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21.疑惑の影 SHADOW OF A DOUBT (1942年米)<4.0>
[監督]アルフレッド・ヒッチコック
[出演]テレサ・ライト、ジョセフ・コットン、マクドナルド・ケリー、パトリシア・コリンジ
[時間]108分
[内容]カリフォルニア州サンタローザ。その街で家族と共に平凡に暮らす長女チャーリーは、突然やって来た叔父に秘密
の匂いを嗅ぎとる。やがて2人の探偵が現れ、チャーリーは叔父に未亡人殺しの疑いがかかっている事を知る。明るい
日常生活の中でチャーリーだけが、叔父が殺人犯かどうかの疑惑にさいなまれていく…。
[寸評]ヒッチコック監督自身も本作品は「お気に入りの自信作」と語っているようだ。ごく平凡な生活を送っていたところに、
奇妙な親近感を感じている叔父がやってきて、その内、疑惑と恐怖におとしいられていく・・・というサスペンス。残虐な
シーンが描かれる訳ではない。ヒッチコック特有の技(心理戦)で上手くどっぷりと話に引き込まれてしまう芸術的な作
品だ。新聞、指輪、チャーリーの登場シーンのアングル等、幾つかのキーワード・こだわりが込められている模様だが、
全て掌握できた訳ではない。来月、NHK衛星放送で放映される予定なので、再見してみる価値はある。叔父の真相は
グレーな部分が多く、刑事も実は叔父のグルではないかと思ってしまったが、違った。ヒッチコックには毎度はぐらかせ
られてしまう・・・
22.マイ・ビッグ・ファット・ウェディング MY BIG FAT GREEK WEDDING (2002年米)<3.0>
[監督]ジョエル・ズウィック
[出演]ニア・ヴァルダロス、ジョン・コーベット、マイケル・コンスタンティ、レイニー・カザン
[時間]96分
[内容]ギリシャ系アメリカ人のトゥーラは、内気な性格と地味な容姿のせいか、恋愛に縁のない冴えない毎日を過ごす30
歳の独身女性。“ギリシャ人の男性と結婚して子を授かり、死ぬまで家族の食事を作る事がギリシャ女性のすべき事”
とされる世界にあって未婚である事は一大事。ギリシャ料理レストラン“ダンシング・ゾルバ”を営む両親にとって娘ト
ゥーラの結婚は今や最大の心配の種である。ところがある日、父のレストランで働いていた彼女は、店にやって来たハ
ンサムな男性に一目惚れしてしまう。これをきっかけに、トゥーラは、これまでの自分を変えようと決意するのだった…。
[寸評]ギリシャ系アメリカ人の独身女性が、非ギリシャ系のアメリカ人と恋に落ち、あくまでギリシア人にこだわる超頑固な
父親・口うるさい親族という障壁を越えて結婚に至るというラブ・コメディ。最初は女性を応援する形で観ていたが、最後
は男性・男性の両親が何か可哀相になってきた。あくまで女性・女性の親族の視点から描いているので、女性側はハ
ッピーなのかもしれない。男性は女性のために、ギリシアの洗礼を受けて、女性の父親から家(隣り)を与えられて、
ほぼ婿養子という形となる。(一人息子ゆえ、男性の両親の心境はいかなるものか?)男性は自分を押し殺して生きな
ければならないのか?本人がそれで幸福であれば、それでよいか?と余計な事まで考えてしまった。日本と同様、米
国も男性が弱くなっている様を描写している感じがしてならないが、どうだろう?
23.人生は、時々晴れ ALL OR NOTHING (2002年英・仏)<4.0>
[監督]マイク・リー
[出演]ティモシー・スポール、レスリー・マンヴィル、アリソン・ガーランド、ジェームズ・コーデン
[時間]128分
[内容]タクシー運転手のフィルは、スーパーで働く妻ペニー、老人ホームに勤める娘レイチェル、そして無職の息子ローリ
ーの一家4人で、ロンドンの集合住宅に住み、質素な生活を送っている。娘は決して心を開こうとはせず、息子は反抗的
な態度を崩さない。結婚生活の長い妻とも深い溝を感じてしまう最近だ。すっかり、家族らしい会話もなくなっていた。それ
はフィルの家族だけではない。同じ集合住宅に住むフィルの同僚やペニーの同僚もやはり家庭内に問題を抱えていた。
そんなある日、予想もしない悲劇がフィルの一家を襲う…。
[寸評]退屈な日々の繰り返しの中で、いつしか互いの心が離れてしまった家族の姿を見つめ、各々に悩みや不安を抱え
ながらも再び家族の絆を取り戻していくまでを描いた作品。フィルの家族だけでなく、他の2家族の姿の悩める姿も丁寧に
描いている。子供が成長しても家族の悩みは色々あるもので、どの家族でも順風満帆には決していかないものだ。生々
しく葛藤する姿を見せられるので、引き込まれてしまう。フィルとペニーの後半の会話は見応えがある。10数年後、私の
家族は現在の雰囲気を堅持できているか・・・そのためには私を筆頭に各人がしっかり生き抜いていく事が必要だ。家族
の綺麗事だけではすまない、厳しい一面を写し出した、なかなかの良作だと思う。
24.イン・ザ・カット IN THE CUT (2003年米)<3.0>
[監督]ジェーン・カンピオン
[出演]メグ・ライアン、マーク・ラファロ、ジェニファー・ジェイソン・リー、ケヴィン・ベーコン
[時間]119分
[内容]舞台はニューヨーク。大学で文学講師をするフラニーは、詩や言葉を集める事に情熱をかたむける30代の独身女
性。腹違いの妹を除いては他人に心を許さず、周囲と一定の距離を保つことで傷つかずに生きる術を身につけている。
だが、ある殺人事件に巻き込まれ、担当の刑事に出会ったことから、硬い殻の下に隠してきた激しい内面が、徐々に露
わになっていく・・・
[寸評]子供達が妹家族の家に泊まりに行く事になったので、送っていた後、妻と劇場で鑑賞。「ピアノ・レッスン」のジェー
ン・カンピオン監督が、大学講師の女性が、事件の捜査を通じて出会った刑事と危険な愛欲の世界に落ちていく姿を生
々しく官能的に描いた作品。人気女優であるメグ・ライアンが主演する作品を劇場で観るのも、妻と官能的な作品を劇
場で観るのも初めてであった。前半は、どことなく訳が分からなかったが、後半はサスペンス色が強くなってきて、真犯
人も想像から二転三転してたどりつくので後半はまずまず楽しめる。しかしながら、終わってみると、やはり訳が分から
ない事が多数ある。ケヴィン・ベーコンが演じていた医学生の存在は何?あの人はいつ妹の存在を知っていたのか?
黒人学生の存在は何?メグ演じるフラニーの幾多の男性への対応は何?等々・・・。本作品はニコール・キッドマンが
主演を降りて製作にまわった模様だが、個人的にはニコールのフラニー役が観てみたかったかな?
25.パイレーツ・オブ・カリビアン/呪われた海賊たち
PIRATES OF THE CARIBBEAN: THE CURSE OF THE BLACK PEARL (2003年米)<3.5>
[監督]ゴア・ヴァービンスキー
[出演]ジョニー・デップ、 オーランド・ブルーム、 キーラ・ナイトレイ、 ジェフリー・ラッシュ
[時間]143分
[内容]17世紀、海賊達が大海原を荒らしまわっていた遥かなる時代のカリブ海の港ポートロイヤル。美しい総督の娘エリ
ザベスは数年前に少年ウィルから手に入れた黄金のメダルを今も大切に身につけていた。ある日、キャプテン・バルボ
ッサが率いる冷酷な海賊たちが町に現われ、エリザベスをさらっていった。逞しい若者へと成長したウィルは彼女を守る
ため勇敢に立ち向かったが、海賊達は剣でその心臓を貫かれても死ななかった。エリザベスを助け出すため一匹狼の
海賊ジャック・スパロウと手を組んだウィルは、彼からバルボッサとその手下たちの恐るべき真実を知らされるのだった。
[寸評]内容は単純明快でそれなりに楽しめる冒険活劇。ジョニー・デップのメイクが何とも妙でインパクトがあり、離れ島
で酔っ払う様など滑稽であった。ウィル・ターナーは何と「ロード・オブ・ザ・リング」のレゴラス役のオーランド・ブルーム
が演じており、妻はすぐに気がついたが、私は言われるまで全然気が付かなかった。全然イメージが違う。こちらの方
が素顔なんだろうが・・・。エリザベス役のキーラ・ナイトレイも(多分)初めて見る女優であるが綺麗であった。CG映像
を駆使してホラー要素も織り込まれているが、話が間延びしている感じもし、もう少しコンパクトにまとめても良かったの
では。TDLの「カリブの海賊」に乗ったのは9年前(妻と)で(結婚してから現在までの間、子供を連れてTDLに2回行っ
たが、未だ乗せていない)、レストランの横を通っていくぐらいしか印象がないので、今度TDLに行って乗る時は本作品を
イメージして乗ってみたいものだ。
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