一覧へ 前頁ヘ 次頁ヘ
46.ラストサムライ THE LAST SAMURAI (2003年米)<3.5>
[監督]エドワード・ズウィック
[出演]トム・クルーズ、ティモシー・スポール、渡辺謙、ビリー・コノリー、トニー・ゴールドウィン、真田広之、小雪
[時間]154分
[内容]明治維新直後の日本。政府は軍事力の近代化を図ろうと西洋式の戦術を取り入れることを決断。一方で前時代的な
侍たちを根絶させようと企んでいた。そんな中、政府は南北戦争の英雄ネイサン・オールグレン大尉を政府軍指導のため
招聘する。彼はさっそく西洋式の武器の使い方などを教え始めるが、勝元盛次率いる侍たちの不穏な動きに焦る政府は、
オールグレンの忠告を無視し、急造軍隊を侍掃討に送り出す。しかし、経験不足の兵士は侍たちの反撃になすすべもなく
後退し、ただ一人最後まで闘い続けたオールグレンは侍たちに捕えられ、山深い彼らの村へと連れて行かれた…。
[寸評]渡辺謙がアカデミーの助演男優賞にノミネートされる等、話題になった作品をようやく100円レンタルで拝見。反乱軍を
鎮圧するために日本へやってきたネイサンが、反乱軍に捕らえられてから彼等と触れ合う内に、最後には反乱軍側で政府
軍と戦う話。映像や戦闘シーン等は見応えがあるし、確かに渡辺謙、真田広之、小雪も頑張っているし、主演のトム・クル
ーズも見せてくれる。しかし、何故かすっきりしない。「武士道」を前面に押したいのか、メイン・テーマが何かよく分からな
いのだ。何故ネイサンが、あそこまで反乱軍に尽くすようになったのかも疑問(”たか”への償い?)だ。それにはネイサンと
勝元の触れ合い等をもう少し詳しく描いてもよかったのでは?本作品は西南戦争がモデルになっているという。私は明治
時代の歴史は疎い方だが、本作品に出てくる明治天皇には違和感を感じたな。司馬遼太郎の長編「翔ぶが如く」「坂の上
の雲」等をじっくり読んでみたいものだが・・・
47.着信アリ (2004年日)<3.0>
[監督]三池崇史
[出演]柴咲コウ、堤真一、吹石一恵、石橋蓮司、岸谷五朗
[時間]112分
[内容]ある日、女子大生の中村由美が合コンに出席していた時に、彼女の友人・陽子の携帯電話が聞き覚えのない着信音
で鳴った。確認すると、陽子自身の番号で発信され、伝言メッセージには彼女の悲鳴にも似た声が録音されている。また、
着信は3日後の時刻という何とも気味の悪い現象だった。やがて3日後のその時刻、陽子はあのメッセージと同じ悲鳴を上
げて転落死した。数日後には、同じ合コンの席にいたケンジも自分の声の着信メッセージを受け、やがて陽子と同様の不
可解な死を遂げる。そしてその恐怖は、由美の親友・なつみの携帯電話にも及んでいた…。
[寸評]劇場で観てもよいかな、と思っていた作品なので新作レンタルで妻と拝見(DVDの音声をDTSに設定)。冒頭からの展
開では、この話のカラクリは一体何だろうか?と興味を持って観ていたが、最終的には「呪怨」に近いノリであった。DTS音
声で観たので、音にヒヤリとさせられる所が幾つかある。画面が全般的に暗いので、何がどこにあるのか観辛く恐怖感が
やや少なかったか?(家のTVの問題?)話の内容は後半が分からなくなる。山下の妹の「空」のコメントの意味、最後は由
美は乗り移られたのか?子供の虐待の事を問題視するかと思いきや中途半端であったし、疑問だらけで終わってしまう。
夏の夜に少し寒ボロを出して観る分には悪くないが、オススメとは言い難いかな。妻とこの種の作品を幾つか観ている内に
「ここで来るぞ!」というのが読めてきてファイティング・ポーズを取って身構えれるようになってきた。続編が出来る模様だ
が、由美はどうなっているのだろうか?
48.砂の器 (1974年日)<4.0>
[監督]野村芳太郎
[出演]丹波哲郎、加藤剛、森田健作、島田陽子、山口果林、加藤嘉、春日和秀、緒形拳
[時間]143分
[内容]ある日、国鉄蒲田操車場構内で扼殺死体が発見された。被害者の身許が分らず、捜査は難航した。事件を担当し
た今西、吉村の両刑事の執念の捜査から、被害者は三木謙一であり、昔、島根県で巡査として20年勤務していた事
が分かる。三木は温厚な人柄で誰からも慕われるような人物であった・・・
[寸評]今年の1-3月に中居正広が主演の連続ドラマが放映されていた。松本清張の原作であるため、興味はありながらも
「白い巨塔」を観ていたので、結局観ずにいた。30年前に映画化されている事を調べ、本作品をDVDで妻と観た。現在、
妻と毎週、連続ドラマ「人間の証明」(森村誠一原作)を観ている事もあり、サスペンス作品である本作品にも十分引き込
まれた。冒頭から捜査の過程は非常に謎めいていて面白い。ハンセン病という重いテーマを絡めて、人間の、父子の「宿
命」というものを描いている。トータルでは143分の時間で上手くまとめているかと思うが、欲をいえば音楽家の和賀英良
の成長過程、心理状況をもっと描いて欲しかった。何か冷酷な人間という印象しか残らない・・・。原作ではどうなんだろ
う?それにしても30年前の作品ゆえ、丹波哲郎や加藤剛、緒形拳の名優達の若々しい事。
49.華氏911 FAHRENHEIT 9/11 (2004年米)<4.0>
[監督]マイケル・ムーア
[出演]マイケル・ムーア、ジョージ・W・ブッシュ
[時間]112分
[内容]2000年の大統領選挙で激戦と混乱の末にゴア候補を破りブッシュ候補が第43代アメリカ合衆国大統領に就任する。
そして2001年9月11日、アメリカのニューヨークとワシントンをハイジャックされた旅客機が襲うという前代未聞のテロ事件
が起きる。やがてテロの実行組織がオサマ・ビン・ラディン率いるアルカイダと判明、ブッシュ政権は犯人を捕まえるため
アルカイダが潜伏するアフガニスタンを攻撃する。しかし一向にオサマ・ビン・ラディンを捕えられないまま、いつしか戦場
はイラクへと移っていった…。一連のブッシュ政権の行動に疑問を抱いたマイケル・ムーア監督は、豊富な事実を基に
様々な角度からその真相を明らかにしていく・・・。
[寸評]マイケル・ムーア監督がジョージ・W・ブッシュ大統領の再選阻止を最大の目的に製作したドキュメンタリー。9.11米国
同時多発テロの背景と、それに続くブッシュ大統領の“対テロ戦争”の真実に迫っていく作品。2004年のカンヌ国際映画
祭においてパルムドールを受賞し、米国では公開前から様々な物議を醸し、映画の主張を巡って賛否が激しく対立する
など大きな社会現象を巻き起こした話題作ゆえ、非常に期待と関心を持って鑑賞した。それにしても非常に背筋が凍るよ
うな内容だった。大国の長がこれで本当によいのか?あの9.11のテロが起きた時の大統領の行動、その後の行動等が
詳細に示されていて仰天した。ムーア監督がひたすら語っているので、字幕を読み続けねばならず、時折ついていけない
ところもある。(建前が縦に表示、本音が横に同時に表示されるのは読みきれない)イラク攻撃の悲惨極まる映像もあり、
正視できない場面もあるが、非常に社会勉強になり刺激を受ける。大統領選挙前の今のタイミングにこそ観るべきでしょ
う。日本の政治事情も???であるが、米国もなかなかだ・・・。
50.誰も知らない (2004年日)<4.0>
[監督]是枝裕和
[出演]柳楽優弥、北浦愛、木村飛影、清水萌々子、YOU、韓英恵
[時間]141分
[内容]ある2DKのアパートに引っ越してきた母;福島けい子と4人の子供達。しかし追い出されるのを恐れるけい子は、自分と
12歳の長男・明だけの2人暮らしと大家に嘘をついていた。けい子は子供達にも近所にバレないようにと言い聞かせる。
兄妹達は父親が皆別々で、学校に通った事もない有様。けい子がデパートで働き、明が母親代わりとなって家事をし、
妹・弟の面倒を見ていた。それでも家族5人、それなりに幸せな日々を送っていた。そんなある日、新しい男ができたけい
子は、僅かな現金と明へのメモを残して突然家を出ていってしまうのだった…。
[寸評]2004年のカンヌ国際映画祭コンペティション部門に正式出品され、長男役の柳楽優弥が日本人初となる男優賞をカ
ンヌ史上最年少で受賞し話題となったので注目していた。有休でかつ子供達が妹家族の家に泊まりに出掛けているの
で昼間に妻と鑑賞。1988年に実際に起きた事件をモチーフに映画化した人間ドラマ。母親に置き去りにされた4人の子供
達が、大人達に知られることなく、自分達だけで生きていく姿を描いている。どちらかというとドキュメンタリー風に描かれ
た感じで、淡々と残された子供達の姿を追っている。非常に物悲しくて全く救いがない内容である。よくここまで生き延び
られるものだ・・・という思いよりも、子供達を学校にも行かせず、更に子育てを放棄してひたすら男に走り続ける母親に対
する憤りしか感じない。男に走る女も女なら、それを相手する男も男だと思うが・・・。この作品は結局「子供を守る、という
責任感を持たない親は親である資格はない!」というメッセージを発しているのでしょう。(そう考えないとやってられな
い)本日の周囲の観客を高齢者ばかりだったのが印象的だ。観る価値はあったし、心には残る作品。
一覧へ 前頁ヘ 次頁ヘ