一覧へ 前頁ヘ 次頁ヘ
11.ヒッチコック・天才監督の横顔 DIAL "H" FOR HITCHCOCK: THE GENIUS BEHIND THE SHOWMAN
(1999年米)<3.5>
[監督]テッド・ハイムズ
[出演]アルフレッド・ヒッチコック、ブライアン・デ・パルマ、カーティス・ハンソン、ブライアン・シンガー、ジャネット・リー
[時間]105分
[内容]アルフレッド・ヒッチコック監督の作品に携わったスタッフ・出演者達のインタビューを織り交ぜながら、ヒッチコックの映
画と共に歩んだ50年の軌跡・真実に迫るドキュメンタリー。
[寸評]1/20にNHK衛星放送で放映されていたので録画して拝見。ヒッチコック監督は全部で56作の映画を製作している。私
は有名な作品を主に観ていて、現時点で10作(※)拝見している。彼のサスペンス仕立てはなかなか独特で面白い。そん
なヒッチコックに迫った本作品を興味深く拝見できた。彼の製作へのこだわり、観客への思い、妻への厚い信頼・愛情等を
知る事ができる。「サイコ」のジャネット・リー、「鳥」のティッピ・ヘドレンといったヒロインが年を取った(70〜80才)姿でイン
タビューに登場してくるが、”美女は年を取っても美女だな”と思わせられる。本作品を観て、次に観たいと思う作品は「疑
惑の影」「汚名」「下宿人」辺りか・・・。
<※私が観たヒッチコック作品−お気に入り順−>
「鳥」「裏窓」「めまい」「サイコ」「北北西に進路を取れ」「ハリーの災難」「レベッカ」「泥棒成金」「ロープ」「バルカン超特急」
12.刑務所の中 (2002年日)<2.5>
[監督]崔洋一
[出演]山崎努、香川照之、田口トモロヲ、松重豊、村松利史、窪塚洋介
[時間]93分
[内容]ある日、花輪和一は銃砲刀剣類等不法所持、火薬類取締法違反で懲役3年の刑を受ける。晩秋の日高刑務所で受
刑者番号222番を与えられ、刑務所生活が始まった。花輪は各々ひとクセもふたクセもある4人の受刑者達と同房にな
る。花輪と4人は次第に奇妙な連帯感で結ばれていく。花輪にとって刑務所内での暮らしは予想に反して平穏で居心地
の良いものだった。厳しく、一見風変わりな規律はたくさんあるが、暴力等は一切なく、テレビも見れて雑誌も読める。
刑務所の中では、そんな穏やかな毎日が日々繰り返されていた・・・。
[寸評]花輪和一が自ら体験した刑務所生活を綴った同名漫画の映画化。監督は「月はどっちに出ている」(世間の評価は
高いが私には全く理解できなかった作品)の崔洋一で、山崎努を筆頭に演技派揃いの役者が登場している。この内容
は原作者の実体験に基づいたものゆえ、一つの事実なのだろうが、刑務所はこんなに居心地が良い所なの?と思わせ
られる。脱走を企てるとか、入所した瞬間に、同室の者にリンチに遭う、という過激なシーンは全くなく、あまりに淡々とし
た話ゆえ、睡魔に襲われてしまった。この作品をどれだけの人が観て影響を及ぼすかは分からないが、刑務所の中は
そんなに厳しいものではない、なんて思わせたら犯罪が減らないのではないか?「007/ダイ・アナザー・デイ」の冒頭で
ボンドが某所でとてつもない仕打ちを受けるシーンがあったが、悪い事をするととてつもない恐ろしい罰を受けるんだ、
と幼少の内から厳しく教育した方が良いかと思うが・・・(刑務所をとてつもない体罰・強制労働をさせる場所にする事は
人権の問題もあり、非現実的なのだろうが、少なくとも少年法は廃止か厳しいものに改正をすべきだ)。
13.パワーパフ・ガールズ ムービー THE POWERPUFF GIRLS MOVIE (2002年米)<3.0>
[監督]クレイグ・マクラッテン
[出演](声)キャサリン・キャパディーニ(麻生かほ里)、タラ・ストロング(南里侑香)、E.G.デイリー(池田有希子)
[時間]73分
[内容]天才科学者ユートニウム博士の研究室で、超人パワーを持つブロッサム、バブルス、バターカップの3人の娘が誕
生する。とてつもないスーパーパワーを持ち、一時は街を騒然とさせてしまう。悪事の天才モジョ・ジョジョがガールズに
急接近し、ガールズのパワーを利用して街を破壊・征圧しようとする。怯える街の住人を救って、モジョの野望をつぶせ
るか?
[寸評]昨年3月に一姫の6歳の誕生日に買ったDVDをようやく拝見。最近、子供達がカートゥーン・ネットワークのHPで「パ
ワーパフ・ガールズ」のゲームをやっているのを見て本作品を観る気になった。登場人物達が平面形なのが独特だが、
ガールズ達の動きが非常に速く、アクション・シーンは結構魅せてくれる。全世界でも人気というカートゥン・チャンネルの
アニメーションの入門編という内容だ。子供と一緒に観る分にはマズマズ楽しめるかな。市長の秘書が常に顔を隠して
いるのは何故だろう?(一姫が言うにはTV放送でも未だ顔を明かしていない、との事)
14.命 (2002年日)<3.0>
[監督]篠原哲雄
[出演]江角マキコ、豊川悦司、筧利夫、麻生久美子、平田満、斎藤由貴、樹木希林
[時間]111分
[内容]1999年初夏、柳美里は、病院の診察室でお腹の子供の映像を見ていた。美里のお腹の中で新しい命が芽生えてい
たのだ。しかし、この子供の父親となる相手は妻帯者。出産を迷う美里は、かつての恋人で劇団主宰者の東由多加を訪
ねた。東は美里の作家としての才能を引き出し育てた恩人でもあり、今でも特別な存在であった。再会も束の間、美里は
その時、東が既に手の施しようのない癌に冒されていることを知った。そんな東は自らの病気と闘いながら共に子育てす
る事を約束した。そして2000年1月に新しい命が誕生した・・・。
[寸評]最近、新潮文庫にも登場した柳美里のベストセラー小説“命”シリーズの映画化。柳美里自身の生々しい体験を綴っ
た小説を、「月とキャベツ」「はつ恋」(共に未見である)の篠原哲雄監督が描く壮絶な愛の物語。柳美里の名前をよく目に
するが、彼女の作品は未だ読んだ事がない。柳を演じる江角マキコは私と同年の女優であるが、彼女の私生活の印象が
良くなく、TVドラマの「ショムニ」等で話題になるものの、あまり好感が持てず、彼女のTV・映画に出演した作品は未だ観
た事がなかった。本作品の内容は実話に基づくものだが、柳美里と東の関係は何とも言い難いものがある。本当にそんな
事あるのか?という感じだが・・・。特に東を演じる豊川悦司が上手く、どちらかと言うと彼の視点で話を語っているので
「命」について強いインパクトを与えてくれる。末期癌との闘いは実に生々しい。血はつながらない柳美里の子供を抱き上
げて「これが自分の生まれ変わりなんだ・・・」と言うシーン、お宮参りの時に抱きながら涙を流すシーンは非常に辛く印象
深い。話の内容は面白い訳ではないが、最後を迎える様子、出産〜乳児を育てる様子を対比させて描く事によって”生命
の尊厳”については改めて強く認識させられた。
15.テルマ&ルイーズ THELMA & LOUISE (1991年米)<4.0>
[監督]リドリー・スコット
[出演]スーザン・サランドン、ジーナ・デイヴィス、マイケル・マドセン、ブラッド・ピッド
[時間]128分
[内容]テルマとルイーズの女性2人は週末のほんの数日、骨休めに小旅行へ行こうとしていた。テルマは暴力的で横柄な
夫に旅行の事さえ言い出せない物静かな主婦だ。その親友である独身のルイーズは言いたいことはズバズバ言うし、味
方につけたら無敵だが絶対に敵には回したくないタイプ。お陰でいつも、亭主関白気取りのテルマの夫からは疎まれてい
た。そんな2人が強行に旅へと出発する。ところがバーで羽目を外してしまい、男に誘われて店の外へ出てしまったテル
マを追いかけたルイーズは、テルマがレイプされそうになっているのを目撃してしまう。親友を助けなければと、咄嗟にル
イーズは護身用に持っていた拳銃で相手を殺害してしまう。どうすることも出来なくなってしまった2人は車に飛び乗り、
その場から逃げ出してしまった・・・。
[寸評]2〜3月にNHK衛星放送でアカデミー賞の何らかの部門でオスカーを獲得した70作品を放送している。本作品はリドリ
−・スコット監督の作品で脚本賞を受賞している。未見であったため、録画をして拝見。2人の女性が旅に出て、1人の男
性を殺してしまった事から歯車が狂い、逃避行・犯罪を重ねていく、という内容。亭主に対して鬱積していたテルマが旅に
出る事によって、開放的になってしまい、どんどん豹変していく様が見応えがある。「女性を粗末にするととんでもない事に
なるわよ・・・」という言葉がストーリーの展開上でも、現実においても凄く真実味を感じさせられる。スーザン・サランドンと
ジーナ・デイヴィスの2人の演技は上手いし、ブラッド・ピッドが「えっ?」という役柄で登場してくる。特に後半の場面は、リ
ドリ−・スコット監督らしい広大な景色の中でのチェイス・シーン等、美しく惹きつけられる映像だ。最後のシーンは「已む無
し」というところか・・・。
一覧へ 前頁ヘ 次頁ヘ