー、ジャックがついに結婚する事になった。そこでマイルスは、結婚前最後の独身旅行を男2人で楽しもうと、安ワインの
味しか知らないジャックをカリフォルニアのワイナリー巡りの旅へと連れ出す…
[寸評]今回のアカデミー賞で本作品が最優秀脚色賞を受賞し、作品賞にもノミネートされた作品である事、2人の男のロー
ド・ムービーという事から関心を抱き鑑賞。マイルスは文学・映画・ワインが好きだが、自己嫌悪的なタイプ。ジャックは結
婚を直前に控えていながらも、手当たり次第に女性を口説こうとし、地に足が付かないタイプ。そんな2人が一緒に旅す
る1週間+αを描いた話で全体的に淡々とはしている。しかし、2人の生き様が見事に異なり、とった行動が見事に跳ね返
ってくるので、いつのまにか引き込まれてしまう。女性が観たら2人を「変な人達!」と思い、作品自体を退屈に感じるか
もしれない。男性が観たら、2人の行動を何となく理解できる箇所があるのでは?(例:マイルスは自己嫌悪のしすぎだ
よな。だけど彼が自らをそう語る気持ちも分かる気がする・・・)それにしても、”友達”の存在は大きいものだよね。大学
時代の集まり(下宿・クラブで一緒だった先輩・友人6名で毎年1回1泊2日の会合を実施している。皆が結婚して落ち着
いた時期から開催するようになり今回で7回目となる)の帰りに劇場で鑑賞したので、家族はもちろんだが、友達・仲間も
永続して大事にしていきたいと強く感じた。作品賞にもノミネートされただけのある良作で、何度も繰り返して観るより、
一度観て、しっかりと心に留めておく作品だと思う。
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