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66.ザ・ビッグ・ワン THE BIG ONE (1997年英米)<4.0>
[監督]マイケル・ムーア
[出演]マイケル・ムーア、フィル・ナイト等
[時間]91分
[内容]1990年代の終わり、米国経済は絶頂にあった。企業利益は過去最高、株式市場は大盛況を呈し、何もかもうまく
いっているようだった。だが表向きの数字とは裏腹に、労働者は工場閉鎖やリストラで生活苦にあえいでいる。矛盾の
原因を追求すべくマイケル・ムーアは立ち上がった。自著のキャンペーンツアーを利用し、納得のいかない状況を説明
してくれそうな大物CEO(最高経営責任者)を探して全米中を駆け巡る・・・
[寸評]本作品は日本では劇場未公開のものである。”マイケル・ムーア;アポなしBOX”という「ボウリング・フォー・コロンバ
イン」と本作品のDVD、SWITCH特別編集のブックレットとがセットされたものが発売されたので購入して拝見。「ロジャー
&ミー」の路線を踏襲しているが、一つの町・企業を対象とせず、今回は全米を駆け巡ってあらゆる企業に突撃していく。
小切手や表彰状を携えて、より過激にアプローチしていく。何といっても最後のナイキの会長フィル・ナイトへのインタビュ
−は強烈だ。グローバリゼーションの実態(の一つの形)がこれか!という事も認識できる。「ボウリング」「ロジャー」に続
く3作品目なのでマイケル・ムーアのアプローチに新鮮味を感じなくなったが、冒頭の寄付の話とナイキの会長との会話
は非常に興味深い。このDVDは購入しただけの価値はあったと思う。
67.さらば、わが愛/覇王別姫 覇王別姫 (1993年香)<4.0>
[監督]チェン・カイコー
[出演]レスリー・チャン、チャン・フォンイー、コン・リー、グォ・ヨウ
[時間]172分
[内容]身を持て余した遊廓の母に捨てられ、京劇の養成所に入れられた小豆。淫売の子といじめられる彼を弟のようにか
ばい、辛い修行の中で常に強い助けとなる石頭。やがて成長した二人は、それぞれ“程蝶衣”、“段小樓”と名を変え、
京劇界を代表するスターとなっていた。小豆は女形として選ばれたが、なかなか女に成り切れない。しかしその辛苦を乗
り越えた時、彼の心は完全なる女として生まれ変わり、それは“段小樓”への包み隠さぬ想いともなる。だが心がいくら
女であろうとも、男である限り“程蝶衣”に成就の手立てはない。やがて“段小樓”は遊廓の菊仙と恋に落ち、結婚する
が、菊仙に対して“程蝶衣”はいかんともしがたい嫉妬を抱く。中国の激動期と共に彼等の運命は・・・
[寸評]「北京ヴァイオリン」のチェン・カイコー監督は本作品によって名高い評価を受ける事になったという。1993年のカンヌ
映画祭でパルム・ドール賞を受賞した作品。中国の激動の時代を生き抜く京劇役者2人と一人の女性の愛憎劇を描いた
3時間の大作であるが、時間は苦にならない。特に前半の幼少時代と京劇の修行の厳しさを描いた場面は見応えがあ
る。この作品は私が絶対に相容れないゲイを描いている。但し、露骨に描いている訳でないので、すんなり受け入られる
内容だ。この作品、実はもっと長く、かなりカットされているのではないのか?後半の時代の変遷と共に動く彼等3人の
描写は速すぎたり唐突すぎたりして、ついていけない所がある。単に私が中国の歴史を理解していないところもあるが。
それにしても体制云々というのは本当に凄まじいね。“段小樓”の体制を前にひれ伏したあの裏切りの言動は結構、
強烈だった。最後の場面は何故・・・・なのかが分からなかったのだが、どう解釈してよいのでしょうか?
68.リング0 バースディ (2000年日)<3.0>
[監督]鶴田法男
[出演]仲間由紀恵、田辺誠一、田中好子、麻生久美子、若松武史
[時間]99分
[内容]「リング」から時代を遡って30年前。劇団・飛翔に、妖艶な美しさを持つ山村貞子が入団してくる。看板女優の葉月愛
子は、貞子のただならぬ気配を察知し、彼女を敵対視するが、その日から何故か毎晩、奇妙な悪夢にうなされていた。
そんな中、劇団内にも次々と恐ろしい出来事が起こりはじめる・・・。
[寸評]「リング」シリーズの完結編。TV放映されたので録画して妻と拝見。「スターウォーズ」のごとく、第1作目から時代を
30年遡り、呪いのビデオテープを生み出した貞子の秘密を描く。仲間由紀恵が演じているので、前作迄の恐ろしい貞子
ではなく、ミステリアスで可憐な貞子になっている。この3部作は、それなりにつながって出来ている。段々慣れてきたと
いう事と、第1作目のインパクトが強いのか、今回はそんなに怖さはない。最後の仲間由紀恵が残酷で憐れでならない
が・・。私はこのシリーズで何が怖いかというと貞子が井戸から這い上がって来るとか、スーっと通り抜ける姿ではなく、
志津子が鏡に向かって髪をといている姿だ。あれを見ると体温が数度下がる感じがする。本作品で貞子を描いた訳だが
実の父親の存在が?になったし、まだまだ謎が多い。志津子を描いた作品が出来ても良い気がするが・・・。
69.奇人たちの晩餐会 LE DINER DE CONS (1998年仏)<3.5>
[監督]フランシス・ヴェヴェール
[出演]ジャック・ウィルレ、ティエリー・レルミット、カトリーヌ・フロ、ダニエル・プロヴォスト
[時間]80分
[内容]出版業を営むブロシャンには密かな楽しみがあった。それはバカな人間を招待しては仲間で笑い物にするという奇
妙な晩餐会だ。今回はマッチ棒の工作が趣味という税務局勤めのピニョンという小男を見つけたのだが、当日ギックリ
腰になり動けなくなったブロシャンはピニョンと自分の部屋で2人きりになってしまうのだった…。
[寸評]深夜にTV放送されていたので録画して拝見。最近の鑑賞記からみても、9月にHDD内蔵型DVDレコーダーを購入し
てからはTV放送の映画を録画して観る事が多くなった。まだHDDに4作品未見の状態で保管されている。本作品の邦題
からすると奇人達が集まって晩餐会を行うのかと思いきや、晩餐会の主催者と奇人(?)が晩餐会に行き損ない、2人を中
心に一つの部屋に数人が出入りしながら話が進んでいく、というテンポの良いコメディだ。ピニョンは要領が悪く、真正直
で、愛すべき奇人という感じだ。最初はイラついて仕様がないが、後半は段々哀愁が漂ってきて情の熱いところも見せて
くれる。話は単純で、どちらかというと舞台劇のような感じもするが、マズマズの出来ではないか。「むやみに人をバカと
いうものではない!」という台詞があるが、これは当然、守るべき作法でしょう。我が家の子供達に対して何かの拍子で
「バカ野郎」といったら「バカという人がバカなんだよ〜だ!」と返されてしまった。その通りであります。
70.モリー先生との火曜日 TUESDAYS WITH MORRIE (1999年米)<4.0>
[監督]ミック・ジャクソン
[出演]ジャック・レモン、ハンク・アザリア、ウェンディ・モリツ、キャロライン・アーロン
[時間]90分
[内容]ミッチはTVや新聞で活躍するスポーツライターである。多忙で華やかな生活を送っていた。但し、未だ独身であり、
交際している女性はいるが付かず離れずの状態で仕事優先主義である。ある夜、彼はテレビで大学時代の恩師である
モリー教授のインタビューを目にする。不治の病に冒され、わずかな余命を生きるモリーが、「人生で一番大切なこと」に
ついて、熱心に語っていた。その話は、「本当の幸せ」を見失っていたミッチの心に響き、彼は教授に会いに行くことを決
意する。卒業してから16年ぶりの再会となる。モリーは彼に優しく言った。「憐れむより、君が抱えている問題を話してく
れないか…」 こうして毎週火曜日、モリー先生の「最後のレッスン」が始まった・・・
[寸評]CS1チャンネルで放送されたので録画して拝見。「アパートの鍵貸します」の主演で有名なジャック・レモンがモリー
教授を演じ、彼にとって本作品が遺作となってしまった。今年、「アパートの鍵貸します」のDVDを購入して観ているので
随分年をとったものだと感じる。演技は老練で味がある。本作品は仕事オンリーのミックがモリー教授と久しぶりに触れ
合う内に、人生の意味や大切なものは何か?を感じ取っていく内容だ。モリー教授が自らの過去の生い立ちを交えて説
いているのが含蓄があって良いかと思う。ガムシャラに突っ走る優秀な人達のおかげで世の中が成り立っている面もあ
るのだが、突っ走るだけでなく、大切な人との触れ合いも大切にしようよ、という事をさりげなく描写している。日本では
劇場では公開されず、NHKで放送されたようだが、なかなか良い小品かと思う。
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