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46.ガタカ GATTACA (1997年米)<4.0>
 [監督]アンドリュー・ニコル
  [出演]イーサン・ホーク、ユマ・サーマン、アラン・アーキン、ジュード・ロウ
  [時間]106分
 [内容]遺伝子工学が発展した近未来が舞台。社会は遺伝子の優劣においてのみ人間の才能を判断していた。そんな中、
    遺伝子操作をされることなく生まれてきたヴィンセントは、出生時に約30年の寿命と診断され、生まれた時から将来の
    見込みがない子供として育つ。やがて、ヴィンセントに遺伝子操作を受けた優秀な弟ができる。しかし、兄でありながら
    遺伝子の優れた弟には何をしてもかなわず、希望の無い生活を余儀なくされた。やがて、ヴィンセントは宇宙飛行士を夢
    見るようになるが、その夢も劣性の遺伝子のため断ち切られていった。しかし、ヴィンセントは、ある日、ずっと勝てなかっ
    た弟との度胸比べ(遠泳)に勝ち、家を捨てて一人旅立つ。職を転々しながら下級クラスの生活を送った末、宇宙飛行士
    の施設“ガタカ”の清掃業についたヴィンセントは、ある日、闇業者の手配により、事故のため身障者となった元エリート
    に偽装し、“ガタカ”にエリート社員として潜り込む。しかし、ある日、ヴィンセントの正体を疑っていた上司が殺害された。
  [寸評]7/9にNHK衛星放送で放映されたので録画して拝見。”秀逸のSF映画”という噂通りの作品だろう。遺伝子操作が可
     能な近未来の管理社会を舞台にして、優劣で”劣”を付けられてしまった男が夢を達成すべく、正当ではない手段なが
     ら可能性を追い求める話だ。”人にレッテルを貼る管理社会への風刺”と”誰にでも可能性はあり、夢は追い求めなけ
     ればならないいんだ!権利もあるのだ!”という事をしんみりと訴えているのだと思う。近未来の描き方もさりげなく情
     緒的だ。イーサン・ホークも良かったが、ジュード・ロウが挫折したエリートの姿を上手く演じていたと思う。「A.I」「ロード
     ・トゥ・パーディション」より良い味を出しているのではないか。上司を殺害した犯人は実はジュローム(ジュード・ロウ
     演)ではないか?なんて最初は思ったけど、そんなに複雑ではなかったな。

47.ターミネーター3 TERMINATOR3:RISE OF THE MACHINES (2003年米)<3.5>
 [監督]ジョナサン・モストウ
  [出演]アーノルド・シュワルツェネッガー、ニック・スタール、クレア・デインズ、クリスタナ・ローケン
  [時間]110分
 [内容]コンピューター“スカイネット”が支配する未来社会から送り込まれたT-1000の襲撃を、T-800の身を挺した活躍で母
     親のサラと乗り切ったジョン・コナー。それから10年、“審判の日”は回避されたかに思われ、彼は新たな人生の目的を
     見つけようと放浪の旅を続けていた。しかし、未来のスカイネットは未だに存在し、新たな刺客“T-X”を送り込んでき
     た。女性のボディを有しT-1000をはるかに上回る性能を持つT-Xは、“リスト”にある人間たち(=将来のジョンの部下)
     を次々に抹殺していった。再びマシーンとの戦いに身を投じる事になるジョン。そんな時、彼の前にあのT-800と同じ
     形状のターミネーターT-850が姿を現わした。今度はジョンの幼なじみの女性ケイトも巻き込む。彼女はジョンにとっ
     て、T-X,、T-850にとって、どんな存在なのか?
  [寸評]12年振りの続編。私は前作の「T2」が非常に好きで、あのラストから続編はありうるのか?と勝手に思っていただけ
    に、本作品が公開されると聞いた時は、シュワちゃんの最近の低迷を打開するために作られたのか?と感じ、監督も
    キャメロン監督でないし、サラ・コナーも登場しないので余り期待せずにいた。でも、”やはり観てしまいたい”という習性
    が働き、公開日に拝見。思ったより、過去のシリーズを踏襲していて、まずまず楽しめるように出来ていた。人によって
    大きく評価は分かれるところだろうが・・・。前半のカー・チェイス・シーンは豪快ではあるが、流石に見慣れてきたせいか
    お金をかけているな!としか感じなくなってきた。T-Xも丈夫なのだが、「T2」のT-1000のあのドロドロの無敵さに比べれ
    ば、女性である事以外、新鮮味がなかったな(それだけ「T2」は面白かった)。前半はチェイスのみで、後半になってよう
    やくストーリー性が出て来るが、慌てて走った感じがする。ラストは予想外の結末を迎えるので衝撃的ではあるが、1,2
    作目がある事を考えると、この結末になるのかな!と妙に納得もしてしまった。「T4」「T5」と続いていきそうな感じだな。
    そうなると何だか「猿の惑星」シリーズのノリだな。シュワちゃんは55歳でも筋肉美・アクションは相変わらず健在で見せ
    てくれたが、続編があれば登場できるのだろうか?

48.風の歌が聴きたい (1998年日)<4.0>
 [監督]大林宣彦
  [出演]天宮良、中江有里、勝野洋、入江若葉、石橋蓮司、左時枝、河原さぶ
  [時間]161分
 [内容]傍目には他の若者と何ら変わりなく見える昌宏だが、彼の耳は3歳の時に風邪で高熱を出し、その時の薬の副作用
    により聞こえなくなってしまった。中学1年の時に文通を通じて知り合った奈美子も同様に音のない世界の住人だった。
    二人は様々な困難にぶつかりながら互いに励ましあい、やがて結婚する。そして共に過酷なトライアスロンへの挑戦を
    始める。そんなある日、奈美子は妊娠するが、生まれてくる子供も耳が聞こえないのではと不安になる…。
  [寸評]大林宣彦監督の作品は結構好きである。5年前の作品でありながら、最近レンタルビデオ店で発見するまで本作品
    を知らなかった。先日、大感動した「夢追いかけて」に近い内容だ。聴覚障害の女性が出産する直前の場面で始まり、
    同じ聴覚障害の男性との出会い→交際→結婚→現在に至る過程を回想しながら綴っていく。全編字幕が入っているが
    何ら違和感はない。むしろ主人公2人の一生懸命言葉を発しようとする姿勢に感銘する。但し、天宮良と中江有里に中
    学生役をやらせるのは無理があったかな。聴覚障害でも、それを不幸と思わず、むしろ伴侶と出会えた事に喜びを感じ
    る二人、トライアンスロンに共に取り組み励ましあう二人、子供が産まれた時の嬉しそうな二人。どの姿も非常に微笑ま
    しく感動的である。夫婦愛、親子愛という「愛情の大切さ」を改めて認識させてくれる。家族・信頼できる友人等の相乗
    効果によるパワーというのは大きいね。やはり人は決して一人では生きていけないのだ。「自分さえ良ければそれで良
    い!」という考えが、大人から子供まで最近の不可解な現象を起こしているように思える。それにしてもトライアスロンと
    いうのは過酷な競技なんだね。それに取り組む2人も凄い。義足でありながら完走している人も登場していた。本当に
    一生懸命に前向きに頑張っている素敵な人達がいるんだ。

49.ラスト・プレゼント LAST PRESENT (2001年韓)<4.0>
 [監督]オ・ギファン
  [出演]イ・ジョンジェ、イ・ヨンエ、クォン・ヘヒョ、イ・ムヒョン、コン・ヒョンジン
  [時間]112分
 [内容]なかなか芽の出ない芸人のヨンギ。彼は、親の反対を押し切って芸人となり、愛するジョンヨンと結婚するものの、生
    まれた子供を幼くして亡くしてしまい、そのショックでなかなか立ち直れない。しっかり者の妻との口喧嘩も絶えない。
    ところが、ヨンギにようやくチャンスが訪れ、お笑い番組の勝ち抜き戦で躍進をみせる。一方、ジョンヨンはヨンギに内緒
    で番組プロデューサーに彼を懸命に売り込む。そんな時、思わぬ事からヨンギは妻が不治の病に侵されていて余命僅か
    である事実を知る。そのことを決して打ち明けようとしないジョンヨン。彼女の気持ちを思いヨンギも知らない素振りをする
    のだが…。
  [寸評]韓国の純愛メロドラマ。「JSA」の美しい女性将校を演じたイ・ヨンエが芸人の妻を演じている。本作品は外面と内面
    の使い分けを軸に描いている。本当は相手を思いやっていて愛しくて仕様がないのに、相手に邪険に振る舞ってしまう。
    素直に自分の気持ちを表せないでいる。また脇役の詐欺師も悪になり切れずヒロインの恋のルーツを求めて奮闘したり
    する。場面場面では涙し、感動させられたし、音楽も美しくて良かったが、この2人の姿から夫婦のあり方について考えさ
    せられた。本音を包み込んで相手と接するのはいかがなものか?真情を素直に吐露して相手をいたわる方が良いので
    はないか?(独身時代にモテずに悩んでいた時に親しい友人に「気持ちは言葉にして言わないと相手に伝わらない
    よ!」と諭されたが、その助言は確かに的を得ていた!)ヨンギが医者に「私を責める前に夫としてこれまで何をしていた
    のだ!」と指摘されたように妻をしっかりと見つめていないのは頂けない。外面と内面の使い分けも限度はある。それに
    してもヨンギは今後どうやって生きていくのだろう・・・あれが私だったら、気力を無くしてしまうだろうが・・・。私の大切な
    可愛い妻よ、頼むから元気に長生きしてね。妻と子が元気で幸福であり続ける事が何よりだからね。
    
50.リロ&スティッチ LILO & STITCH (2002年米)<3.0>
 [監督]クリス・サンダース、ディーン・デュポア
  [出演](声の出演)クリストファー・マイケル・サンダース、デイヴィー・チェイス、ティア・カレル
  [時間]86分
 [内容]ハワイ・カウアイ島。両親を早くに亡くした5歳の少女リロは、19歳の姉ナニと2人で暮らしている。リロは同年の子供
    達とも上手く馴染めず、一人でエルヴィス・プレスリーを聞いたりする毎日を送っている。そんなリロのために、ナニは
    ペットを飼うことを決める。そしてリロが見つけたのは犬にはとても見えない不思議な“子犬”。初めて出来た友達に大
    喜びのリロはこの子犬を“スティッチ”と名付ける。ところがスティッチは凶暴で、度々トラブルを巻き起こす問題児だった。
    それでもリロはスティッチを“オハナ(家族)”としてどんな時でもかばい続けるのだったが…。スティッチの正体とは・・・。
  [寸評]市民会館の「親子映画会」に本作品が上映されたので子供達と一緒に行き鑑賞してきた。前半に睡魔が襲ってきた
    のとキャラクターの絵がイマヒトツ馴染めないのが難点だが、親のいない寂しい少女と愛の知らないエイリアンの心温ま
    る触れあいを描いたファンタジー・アニメーション作品である。作品のモチーフは”オハナ(家族)”という言葉で、血縁者だ
    けのつながりという狭義の意味でなく、信頼しあい、支え合って共に生きていく愛に満ちた関係を意味する。どんな境遇
    であれ、自分の居場所を見付け、家族を持つ事ができるのだ、というのが主張点。最後はめでたくその姿が描かれる訳
    だが、一姫は”感動して涙した”と語っていた。かなり映画や番組を見慣れてきた事もあり、感受性が豊かになってきた
    かな。本作品を観て「リロやスティッチが幸福になれて良かった」と素直に思い、涙した一姫の優しい心を嬉しく思った。

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