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61.飛ぶ教室 DAS FLIEGENDE KLASSENZIMMER (2003年独)<3.5>
[監督]トミー・ヴィカント
[出演]ウルリヒ・ノエテン、セバスチャン・コッホ、アーニャ・クリング、ピート・クロッケ
[時間]114分
[内容]ドイツのライプチヒが舞台。6回も転校を繰り返した末、少年合唱団で有名な聖トーマス校の寄宿舎にやって来た
少年ヨナタン。不安な気持ちいっぱいの彼を、指揮者のベク先生は優しく迎える。マルティン、ウリー、ゼバスティアン、
マッツといった個性豊かな4人のルームメイトとも意気投合し、すぐに仲良くなる。そんな彼らはある日、秘密の隠れ家
の中で題名が“飛ぶ教室”という古い芝居の台本を発見する。クリスマス劇の題材に悩んでいた彼らは、これをラップ
やダンスでミュージカル風にすることを思いつき、さっそく練習にとりかかる。ところがそれを知ったベク先生は理由も言
わず突然“飛ぶ教室”の上演を禁止してしまうのだった…。
[寸評]馴染みのレンタル店のミニ・シアター系のコーナーで目をし、あるHPで良い評価がされていた事を思い出し、借りて
拝見してみた。「ふたりのロッテ」「点子ちゃんとアントン」の原作者で知られるドイツの国民的作家エーリッヒ・ケストナ
ーのベストセラーを、時代を現代に翻案して映画化した作品。ドイツの寄宿学校の雰囲気はこういうものか?何かハリ
ー・ポッターのホグワーツを思い出してしまうが、子供の内に共同生活を行い一緒に種々の経験を積む事は今後のため
には良い事かもしれない。通学生と寄宿生との争い、というのが興味深かった。私も大学のクラブに在籍していた時、
「下宿組」「通い組」という言葉が存在していた(争いはないけどね)。作品の内容は子供同士の触れ合い、子供達と先
生との触れ合いが中心で、各登場人物の描写がしっかりされていると思う。全体的には無難にまとめてあり、マズマズ
といった感じか。小学校5年生の時は私もクラスのクリスマス会で班で人形劇をやったが脚本を書いたなあ。本作品を
観てそんな昔の頃を思い出した。
62.ラブ・アクチュアリー LOVE ACTUALLY (2003年英・米)<3.5>
[監督]リチャード・カーティス
[出演]ヒュー・グラント、リーアム・ニーソン、エマ・トンプソン、アラン・リックマン、コリン・ファース
[時間]135分
[内容]12月のロンドン。クリスマスを目前に控え、誰もが愛を求め、愛をカタチにしようと浮き足立つ季節だ。新たに英国の
首相となったデヴィッドは、国民の熱い期待とは裏腹に、ひと目惚れした秘書のナタリーのことで頭が一杯である。一
方、街では、最愛の妻を亡くした男が、初恋が原因とも知らず元気をなくした義理の息子に気を揉み、恋人に裏切られ
傷心の作家は言葉の通じないポルトガル人家政婦に恋をしてしまい、夫の不審な行動に妻の疑惑が芽生え、内気なOL
の2年7ヵ月の片想いは新たな展開を迎えようとしていた…。
[寸評]「ノッティングヒルの恋人」「ブリジット・ジョーンズの日記」の製作スタッフが、クリスマスを目前にしたロンドンを舞台
に、男女19人が織りなす様々な恋愛模様を同時進行で描く心暖まる群像ラブ・コメディ。出演している俳優も豪華で
幾つもの恋愛エピソードが織り交ぜられ、最後に収束していく、という凝った作り方をしている。どのエピソードも退屈す
る事はないし、嫌な人物も出て来ない。総じて言えば凄く感動する訳ではないが、何気にほのぼのとさせてくれる。
内気なOLが憧れの同僚を自分の部屋に招き入れる時の「1秒待って」「10秒待って」のゼスチャは非常に微笑ましいが、
彼女のエピソードは寂しいものがあったな。彼女にはハッピーになってほしかった。10歳の少年が学校中の憧れの少女
に恋してアプローチする様、それを支援する継父のエピソードが妙に印象的。我が家の二太郎(6歳)は買い物等で幼稚
園のクラスの女の子に出くわし「○○君!」と声をかけられると、”デヘ、デヘヘヘ・・・・”と照れながら私の後ろに隠れて
しまう照れ屋さんである。一姫も二太郎も誰かを恋し、誰かに恋されるようになるのかな。
63.壬生義士伝 (2002年日)<3.5>
[監督]滝田洋二郎
[出演]中井貴一、三宅裕司、夏川結衣、中谷美紀、村田雄浩、佐藤浩市
[時間]137分
[内容]幕末の京都・壬生。尊皇攘夷の名の下にこの地で結成された新撰組は、表向きこそ勢いを見せるが、力を増す倒幕
勢力の前に浮き足立ち、士気は低下する一方だった。そんなある日、一人の剣士が入隊してきた。盛岡の南部藩出身
の男、吉村貫一郎はみすぼらしい身なりに似合わず、これまでに何人もの人を斬り捨ててきた猛者だった。しかし、大
儀のためには己の命をも顧みない隊士たちの中にあって、恥ずかしげもなく命に固執し、さらには何かにつけてお金に執
着する貫一郎の姿は異彩を放っていた。そんな貫一郎に、近藤勇も一目置く斎藤一は嫌悪を感じるのだったが…。
[寸評]2003年日本アカデミー賞の授賞式のTV中継を見ていたら、本作品が最優秀作品賞、中井貴一が主演男優賞、佐
藤浩市が助演男優賞を受賞した。劇場公開時は関心が無かったが、中継を見て、本作品を鑑賞しようと思った。私の苦
手な幕末・新選組の時代が舞台で原作は浅田次郎。無名の新撰組隊士吉村貫一郎を主人公に、“守銭奴”とさげすま
れても、愚直なまでに愛する者のために生き抜いた波瀾の運命を描いている。中井貴一、佐藤浩市等の俳優達の演技
も上手く、夏川結衣も可愛らしく、吉村の生き方にも共感するところはある。自らの信念の下に仕事をし、特技(武術)を
持ち、それでいて(離れてはいても)常に家族を思い、家族を支えている吉村。彼が脱藩する時に娘を抱きしめ、娘が
「トト・・」と言うシーン、吉村の死を聞いた時に長男が「大好きな父が・・・」と言うシーンが印象的だ。どうしても自分の子
供とダブらせて自分は父親としてどうあるべきか?などと考えてしまう。回想して話を語っていくという手法ゆえ、場面場
面の切り替わり(歴史の展開)が早かったり、後半がやや間延びした感じもするが、マズマズの時代劇ではないか。
64.ニューオーリンズ・トライアル RUNAWAY JURY (2003年米)<4.0>
[監督]ゲイリ・フレダー
[出演]ジョン・キューザック、ジーン・ハックマン、ダスティン・ホフマン、レイチェル・ワイズ
[時間]128分
[内容]ニューオーリンズの証券会社で銃の乱射事件が勃発−。犯人は11人を射殺し5人に重傷を負わせ、自殺した。その
2年後、この事件で夫を失った女性セレステが地元のベテラン弁護士ローアを雇って、犯人の使用した銃の製造メーカ
ー・ヴィックスバーグ社を相手に民事訴訟を起こす。もしメーカー側が、この裁判に負ければ全米中で同様の訴訟の嵐
が巻きおこるのは必至となる。会社の存亡に関わり、何としても裁判に勝たねばならないメーカー側は伝説の陪審コン
サルタント、フィッチを雇い入れる。彼は早速あらゆる手段を駆使して陪審員候補者の選別に取り掛かる。やがて陪審
員団が決定するが、その中には謎に包まれた男ニックも含まれていた・・・。
[寸評]今年の1月に劇場公開された作品で観に行きたかった作品。「ザ・ファーム/法律事務所」「ペリカン文書」などの原
作者としても知られるベストセラー作家ジョン・グリシャムの『陪審評決』を基に、訴訟内容をタバコ訴訟から銃訴訟に置
き換えて映画化したサスペンス。ジョン・グリシャム原作の映画は緊迫するのだけど、しっかり理解できない、という先入
観があったが、今回は銃社会と訴訟社会という米国という国を象徴的に物語る問題を切り口に裁判の”裏側”をクローズ
アップして描かれた緊迫感あふれた作品だ。後半は結末はどうなってしまうか??と先が見えない状況で展開していく
のがよい。主要人物4人が各々いい味を出している。「アイデンティティ」のジョン・キューザックが今回も魅力的な役で
あった。陪審員制度というのはなかなか考えさせられるものがあるな。実は今回も理解しきれないところがあったが、
十分楽しめる作品でしょう。
65.Mr.インクレディブル THE INCREDIBLES (2004年米)<4.5>
[監督]ブラッド・バード
[出演](声)クレイグ・T・ネルソン、ホリー・ハンター、サラ・ヴォーウェル (吹替)三浦友和、黒木瞳、綾瀬はるか
[時間]115分
[内容]スーパー・ヒーローの黄金時代の時は、彼等は世界中で数々の危機を救っていた。しかし、15年前にその破壊力に
満ちたスーパー・パワーが一般市民の被害を拡大していると訴えられ「敗訴」し、今後、スーパー・ヒーローとして活動す
る事を禁じられてしまった。世界有数のスーパー・ヒーローだったMr.インクレディブルは今では保険会社のクレーム担当
係として退屈な日々を過ごす。同じくスーパー・ヒロインとして活躍していた彼の妻のインクレディブル夫人は、各々に悩
みを抱える長女ヴァイオレット、長男ダッシュ、次男で赤ん坊のジャック・ジャックの世話に追われている。一方その頃、
巷では元ヒーロー達が次々と行方不明になる不穏な事件が続発していた。そんな中、インクレディブル一家にも陰謀の
影が迫っていた…。
[寸評]今年の年末に観たいと思っている数ある作品の中で私が最も楽しみにしていたのが本作品。「モンスターズ・インク」
「ファインディング・ニモ」に続くピクサーの本作品が外れようがない、というのが根拠。昨年の「二モ」同様、家族で先行
上映で鑑賞した。期待通りの出来映えで非常に面白い。今年観た作品のトップ5には確実に入る。これまでのピクサー
作品の中でも一番動きが速いのではないか。「スタ−ウォーズ」「スパイダーマン2」「スパイキッズ」「007」の要素が織り
込まれた(悪い言い方をするとパクリ?)アクション満載の内容で、それでいて家族の愛情・絆の大切さも訴えている。
ヴァイオレット(姉)とダッシュ(弟)のやり取りは我が家の一姫二太郎とダブって見えて、微笑ましく温かい眼差しで観て
いた。ホロっとくる感動要素では「モンスターズ・インク」「ファインディング・ニモ」の方が高いが、楽しさ・面白さ・総合力で
は本作品に軍配が上がるのでは?前半の展開がやや辛い感じ(映画を見るまで所用が2つあり疲れていたのか2分程
寝てしまった)がしたのが難点だが、中盤以降は目がギンギラリンにさえわたる展開だ。ファミリーの各個性が上手く描
かれているし、他の登場人物のデザインも何気に面白い。妻子も本作品を絶賛していた。皆様にもオススメです。
予告編でやっていた来年12月の「CARS」にも大いに期待している。
P.S:来年7月公開の「スターウォーズ:エピソード3/シスの復讐」の予告編を遂に観た。早く見せてちょうだい・・・
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