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16.アマデウス;ディレクターズカット AMADEUS DIRECTOR'S CUT (2002年米)<5.0>
[監督]ミロス・フォアマン
[出演]F.マーリー・エイブラハム、トム・ハルス、エリザベス・ベリッジ、ジェフリー・ジョーンズ
[時間]180分
[内容]凍てつくウィーンの街で自殺を図り、精神病院に運ばれた老人がいた。老人の名はアントニオ・サリエリという。
サリエリのもとに若年の神父が訪れる。サリエリは、かつては皇帝に仕えた宮廷音楽家であった。自分の作曲した
音楽のメロディを幾つか神父に聞かせるが、どれも神父は分からない。しかし次に聞かせた曲の1フレーズだけで神
父は曲を口ずさむ。その曲の作曲者はサリエリではなく、若くして世を去った天才音楽家のモーツァルトだ。モーツァ
ルトとの出会いによって人生の全てを変えてしまったサリエリは、天才の素顔と謎に包まれた死の真相を語り始める
のだった・・・
[寸評]1984年のオリジナル版はアカデミー賞の8部門を制覇した名作だが、封印されていた20分の未公開シーンを加え
再編集された”ディレクターズカット版”が2002年に東京・大阪で劇場公開された。名古屋に来たら是非鑑賞しようと
待ち焦がれていたが、未だ来ないままDVDが発売(特典DISC・音声解説付)されたので、オリジナル版のDVDを所有
していながらも迷わず購入して鑑賞。私にとっては「アマデウス」は映画鑑賞歴の中でもトップ級のお気に入り作品
なのだ。付加された20分のシーンは夫モーツァルトのためにサリエリに自分の肉体をゆだねようする妻コンスタンツ
ェの苦悩の姿、窮乏のモーツァルトが金持ちの所へ金の無心に訪れる哀れな姿等を描いており、よりモーツァルの人
生やサリエリの思いを掘り下げた形になっている。名作が更に進化したこれこそ”不朽の名作”といえよう。本当に素
晴らしい至宝的な作品だ。私がこれだけヨイショするのもモーツァルトの音楽が好きな事も起因しているかな。オペラの
「後宮からの逃走」「フィガロの結婚」の構想の説明場面、「ドン・ジョバンニ」「魔笛」の一シーン、後半の「レクイエム」
の曲作り等がちりばめられていて全編モーツァルトの音楽が満載なので嬉しくてたまりませんよ。今回新たに気付い
たのは、サリエリはモーツァルトを嫉妬・憎悪する一方で、実は彼の才能をこの上なく愛していたのだ。何故ならコンス
タンツェにも手を出さなかったし、借金の申し入れに対しても金持ちを紹介する等して救いの手をさしのべているのだ
から・・・(史実ではモーツァルトの遺児はサリエリの弟子になっているとか)。DVDの特典映像も色々な裏話が知れて
良かった。クラシック音楽の好き嫌いを問わず、皆様にも是非観てほしい作品です。この作品は劇場の大画面で是非
観たいなあ・・・。
17.ドラえもん/のび太とふしぎ風使い (2003年日)<3.0>
[監督]芝山努
[出演](声)大山のぶ代、小原乃梨子、野村道子、たてかべ和也、肝付兼太
[時間]80分
[内容]のび太は台風の過ぎ去ったある朝、台風の子供と出会った。すぐになついたその風の子をのび太は“フー子”と名
付けて可愛がる。フー子の風のパワーを余す事ないように、のび太とドラえもん達は”どこでもドア”で広い草原へ連れて
いった。すると突然、のび太達は岸壁の洞窟に吸い込まれ、風を操る“風使い”たちが住む不思議な村に行き着く。そこ
では風と共存して生活する“風の民”と、風の怪物を復活させて支配を企もうとする“嵐族”が対立していた。そして、フー
子は嵐族が悪巧みを実現させるためにどうしても必要な存在だったのだ…。
[寸評]すっかりこの時期に子供と鑑賞しに行くのが恒例化してきた”ドラえもんシリーズ”。二太郎も劇場に入る事に抵抗
感がなくなってきたので今回は一姫二太郎と鑑賞(その間に妻は「007」を鑑賞)。話の内容は前半はイマイチ入りこみ
づらかったが、後半になると結構笑いあり、少しホロっとさせられたりして何とか話をまとめた感じ。悪魔に乗り移られた
のが”スネオ”というのは適任な気がする。日頃の憂さをはらすようにジャイアンに「ブタゴリラ!」と怒鳴り散らすのは爆
笑もの!只、ジャイアンは妹だけでなく、友人に対しても実は情が厚い事が分かった。同時上映の「Pa-Pa-Pa★ザ・ム
ービー・ パーマン」は30分の短編でパーマン誕生・パーマンを続ける事の葛藤をコンパクトに描いた内容で、これまで
の「ドラえもんズ」よりは良いと思う。
18.007/ダイ・アナザー・デイ DIE ANOTHER DAY (2002年米・英)<3.5>
[監督]リー・タマホリ
[出演]ピアース・ブロスナン、ハル・ベリー、トビー・スティーブンス、ロサムンド・パイク、リック・ユーン、ジュディ・デンチ
[時間]133分
[内容]ジェームズ・ボンドは、非武装地帯にも関わらず武器密売を行っている北朝鮮の危険人物;ムーン大佐の暗殺任
務に就き、英国諜報部員の精鋭たちと共に朝鮮半島に潜入する。しかし、任務遂行の最中に正体を見破られ、ムー
ンを倒したと思ったその直後に北側に捕まり、監禁、拷問に耐える日々が続く。14ヶ月後、ボンドは南側で捕虜となっ
ていたムーン大佐の腹心ザオとの交換によりようやく自由の身となった。しかし、上司のMはボンドが拷問に負けて情
報を漏らしたと疑い、諜報部員の資格を剥奪したうえ香港の施設内に幽閉してしまう。ボンドは自らの疑いを晴らすた
め、何とか施設を脱出すると、鍵を握る男ザオの行方を追ってキューバへと向かった…。
[寸評]007シリーズの第20作&40周年の記念作品で、主演を今回の出演で最後か?と噂されるピアース・ブロスナンが
つとめる。ボンド・ガールはオスカー女優のハル・ベリー、英国のTV・舞台で活躍中の新星のロザムント・パイクという
魅力的な二人がつとめ、更にはマドンナが特別出演している。今回は節目という事を意識したのか、シリーズお馴染
みのパターンを定例通りに見せてくれるが、いつも以上にボンド・カーと小道具を駆使されており、アクションシーンは
見所満載である。やりすぎというぐらいだ。過去のシリーズに使われた武器も見せてくれたり、いつも以上にギャグ的
なノリもあるので、007シリーズが好きな人には結構喜んで楽しめるのではないか?只、今回は冒頭からド派手なアク
ションがありながら、中盤まで話が上手く理解できず混乱していたのも正直なところ。途中の細部の矛盾や疑問は押
しのけドンドンと話を強引に突き進めてしまう展開なのだ(どう考えても何故38度線でザオとボンドの捕虜交換がされ
たのかが分からない。またあの人物が14ケ月であれだけの事を行えるのか?等)。それでも結果オーライで許せてし
まう、という事も結局はいつも通りなのかもしれない。個人的にはピアース・ブロスナンのボンドは好きなので、願わくば
もう1作ぐらい出演してほしいな。
19.ニューヨークの恋人 KATE&LEOPORD (2001年米)<3.5>
[監督]ジェームズ・マンゴールド
[出演]メグ・ライアン、ヒュー・ジャックマン、リーブ・シュレイバー、ブレッキー・メイヤー
[時間]118分
[内容]1876年のニューヨークの盛大な舞踏会の会場でレオポルドは本日の主役にも拘わらず浮かぬ表情をしている。実
は彼の家柄は貴族であり、今日中に花嫁を決めなければならないのだが、本当に愛する女性にめぐり逢っていないの
だ。そんな彼は会場で怪しげな男を目にし、逃げ出したその男を追走する。追いついたのはブルックリン・ブリッジだ
が、そこから男と共に奈落の底へ…。現代のニューヨークへ行ってしまう。広告会社で働くケイトはキャリアウーマンで
過去、恋愛も長続きでず、今や男を諦め仕事一筋の身である。そんなケイトの前に突然、格調ある服を着て完壁な王
立英語を話す不思議な男性が現われた・・・。
[寸評]メグ・ライアンはやはりラブ・コメが似合う。時空を越えた出会い、という事でターミネーターやBKTと異なり、過去か
ら”恋する事になる男性”がやって来る。その仕掛け人がメグ演じるケイトの以前の恋人というのも笑う。大学時代に合
コンで、よく「送りバント(男性・女性が個人的に親しくなれるようにサポートに徹する事)」という言葉がはやった。最後
のクライマックスで以前の恋人がケイトに対して強烈な「送りバント」の言葉を発するのだ!ある面、ハッピー・エンドと
なる主役の二人(ケイトとレオポルド)のやり取りより印象的だったかもしれない。内容全体はマズマズで無難に仕上
がっていると思う。キャリア・ウーマンの心情というのも上手く表せていたのではないか。昇進しても最後にあの決断
を下すという事は、”やはり人は誰しも支え合う人が欲しいもの”という事かな。
20.きれいなおかあさん 漂亮媽媽 (2001年中)<4.0>
[監督]スン・チョウ
[出演]コン・リー、カオ・シン、シー・ジンミン、リュ・リーピン、ユエ・シウチン
[時間]90分
[内容]スン・リーインは男の子を持つ母親。しかしその息子ジョン・ダーは生まれながら聴覚に障害を持っていた。夫は別
の女に走ったので離婚している。残されたスン・リーインは、息子ジョン・ダーを立派に育てる事に生涯を捧げると決意
するのだった。ジョン・ダーは言葉を上手く表現できないため、学校の入学試験が不合格になってしまう。スンはこれま
で勤務していた工場を辞めて、ジョン・ダーとの時間をより多く持ち、言葉をしっかり教える事にする。生活の糧のため、
新聞配達を行う。しかし、スンの思いとは裏腹に、聴覚障害を持つ子どもに対して、世間の風は決して温かいものでは
なかった。
[寸評]お正月にコン・リー出演の「活きる」を観たから、当然のごとく本作品もマークしていて鑑賞。コン・リーは本当に良
い演技をするね。内容的には”かあちゃんはつらいよ”というもので、親の立場で見ると非常にもの悲しく辛いものがあ
る。子供が障害を持った事は誰のせいでもない運命だと思い、子供の父親(離別していたが途中で事故死)にも頼れ
ない状況で一生懸命奮闘する母親の姿・・・最後には母親は子供は自分より強い部分もあり、勇気を与えてくれる存
在だと気付く。私が本作品を観て強く思ったのは、どこまで果たせるかが大事だが”やはり愛する妻・子供には悲しい
思いはさせたくないな”という事。真面目な話、子供を持って考え方が変わった事は”子供というのは育ててあげるの
でなく、親も子供と共に学び成長していかねばならない!”という事だ。本当に子供から教えられる事、欠け(まくって)
いる自分を勇気付てくれる事が多い。昨日、二太郎が朝、急に”じんましん”がおでこに大きく出来て、夜になっても症
状が全身に広がり、喉も少し痛いというから総合病院の夜間診療へ行った(呼吸症状に気をつけるよう言われ焦る)。
本日は皮膚科・小児科と検診・血液検査をしてもらった。結果的には大事に至らない感じでホッとしたところ。通常は健
康を当たり前のように思い、色々な欲を持って日々葛藤するものだが、妻子の体調等に異変が起こると必ず思う。「自
分はどうなってもよいから(例え会社等で周囲から直接or陰でバカだ、アホだと言われまくられ続けようが、自分に災難
がふりか かろうが)頼むから、愛する家族は無事でいさせて下さい」。でも、自分をないがしろにしてもいけないんだよ
な。自分も元気で無事でないと家族が悲しむ(と妻に言われる)から・・・。今回は寸評が家族論と混在したようなコメン
トになってしまった。
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