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[図解]わかる!MBA PHP文庫 [著者]池上重輔  [定価]514円+税 [読了日]4/16
 【概要】MBA(経営学修士号)の基礎的な教科をトヨタ、ソニーなど有力企業の実例と豊富な図で解説。
 【寸評】コンパクトに読みやすくまとめられている。”コーポレント・ファイアンス”の箇所はこれまで触れた事のないもので
    「こういう見方をするのか」と思うものの、実際に自分で計算しろ、と言われても未だよく分からない。

教育が拓く未来 PHP研究所 [著者]櫻井よしこ  [定価]1,300円+税 [読了日]4/9
 【概要】この国の未来を担う「教育」は大丈夫か。変わり始めた教育政策および教育現場などを著者が丹念に取材しなが
   ら、その問題点と課題を抽出する。「戦後民主主義教育」「ゆとり教育」の失敗を超えて、気がついた一部の大人達は、
   子供達を伸ばす意欲的な実践を行っているのだが・・・。
 【寸評】櫻井よしこさんの論評は切れ味が鋭くいつもながら感心してしまう。今回の内容は子供を持つ親にとっては深刻な
   現実に気付かされる。色々と創意工夫をして子供に学習を面白く取り組ませようと取り組んでいる先生がいるのも事実
   (少数派)だが、学校だけに教育を任せきるのもどうなのか?塾に行かせようという事は思わないが、歴史・理科・読書
   等、親が一緒になって触れ合いながら教えていく(というより一緒に学ぶ)事の重要性を痛感させられた。

本能寺(上)(下) 角川文庫 [著者]池宮彰一郎  [定価]上・下共629円+税 [読了日]4/4
 【概要】織田信長−群雄割拠する戦国の世に尾張の国に出現した時代を凌駕する天才。彼の強烈な美意識と凄まじいま
   での発想が、旧体制の既得権一切を破壊し、中世から近世への歴史の扉をこじ開けていく。卓越した才を誇る家臣の
   明智光秀や木下藤吉郎の理解さえ拒み、孤高に君臨する主君信長。その心奥に潜む壮絶な精神と雄大な構想に迫る
   歴史長編。
 【寸評】3年振りに読んだ歴史小説。私は歴史小説の中でも信長・秀吉・家康が登場する時代の作品が特に好きで、信長
   を取り上げている作品では過去に「国盗り物語」(司馬遼太郎作)「決戦の時」「反逆」(遠藤周作作)を読んだ事がある。
   久々に歴史長編を間を置きながら読んだため、所々分からなくなってしまう箇所もあったのが難点だが、本書は斬新な
   (奇抜な)発想で書かれている。信長が自らの後継者として秀吉を評価せずに光秀を考えていたというものだ。日本史最
   大の謎とも言われる「本能寺の変」ゆえ、真相は分からないが、光秀の反逆の経緯は著者によって随分とらえ方が異な
   り面白いものだ。

子どもに伝えるイラク戦争 小学館 [著者]石井竜也×広河隆一  [定価]1,000円+税 [読了日]3/23
 【概要】ミュージシャンの石井竜也とフォト・ジャーナリストの広河隆一が率直に語り合った日本とイラク戦争。子どもと戦争
   について話すときに読みたい本。子どもたちの、イラク戦争への疑問や不安にきちんと答えていける本。

 【寸評】痛々しい幾つかの写真が掲載されており、石井竜也と広河隆一が深みのある対談をしている。40分程で読めてし
   まうが、内容は濃く深い。子供達に「イラク戦争とは?」と説明できるように、また大きくなってから自分で読んでもらうよ
   うに思いを込めて本書を購入。子供達に「戦争の悲惨さ」を伝えるための映画は数本備えているが、本書も重宝もの。
   (小学校高学年になれば自力で読めるように配慮されている)

ケータイを持ったサル 中公新書 [著者]正高信男  [定価]700円+税 [読了日]3/22
 【概要】「ひきこもり」など周囲とのコミュニケーションがうまくとれない若者と「ケータイ」でいつも他人とつながりたがる若者。
   両者は正反対に見えるが、実は成熟した大人になることを拒否する点で共通している。これは「子供中心主義」の家庭
   で育った結果といえる。現代日本人は「人間らしさ」を捨て、サルに退化してしまったのか?
 【寸評】サル学者である著者が、サルの行動と現代の若者、家族の傾向を比較しながら、人間は「サル化」していると嘆い
   ている。大人になれない若者達、子を持ちたがらない大人達、子離れできない大人達などを著者なりの視点で分析して
   いて面白く読める。「子供中心主義の実態が本人のためという訳ではない」等、ピリッと刺激を与えてくれるフレーズも
   幾つかあった。   

人を助ける仕事 小学館文庫 [著者]江川紹子  [定価]600円+税 [読了日]3/18
 【概要】オウム真理教の信者になった若者達と向き合ってきた著者が、地道な仕事の中に「生きがい」を見出した20代から
   30代の人々を取材。自分に素直に、だからこそ紆余曲折を繰り返しながら、福祉や救急、介護など「人を助ける仕事」に
   たどり着いた37人の各々のドラマを丹念に描き出す。
 【寸評】ここに取り上げられている人のほとんどが私より若い世代である。彼等は、辛い経験・挫折を繰り返しながらも、自
   分の生きがいを見出し、一生懸命生きる姿が感じ取れる。決して名声や地位にこだわる事もなく「自分らしさ」を発揮しよ
   うとしている姿は美しい。若い人達から色々な事を教えられた感じがする。

WORLD CUP  朝日新聞社 [著者]沢木耕太郎  [定価]1,600円+税 [読了日]2/27
 【概要】日韓共同開催となった2002年のサッカーのワールドカップ。その全期間、日本と韓国の間を激しく移動しながら
   著者が求めた「二つのもの」とは何だったのか?アエラに連載された「コリア・ジャパン漂流記」を大幅加筆。
 【寸評】紀行、スポーツ・ノンフィクション、シネマコラムで名高い著者が2002年のワールドカップを旅(移動)を織り交ぜな
   がら凝視し、感じ取った事を綴っている。日本代表の試合と準決勝・決勝に関心を持って観ていただけの私にとって
   は、本書によってワールドカップをより楽しむ術(視点)を知る事ができた。著者は子供の頃、サッカーをやった事もなく、
   1998年のフランス大会までサッカーに全く関心がなかったとの事。それなのに、よくここまで綴れるものだ・・・今、日本
   代表は2006年ワールドカップに向けて戦っている。2006年のドイツ大会はどうなるか?興味深く観戦したい。

なぜ会社は変われないのか  日経ビシネス文庫 [著者]柴田昌治  [定価]648円+税 [読了日]2/18
 【概要】残業を重ねて社員は必死に働くのに、会社の経営状態は悪化。社内には不信感が渦巻き、口ばかりの評論家が
    氾濫。リストラで人も給料も減らされ、上からは改革の掛け声ばかり。こんな会社を本当に蘇らせた驚くべき手法を
    迫真のドラマで描く。
 【寸評】5年程前に私が当時所属していた部署の統括役員の机の上に、本書(ハードカバー版)が置いてあったのを覚えて
    いる。今回、文庫化されたのを機に読んでみた(今頃ではあるが・・)が、話の舞台が私の勤務する会社と同じ業界で、
    非常に身近に感じられる内容であった。企業の命運を分けるのは「風土・体質」いかんによる、部門(社)内外を問わず
    「まじめな雑談」(コミュニケーション)が重要である、と説いている。私が現在、携わっている業務に類する事で、私自
    身も懸念している事が260ページにしっかり指摘されていた。悩ましいな・・・

かぎりなくやさしい花々  偕成社 [著者]星野富弘  [定価]880円+税 [読了日]2/4
 【概要】著者は器械体操の好きなスポーツマンだったが、中学教師になって間もなく、不慮の事故で首から下の自由を失っ
   てしまった。しかし、闘病生活の中で、生命の尊さを学び、わずかに動く口に筆をくわえて、一筆一筆、詩や絵を書き始
   め、多くの人に感動を与えるようになる。
 【寸評】大学3年生の時(1987年9月)に私の所属していたグリークラブと女子大との合同演奏会(兵庫県尼崎市で開催)で
   混声合唱組曲「花に寄せて」を歌った。曲はもちろんの事、歌詞の素晴らしさが印象深く、今でも時々口ずさみたくなる程
   お気に入りの曲である。その作詞をしたのが著者の星野富広氏である。今頃になって本書を読んでいるのではいけない
   のだが、著者の辛い闘病生活、生きる姿勢、幾多の思いを知る事が出来た。あの歌詞にこめられた想いが、17年経った
   現在、少しばかりだが掘り下げて感じ取れたかな。

いのちのバトンタッチ  致知出版社 [著者]鈴木中人  [定価]1,500円+税 [読了日]2/2
 【概要】小児がんで長女を亡くした著者が、いのちのメッセージを確信するまでの11年にわたる想いの軌跡。「いのちの
   輝き」との出会いの物語であり、「良き医療を」願う患者・家族の本。
 【寸評】著者の鈴木さんは私と同じ会社で、前の部署の時に上司として色々とお世話になった方である。鈴木さんと一
    緒に出張に行った事があり、献血センターの前を通った時に、私に「娘の時に多くの人にお世話になったからね。そ
    の恩返しに少しでも献血等役に立てる事がしたいんだ・・・」と話された事が忘れられない。鈴木さんの著作は「景子
    ちゃん、ありがとう」に続き2作目だが、2作共、涙なしではとても読めない。前作は闘病記であるが、本作品は、前半が
    闘病記、後半が、その後の様々な人との出会い、実際に取り組まれている活動について記されている。生き抜く事の
    大切さ・家族への愛情・各人の尊厳等、本当に様々な事について考えさせられる。
   <参考URL> http://hm7.aitai.ne.jp/~inochi-b/

炎と氷(ひとこおり)  祥伝社 [著者]新堂冬樹  [定価]1,800円+税 [読了日]1/31
 【概要】有無をいわせぬ暴力で債務者を恐怖に陥れる、競馬金融を営む”炎の男”世羅。冷徹な頭脳で闇世界の制覇を
    目論む、風俗金融を営む”氷の男”若瀬。かつての親友同士が袂を分かった時、壮絶な闘いの幕が切っておとされ
    た・・・
 【寸評】先日の新聞に「闇金融からの被害件数が膨大」という記事が掲載されていた。お金の借り先も深みにはまって
    いくと銀行→信販会社→サラ金→街金→闇金という経路をたどる。街金を描いた青木雄二氏の傑作漫画「ナニワ金
    融道」も印象深い作品だが、本作品で描かれる闇金の世界は、非常に怖く、描写もとても映像化できない程、グロテ
    スクな箇所が多々ある。話の内容にはドップリ引き込まれてしまったが・・・。しかし新聞で問題視されている程だか
    ら、本作品の内容は決してフィクションではないのだろう。「まっとうに生きていても思わぬところから波紋が生じてく
    るかもしれない」「絶対に足を踏み入れてはならない」という衝撃的な警告を発する小説といえよう。新堂冬樹氏の作
    品は初めて読んだが、「無間地獄」「溝鼠」も時間を見つけて読んでみたい。それにしても”本当に怖い!”   

〔図解〕ビジネス・コーチング入門  PHP文庫 [著者]本間正人  [定価]571円+税 [読了日]1/21
 【概要】上司が部下を効果的に指導する切り札として、ビジネス・コーチングが注目を浴びている。実戦で使える観点から
    コーチングの基本的な考え方や様々なスキルを豊富な図解で総点検。
 【寸評】図解や対話の例が紹介されていて読みやすい。ビジネスの場という事だけでなく、親子や様々な人間関係にも
    当てはまると思う。最もな事を書かれているのだが、なかなか出来ない事が多いね。

救急精神病棟  講談社 [著者]野村進  [定価]1,700円+税 [読了日]1/15
 【概要】24時間体勢で精神科救急に取り組む、日本で唯一の公立病院を3年にわたり密着取材。突然、妄想に取りつかれ
    たエリートサラリーマン、神様モードの青年、自殺願望の少女・・・。「精神病は治せるんだ!」と闘っている医師達の知
    られざる精神医療の最前線を追ったルポ。
 【寸評】厳しい社会環境の中、「メンタルヘルス」が叫ばれている。私の会社でも管理職に対して講習が行われたり、社員
    全員に”ストレスと上手くつきあうポイント”をまとめた小冊子が配布された。千葉県に救急精神医療センターがある事を
    初めて知ったし、その世界の凄まじさには強烈なインパクトを受けた。野村進氏のルポを読むのは「コリアン世界の旅」
    に続き2冊目だが、なかなか切り口が鋭く読みやすい。日本の入院患者のほぼ4人に1人が精神病患者だという驚愕
    の事実は私を含め、ほとんどの人が知らないのだろう。

ぼくが選んだ洋画・邦画ベスト200  文春文庫 [著者]小林信彦  [定価]476円+税 [読了日]1/14
 【概要】20世紀が生んだ総合芸術・映画の歴史の中で、トーキー誕生の頃(昭和7年)に生まれた著者が「何度も繰り返し
    観た、もう一度観たい」という基準で選んだ<洋画・邦画ベスト200>。
 【寸評】小林信彦氏は中日新聞で映画評論のコラムを書いていて興味深く拝見している。最近では「シカゴ」「ラスト・サム
    ライ」をほめていたと思う。私が選出する洋画・邦画の各ベスト100と、34も年の離れた小林氏が選ぶ作品は生きた時
    代の差もあり当然のごとく随分異なる。洋画では「スティング」「ジョーズ」「裏窓」「イブの総て」等の13作品が一致した
    が、邦画は「七人の侍」「野良犬」「Shall we ダンス?」の3作品しか一致しない。特に邦画は古く知らない作品が多い。
    1970年代に書かれたコラムも幾つか掲載されており、当時の時代背景が汲み取れて興味深い。

誰か somebody  実業之日本社 [著者]宮部みゆき  [定価]1,524円+税 [読了日]1/9
 【概要】財閥会長の運転手・梶田が自転車に轢き逃げされて命を落とした。広報室で働く編集者・杉村三郎が義父である
    会長から遺された娘2人の相談相手に指名される。妹の梨子が父親の思い出を本にして、犯人を見つけるきっかけに
    したいというのだ。一方、姉の聡美は出版に反対しているのだが・・・
 【寸評】今、私の好きな作家の一人である宮部みゆき氏の現代ミステリー最新作。過去に読んだ「火車」「理由」「模倣犯」
    に比べて今回の事件の内容は小さく静かなものだが、毎度のごとく宮部氏の術中にはまり、読み進める内に引き込ま
    れてしまう。特に最後の30ページは中味が濃い。本の帯に記してある「事件は小さいけど悩みは深い」という言葉が正
    に内容を象徴している。人間誰しも悩みを内に抱えて生きているものか・・

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