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51.ウルトラマンコスモスVSウルトラマンジャスティス
THE FINAL BATTLE (2003年日)<2.5>
[監督]北浦嗣巳
[出演]杉浦太陽、吹石一恵、市瀬秀和、清水圭、麻田ユリカ
[時間]77分
[内容]宇宙開発センターでは、春野ムサシが人類と怪獣達との共生をめざして実現に邁進してきた壮大なプランが、いよ
いよ動き出そうとしていた。鏑矢諸島に保護されている怪獣達を宇宙の新天地に送り届ける輸送ロケット“コスモ・ノ
ア”の打ち上げが目前に迫っていた。ところがその時、何者かの攻撃により“コスモ・ノア”が破壊される。地球の危機
を救うべく駆けつけたウルトラマンコスモスだったが、その前に立ちはだかったのは、なんとあのウルトラマンジャスティ
スだった…。
[寸評]私の子供の頃は「ウルトラマン」「ウルトラセブン」「帰ってきたウルトラマン」「ウルトラマンA」「ウルトラマンタロウ」を
一生懸命観ていた。「ウルトラセブン」については私が会社に入ってからも、ビデオで新シリーズが幾つか製作された
ので全て楽しんで観ている。また昨年のクリスマスにプレイステーション2用のソフト「ウルトラマンFIGHTING EVOLU
TION2」を買って遊んでいる影響もあり、子供達はウルトラマン・シリーズは最近のコスモスやガイア等でなく、私の子
供の時代の上記一連+ゾフィー・レオが非常に好きで怪獣についても詳しい。前売券を買うとウルトラ29戦士のポスタ
ーとコップがもらえるという事もあり、一姫二太郎と私で本作品を劇場で鑑賞する事になった。コスモスは誰がどうやっ
て変身するかも知らないまま観たが、昔のシリーズと違って敵のロボット・光線等にしてもCG映像を駆使しているし、コ
スモスやジャスティスのキックの動きが非常に速く映像も綺麗だ。でもやはり私にとって思い入れがあるのは”昔のシ
リーズ”なんだよなあ。どれだけプラモデル的なメカでも良いんだ。本作品の内容は、2000年後に宇宙にとって有害と
なる地球人類を今の内に抹殺しようとする宇宙人との戦いを描く中で「人類には希望や可能性があるんだ!」と訴えて
いる。総じてインパクトはないが、女性(吹石一恵)がジャスティスに変身するのが新鮮?でもあり違和感を感じたかな。
女性が暴走族に襲われかけてなぎ倒す際に「これだから人類はダメなんだ!」というのは笑ったけどね。同時上映の
「新世紀2003 ウルトラマン伝説 THE KING'S JUBILEE」はウルトラマン・キングの30万歳の誕生日を祝して怪獣・ウ
ルトラ戦士達が踊りまくるというもの。色々なキャラクターが観れるのを楽しみにしていたが、綺麗な女性のダンス・シ
ョーならともかく、こんなダンスは観たくなかった。私のようなお父さんは皆愕然としたのではないか。
52.たそがれ清兵衛 (2002年日)<4.0>
[監督]山田洋次
[出演]真田広之、宮沢りえ、小林稔侍、中村梅雀、吹越満、岸恵子、丹波哲郎
[時間]129分
[内容]井口清兵衛は幕末の庄内、海坂藩の平侍である。妻を病気で亡くし、2人の娘とボケの進む老母の3人を養ってい
る。生活は苦しく、下城の太鼓が鳴ると付き合いを断ってすぐ帰宅し、家事と内職に励む毎日を送っている。そんな清
兵衛を同僚達は“たそがれ清兵衛”と陰で呼んでいた。そんなある日、清兵衛は親友の飯沼倫之丞から、清兵衛とも
幼なじみの妹・朋江が、嫁いだばかりで離縁したことを聞かされる。夫の酒乱が過ぎ、見かねた倫之丞が離縁させた
との事だ。数日後、その朋江がひょっこり清兵衛の家に姿をみせた。
[寸評]藤沢周平の短編時代小説の3作品を基に「男はつらいよ」「学校」シリーズを手がけた山田洋次監督が映画化。
本作品は2002年の日本アカデミー賞でも12部門を制覇している。出世を望まず、ひたすら家族を愛する男が、特技を
持っている故に、思わぬ命を賭けた戦いを強いられるという内容。不条理な命令でも背けば家族を路頭に迷わす事に
なるので已む無く命令を受け入れる姿が印象的で、昔の武士社会も今と同じ様なサラリーマン社会だなと認識させら
れる。生き抜いていく上には何かしらの特技(術)が必要な事も示唆している(何にもないなあ・・・)。最後に娘が清兵
衛を偲んで「子供達を一生懸命愛し、愛する人にも愛された父は充実した人生を送れていたと思うし、そんな父を私は
誇りに思っています」という言葉にはしんみりとくる。子供達に良い後ろ姿を見せられるよう、日々を過ごさねばと思っ
た。
53.デブラ・ウィンガーを探して SEARCHING FOR DEBRA WINGER (2002年米)<3.5>
[監督]ロザンナ・アークェット
[出演]ロザンナ・アークェット、メグ・ライアン、シャロン・ストーン、ダイアン・レイン、ウーピー・ゴールドバーグ
[時間]97分
[内容]40代を迎え、仕事と子育ての両立に悩むロザンナ・アークエットは、敬愛する元女優デブラ・ウィンガーに会って
引退理由が聞きたかった。そこで彼女は欧米を横断し、有名女優達に次から次へと話を聞くと、みな同じように悩み、
人生を模索している事が分かる。
[寸評]40歳を越えている34人の女優に対してロザンナ・アークェットが”仕事、結婚、恋愛、子育て等の価値観・思い”に
ついてインタビューしたドキュメンタリー作品。34人の女優が登場するが、まだまだ知らない女優が多いなあ。知って
いる女優が多い程、そして男性より女性の方がより一層、この作品は楽しめる(興味深い)かと思う。私も彼女等の本
音を聞く事によって好感も持てたし、誰しも悩みながら生き抜いている事を認識させられる。ウーピー・ゴールドバーグ
のコメントは興味深かったし、シャロン・ストーンがかなわないと思っている女優が「ジュリアン・ムーア」「ケイト・ブラン
シェット」である事、多くの女優が「メリル・ストリーブ」を敬服している事が分かる。
54.トーク・トゥ・ハー HABLE CON ELLA (2002年スペイン)<4.0>
[監督]ベドロ・アルモドバル
[出演]ロハヴィエル・カマラ、ダリオ・グランディネッティ、レオノル・ワトリング、ロサリオ・フローレス
[時間]113分
[内容]病室のベッドに横たわる若くて美しい女性のアリシアは4年前に交通事故に遭い、以来昏睡状態に陥ったまま一
度も目覚めることはなかった。看護士のベニグノは4年間彼女を世話し続けるとともに、決して応えてくれることのない
相手に向かって毎日語り続けていた。一方、女闘牛士のリディアもまた競技中の事故で昏睡状態に陥っている。彼女
を恋するマルコは突然の事故に動転し悲嘆にくれていた。そんなベニグノとマルコは同じクリニックで顔を合わす内、
いつしか言葉を交わすようになり、互いの境遇を語り合う中で次第に友情を深めていくのだったが…。
[寸評]「オール・アバウト・マイ・マザー」のペドロ・アルモドバル監督が共に愛する女性が昏睡状態となってしまった2人
の男性を主人公に描く究極の愛の物語。アカデミーの最優秀脚本賞を獲得している。本作品は映像も美しく、内容も
玄人受けするような凝った作りをしている。昏睡した女性を見守る2人の男性は各々女性と相思相愛の関係にあった
訳ではない。彼等は昏睡の女性に語りかけ続けるが、それに応えてくれない。男性側からの果かない片思いなのだ。
ベニグノに至っては度の過ぎた考えを持ち、ある行動を起こしてしまうのだが・・・。これは生きた女性と真摯に交流で
きないのか、アリシアに非常に憧れていた事から来るのか解釈に困るところだ。ラストは思わぬ形を迎える。本作品
も男性と女性では見方・感じ方が大いに異なるのではないか。
55.バティニョールおじさん MONSIEUR BATIGNOLE (2002年仏)<3.5>
[監督]ジェラール・ジュニョー
[出演]ジェラール・ジュニョー、ジュール・シュトリック、ミシェル・ガルシア、ジャン=ポール・ルーブ
[時間]103分
[内容]1942年のナチス占領下のパリ。ドイツ軍はユダヤ人検挙の協力をフランス国民に要求していた。肉屋を営むバティ
ニョールは、ナチス支持者の"娘の婚約者"が隣家のユダヤ人、バーンスタイン一家を密告した事から図らずしもナチス
に協力してしまう。そのため、バティニョールはバーンスタイン家の財産まで引き継いでしまう。そんなある晩、バティニ
ョールのもとにバーンスタイン家の12歳の息子シモンが現われる。連行先から何とか逃げ出してきたのだった。慌てて
シモンを匿うバティニョール。家族や隣人に匿っている事を欺き、シモンをスイスへ逃そうと画策するのだが…。
[寸評]ナチスのユダヤ人の迫害の事実は「シンドラーのリスト」「戦場のピアニスト」「アドルフに告ぐ」を通じて認識するも
のの、所詮断片的なものにすぎない。本作品によって、ナチスがフランス人にユダヤ人の検挙を要請をしていた事実
をおじさんの視点で知る事が出来た。ナチスに積極的には協力したくないと思いながら、娘の婚約者(嫌味な奴!)が
ナチスに媚を売る男のため、隣人をナチスに明け渡してしまったおじさんだが、隣人の息子が逃亡してきたため、従姉
妹も併せて匿う事により、ユダヤ人を擁護する立場になり奔走する話だ。全般的に感傷的にはならなかったが、最後
のシーンはおじさんの勇気ある行動、子供達の運命を思うと何ともいえない物悲しさを感じた。ジェラール・ジュニョー
は主演でもあり監督でもある。彼の演じるおじさんは、なかなか味があり、演技も良かったと思う。
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