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怪物たちの世代-その時、甲子園は揺れた‐ 竹書房 [著者]矢崎良一 [定価]1,238円+税 [読了日]8/9
【概要】甲子園を賑わせた怪物と言われた「江川卓」「松坂大輔」「松井秀喜」「桑田・清原」達。彼等は同世代に、どう見
られ、どういう影響を与えていたのか・・・
【寸評】プロ野球でも第一線で活躍している(した)スター達は、彼等と甲子園で対戦したライバル達から、どういう存在
であったかを綴られている。特に「江川卓」に対する見方が印象深い。江川と高校時代に対戦した人達は誰もが「江川
以上の投手はいない。松坂も確かに凄いが、比ではない」と口にしている。高校時代が余りに凄すぎたので、プロでの
活躍に物足りなさも感じていたようだが・・・。しかし、改めてプロ野球の第一線の選手達がいかに超人レベルであるか
を認識させられる。
非連続の時代 新潮文庫 [著者]出井伸之 [定価]438円+税 [読了日]8/7
【概要】《今》をいかに捉え、どう行動すればよいのか−一瞬にして世界を駆け巡る情報、次々と生まれるビジネスモデ
ル。激変する時代に求められているのは、明確なビジョン、大胆な変革。ソニーのCEOが綴った経営の理論。
【寸評】ソニーの会長兼グループCEOである著者の社長就任以降の幾つかの講演録をまとめたもので、「IT」をコンセ
プトに優れた理論をうたっている。「変革」「スピード」は、どの企業でも求められている事だが、その必要性を強く説い
ている。インターネットのコスト、NTTとの絡みの話は興味深かった。
頂上対談 新潮文庫 [著者]ビートたけし [定価]552円+税 [読了日]8/3
【概要】長嶋茂雄、石原慎太郎、中田英寿、小沢一郎等13名の著名人(娘の北野井子含む)との対談集。当代随一の大
物たちが、たけしの前でついつい思わぬ「本音」を漏らす。
【寸評】ビートたけしのエッセイは非常に面白く何冊も読んでいる。どんな大物と対談しても、上手く相手の本音を引き出
すところなど、彼の頭の良さが分かる。どの対談も興味深くスイスイ読めた。淀川長治が北野武の映画監督としての
力量を非常に評価していたのが印象的。
負け犬の遠吠え 講談社 [著者]酒井順子 [定価]1,400円+税 [読了日]7/24
【概要】どんなに美人で仕事ができても、「30代以上・未婚・子ナシ」は”女の負け犬”と著者は定義し、素直に負けを認め
るべきだと説く。「負け犬にならないための10箇条・負け犬になってしまってからの10箇条」等、『In☆pocket』に連載さ
れたエッセイを単行本化。
【寸評】著者は1966年生まれで全く私と同じ年。結構、話題になっている事と同年の著者が、どんな事を考えているのか興
味があり読んでみた。内容については女性からは賛否両論あるだろう。素直に率直に心情を吐露しているので、著者
に共感できる箇所も結構ある。しかし、本書の内容に対して私ごときがとやかくコメントするのは難しいな・・・。
女は三角 男は四角 小学館文庫 [著者]内館牧子 [定価]552円+税 [読了日]7/22
【概要】「週刊ポスト」誌上で『朝ごはん食べた?』と題して連載された人気エッセイの文庫版第5集。ドラマチックではな
いけれど、日常の暮らしの中に潜んでいる人情の機微を語ってくれるエッセイ集。
【寸評】「ひらり」「義務と演技」等の原作者である著者の日常感じている事を綴ったエッセイ。過去に2作程、著者の小説
を読んだ事があるが、約10年振りに著者の本を読んだ。ユーモアあふれるエッセイで、会社の昼休みに読んだが
何度か「ムフフフ・・・」と吹き出しそうになった。時間の合間に読むのには、非常に気分転換になり良いかと思う。
監督論 集英社インターネショナル [著者]広岡達朗 [定価]1,600円+税 [読了日]7/13
【概要】破綻の危機に立つ球団経営、次々に使い捨てられる監督たち、指導者の役割とは一体何か?名将と称えら
れた著者の渾身の提言。
【寸評】著者の評論は中日新聞に掲載されていて読んでいたが、非常に切り口が鋭い。「管理野球」「菜食主義の導入」
と厳しく辛辣なイメージが強いが、本書の内容は「さすが理論派!」と非常に興味深い。出身でもある巨人のやり方
(というより某オーナー)に強い疑問を投げかけている。本のタイトルの「監督論」に留まらず(監督論は冒頭だけ)、
日本プロ野球の問題点・今後のあり方を提言した良書である。それにしてもプロ野球は今後どうなってしまうのか?
桶川ストーカー殺人事件-遺言 新潮文庫 [著者]清水潔 [定価]590円+税 [読了日]7/7
【概要】埼玉県の桶川駅前で白昼に起こった女子大生猪野詩織さん殺人事件。彼女の悲痛な「遺言」は、迷宮入りが
囁かれる中、警察とマスコミにより歪められるかに見えた。だがその遺言を信じ、執念の取材を続けた記者が辿り着
いた意外な事件の深層、警察の闇とは・・・・
【寸評】本書は「日本ジャーナリスト会議大賞」を受賞しているが、非常に優れたノン・フィクションである。事件当時の詩
織さんに関する報道の多くが信憑性のないものである事がよく分かる(実際に私も誤解していた)。幾つかの報道の
内容の内、信頼のおける記事は何か?それを見分けるのは、本書を読むと極めて難しい感じがする。それ以上に
○○に対して強い不信感を持ったが・・・。子を持つ親の立場として考えると、この事件は非常に辛くいたたまれない。
最後の詩織さんのお父さんの手記も読むのは辛かったが、多くの人にも目を通して頂き、彼等の思いをかみしめて
ほしいと思う。
白い巨塔(全5巻) 新潮文庫 [著者]山崎豊子 [定価]3,027円(5巻合計)+税 [読了日]6/20
【概要】国立大学の医学部第一外科助教授・財前五郎。食道噴門癌の手術を得意とし、マスコミでも脚光を浴びている
彼は、当然、次期教授に納まるものと自他共に認めていた。しかし、現教授の東は、財前の傲慢な性格を嫌い、他
大学からの移入を画策する。産婦人科医院を営む義父の財力とOB会の後押しを受けた財前は、あらゆる術策を
もって熾烈な教授選に勝ち抜こうとする・・・
【寸評】昨年10月から今年の3月まで21回に渡ってTV放映されたドラマは非常に見応えがあり真剣に見ていた。その
原作本を4月から読み始め、全5巻をようやく読了。TVドラマとは設定が幾つか異なるところはあるが、原作は登場
人物の心理描写がよく書かれているので、奥が深く、TVドラマ以上に面白い。特に4巻・5巻は一気に読んでしまった。
医学の詳細、医療裁判、大学病院内のドロドロ等、これだけのドラマを描ける著者の取材努力・勤勉さは凄い。「沈ま
ぬ太陽」「大地の子(TVドラマしか見ていない)」「白い巨塔」とよくこれだけ素晴らしい作品が書けるものだ。暫くした
ら、「華麗なる一族」「不毛地帯」等も読んでみたい。
冠 OLYMPIC GAMES 朝日新聞社 [著者]沢木耕太郎 [定価]1,600円+税 [読了日]6/2
【概要】かつてあのように心を躍らせてくれたオリンピックが死に瀕している。1996年のアトランタ・オリンピックの開会式
から閉会式まで、つぶさに観察した著者の奏でる痛切なレクイエム。果たしてオリンピックは滅びの道を歩みはじめ
ているのか?
【寸評】今年の8月にアテネ・オリンピックが開催される。野球に期待をしているため、いつも以上に今回はオリンピックを
観てみよう、という思いがある。本書は著者が1996年のアトランタ・オリンピックを見つめた観戦記。競技数・登場人物
が多いため、焦点を当てた書き方になっていないが、この観戦記を読むと、オリンピックというものを、もう少し注視し
てみようか、という気にさせられる。しかしながら、1996年のオリンピックは何も観ていない事に気付いた・・・
キャノンの掟 プレジテント社 [著者]プレジテント編集部編 [定価]952円+税 [読了日]5/22
【概要】4年連続増収増益を達成し、強力なリーダーシップを発揮する御手洗富士夫社長は、いま最も注目を浴びる
経営者の1人である。御手洗社長の持論は「強い会社は強い社員がつくる」。キャノンの社員はどのような姿勢で
仕事に取り組み、どのように仕事に取り組んでいるか。
【寸評】今年の3/2に中部マーケティング会議で御手洗社長の講演を直に聞く事ができ、非常に勉強になった。本書は
講演で話された内容をより掘り下げた形でまとめられている。キャノンは高収益体質の超優良企業である。優良企
業たるゆえんがよく分かる。
人生の億万長者になろう。 PHP文庫 [著者]中谷彰宏 [定価]495円+税 [読了日]5/16
【概要】自分が満喫した体験での心の貯金箱を満杯にすれば、あなたは”心の億万長者”。「アリギリスになろう」「マネー
テラピーで癒そう」など、”道楽名人”の著者が好きな事で自分を磨く方法を伝授。
【寸評】著者のメッセージはコンパクトで分かりやすい。お金の使い方、道楽のあり方について54のメッセージを語ってい
る。投資をしないと遊ぶ喜びも分からない。必需品でなく「必欲品」によって心を癒される等、参考になる点が多い。
お金は上手に使わないとなあ・・・。
悪漢たちのプロ野球 オークラ出版 [著者]二宮清純 [定価]1,429円+税 [読了日]5/15
【概要】2003年のオフは監督交代劇、ダイエー・小久保の巨人への無償トレード等、劇的な出来事が多かった。そんな幾
多の問題点を踏まえ、2004年・21世紀のプロ野球の展望を考察する。個性派プレーヤー、伝説の名選手、日本人メジ
ャーリーガーについても言及する。
【寸評】著者の作品は好きで何冊か読んでいる。昨年10月に妻と一緒に講演会にも行った事もある。プロ野球の何人か
の素晴らしい選手を取り上げ、野球の素晴らしさを説くと共に、幾多の問題点を取り上げ、今後のあり方について言及
している。著者も指摘しているが、一番の諸悪の根源は「これは読売グループ内の人事異動だ」などと言う輩であろう。
働くことがイヤな人のための本 新潮文庫 [著者]中島義道 [定価]400円+税 [読了日]5/12
【概要】「仕事とは何だろうか?」「人はなぜ働かなければならないのか?」「生きることがそのまま仕事であることは可能
か?」-引きこもりの留年生、三十過ぎの未婚OL、中年サラリーマン、元・哲学青年の会社経営者といった人物との架
空対話を通して、人間が「よく生きること」の意味を探求する。
【寸評】私自身が働くことをイヤだと思っているのでない。本書がハードカバーで出版されていた時にタイトルに何となくひ
かれ、中をのぞいて見たいという関心があったので文庫化されたのを機に読んでみた。著者は引きこもり経験があり
12年も大学(院を含む)生活を送った哲学者・大学教授である。対話形式で書かれているので、読みやすくはなって
いるが、哲学的な見解が多い。「引きこもり」を肯定的(効用有り)に記しているのは珍しいと思う。私は登場人物Cさん
に立場が近く、Cさんの問いかけ→やり取りに注視していた。読んでみて、「人生のあり方」について語った分かったよ
うな分からないような本であった。
日本再生会議 講談社現代新書 [著者]木村剛 [定価]700円+税 [読了日]5/7
【概要】国も会社も個人を守ってくれない時代をどう生きるか。経済状況から日常生活まで、65の質問を著者が答える。
【寸評】今年のG.W連休は「白い巨塔(第2巻)」と本書を併読していた。質問に対する著者の全ての答え・解説が理解で
きた訳ではない(頭が付いていけない)が、興味深い質問(年金問題、預金封鎖、成果主義の経営への影響等)に対す
る解説は上手く納得のいくように解説してくれている。
依存症の男と女たち 講談社文庫 [著者]衿野未矢 [定価]533円+税 [読了日]4/26
【概要】破滅覚悟で不倫に走ってしまう自動車会社のディーラー。コリアンクラブにはまり、借金を重ねる営業マン、針で
自分の体を傷つける有名大卒のフリーター・・・。依存症から抜け出せない男達の陰には、心に問題を抱えた女性が
存在していた!現代人の病んだ人間関係に迫る異色ルポ。
【寸評】本書に登場する人達のエピソードには、なかなか引き込まれてしまった。決して彼等の事を単純に蔑んだりもでき
ない。誰しも他人事とは言い切れないのではないか。人と人との関係は非常に好転をもたらす場合もあれば、悪循環
に陥る場合もある。家庭環境の影響や人生を歩む過程も大きい。生きていく事、子供を成長させる事は大変だ。「大変
な時代だけど、お互いに何とか生き抜いていこうね」という著者のメッセージに強く共感を覚える。
子どもが育つ魔法の言葉 for the Heart PHP文庫 [著者]ドロシー・ロー・ノルト
[定価]476円+税 [読了日]4/20
【概要】大ベストセラー『子どもが育つ魔法の言葉』の第二弾。本当に大切な事はとてもシンプル。子育ての智恵のうち
でも特に大切なエッセンスを集めてある。
【寸評】前作よりもコンパクトにまとめられている。但し、書かれている事は本当に心にしみいる内容である。私と妻が親とし
て子供に対して、本書の内容に照らし合わせてみると出来ている事・出来ていない事が色々ある。本書は前作同様、
子育て・家族のあり方について貴重な指南書である。今後も手にして読み返す事があるだろう。
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