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6.ミスター・ルーキー (2002年日)<3.5>
[監督]井坂聡
[出演]長嶋一茂、鶴田真由、橋爪功、竹中直人、駒田徳広、竹中直人、宅麻伸、山本未来
[時間]118分
[内容]200X年夏。阪神タイガースが首位攻防をしていた。それは突如現れた謎の覆面投手ミスター・ルーキーが抑えの
エースとして大活躍していた事が大きな要因だ。しかし、何故か甲子園にしか登板せず素性は一切謎であった。実は
その正体は、10歳の息子と妻のいる32歳のごく普通の会社員(ビール会社の営業マン)の大原幸嗣だ。大原は高校時
代に肩を壊して以来野球から遠ざかっていたが、偶然出会ったマッサージ師のおかげで剛速球を投げられるようにな
った。その素質に惚れ込んだ阪神監督、瀬川は、大原に対し、会社の帰りに立ち寄れる甲子園限定パートタイムピッチ
ャーとして出場するよう提案したのであった。昔の夢を取り戻すため、奮闘する大原だが会社員との掛け持ちに疲労が
累積してきた・・・
[寸評]内容の質とか斬新さという面では見劣りはするかもしれないが単純に楽しむには結構いいです。パートタイムピッ
チャーという発想やバース・駒田等を登場させるところなど娯楽要素があって漫画的だが良いではないか。ストーリー
は最後まで予想通りの展開で進む。しかし、鶴田真由演じる妻が罵倒しながら大原を奮い立たせたり、息子が少年野
球の試合で代打で登場して快打するのを見て勇気付けられるところなど、「家族愛」が描かれており感動してしまう。
先般、劇場で鑑賞した「オールド・ルーキー」と共通している部分が多い。阪神の藪、矢野、檜山、八木が登場し、優勝
シーンを演じていたが、彼等の心中は複雑だろうなあ。選手の3分の1を入れ替えた03年の阪神は注目の的だ。野球界
を盛り上げるには是非とも巨人と激しい首位攻防を最後迄演じてほしい。本作品は続編もあるかもね。長嶋一茂も、す
っかり俳優となってしまったなあ・・・
7.ゴッドファーザーPARTV THE GOD FATHER PARTV(1990年米) <4.0>
[監督]フランシス・フォード・コッポラ
[出演]アル・パチーノ、、ダイアン・キートン、アンディ・ガルシア、タリア・シャイア、ソフィア・コッポラ
[時間]170分
[内容]1979年。長年に渡ってコルレオーネ家のドンを務め、今や老境に達しようとしていたマイケルは、ファミリーを合法
的な企業にすべくヴァチカンと手を組もうとしていた。マイケルの息子アンソニーは、かつてのマイケルように父の仕事
を嫌い、オペラ歌手を目指していた。マイケルは亡き兄ソニーが愛人に生ませた私生児ヴィンセントをファミリーに迎え
入れる。他のファミリーとの抗争の中、ヴィンセントはマイケルの後継者と目されるようになっていく。マイケルの娘で
アンソニーの妹であるメアリーは、ヴィンセントと愛し合うようになるが、マイケルは二人の仲を許そうとしない。そんな
中、シチリア島でアンソニーがオペラ歌手としてデビューする日がやって来る。劇場に集まったファミリーに大きな悲劇
が降りかかろうとしていた・・・
[寸評]3作連続のアカデミー賞受賞という快挙は逃したが作品賞を始め8部門にノミネートされている。1,2作目と異なり、
本作品は「コッポラが借金返済のために強引に製作した」「メアリー役はウィノラ・ライダーが病気になったため、コッポ
ラが娘のソフィアを起用し、これが不評であった」「トムが出演していない」等、色々な批判の声を耳にする。でも、どう
だろう。3部作を連続して観た私としては、確かに2作目と3作目に16年の期間が空いたとはいえ、十分価値ある完結編
でないかと思う。マイケルが過去の罪を告白し、贖罪を求めるシーンや時折見せる回想シーン等、やはりこれだけの
大作である以上、必要不可欠でないか。本当に”最後の悲劇のシーン”は一番胸が痛むシーンだ。マイケルの今まで
の行動(罪)が身内にはね返って来る。あのマイケルの悲愴な表情、いや、それ以上にケイ(=2作目でマイケルと離別
したが、3作目ではそれなりに溝を埋めた関係になっている)がマイケルに向けた眼差しは ”結局は貴方が間違ってい
た。その報いとしてこんな事になったのよ!”と訴えている感じがして強烈だ。この3部作は結局、悲劇の物語である。
本作品もそうだが、3作品の途中の細部で分かりにくい箇所が幾つかあるので、DVDの特典映像・音声解説を視聴す
る事によって少しは理解できるものかな。トータルで観れば非常に映画史の中でも価値ある3部作だと思うし、今後、
折りをみて繰り返し鑑賞してみたい気がする。皆様にも一度は”ゴッド・ファーザー3部作”を通して観られる事をオスス
メします。
8.アイス・エイジ ICE AGE (2002年米) <3.5>
[監督]クリス・ウェッジ
[出演](声)レイ・ロマノ、ジャン・レグイザモ、デニス・リマリー [吹替]山寺宏一、太田光、竹中直人
[時間]82分
[内容]2万年前の地球。寒さを避けて南へと移動する動物達と反対に、孤独を愛するマンモスのマニーだけは北へ向か
かう。仲間に置いて行かれ、身の危険を感じたナマケモノのシドはマンモスといれば安心とマニーに着いていく。その
頃、人間達の小さな集落をサーベルタイガーのソトが率いる一軍が襲っていた。狩を行う人間に対して復讐すべく赤ん
坊を生きたまま奪おうという目論見だ。赤ん坊のロシャンを抱いて必死で逃げる母ナディアだったが、川に転落してしま
う。母子に気づいたシドにロシャンを託し、ナディアは命を落とす。無関心のマニーをよそに、シドはロシャンを人間のも
とに届けると言い出す。そこへ、ソトの仲間のディエゴが自らの責任で赤ん坊を奪えなかった汚名をはらすべく、接近
してきた…。
[寸評]CG映像のアニメーション作品。ディズニーのような他の作品と比較して、絵柄からして、余り興味を感じていなか
ったが、内容が結構評判が良いのでレンタルで拝見してみた。確かに先読みのできる展開ではあるが、時折、ギャグを
かましたり、ホロっとさせてくれる心温まるシーンもあるので家族で楽しむには良い作品でしょう。冒頭や途中に出てくる
言葉を発しないマスコットキャラクターのリス(?)の仕草は笑え、”話の間のちょっとしたお遊びタイム”という感じだ。
2万年前の氷河期という事で人間も動物も対等の立場として描かれている。タイガーが人間に苦しい思いをさせるため
に、赤ん坊を生け捕りにする、という発想は結構新鮮だった。肝心の赤ん坊の顔をもう少し可愛く描いてあげると良かっ
たな。仕草は過剰表現の感もするが、十分可愛らしかったが・・・。まあ、短時間で上手くまとめてある内容なので気軽
に観ても損な気持ちはしないでしょう。
9.レッド・ドラゴン RED DRAGONE (2002年米) <4.0>
[監督]ブレット・ラトナー
[出演]アンソニー・ポプキンス、エドワード・ノートン、レイフ・ファインズ、エミリー・ワトソン、メアリー=ルイーズ・パーカー
[時間]125分
[内容]FBI捜査官ウィル・グレアムは、連続殺人の捜査のため、精神科医のハンニバル・レクター博士に助言を受けてい
たが偶然目にしたものから真犯人はレクター博士である事を知り、苦闘の末捕らえたが精神的疲労が募って現役を
引退。今は妻と息子とフロリダで静かに暮らしていた。そんな彼のもとに、ある日、元上司のジャック・クロフォードが
訪れる。クロフォードはウィルに、最近起きた2家族惨殺事件の捜査協力を願い出た。殺された家族の状況を知る内
に、これ以上、被害を増やしたくないという思いから捜査に加わるようになる。独自に状況分析をするものの、なかな
か犯人像を割り出せないウィルは、やむなく拘禁中のレクターのもとへ意見を聞きに出向く…。
[寸評]「羊たちの沈黙」「ハンニバル」に続くトマス・ハリス原作のレクター博士シリーズの第1作に当たる作品のリメイク。
「羊たちの沈黙」の直前の話というのが最後に分かるところが凝っている。過去2作でレクター博士の恐ろしさを植え付
けられているため、今回の作品は”噛み付きに来るか!”と行動パターンを事前に察知し、自然に心構えが出来てしま
う。レクター博士を前面に描いた「ハンニバル」の後半のシーンを思えば本作品はそんなにグロテスクではない。グロテ
スク云々より、冒頭から最後まで全編、緊迫感あふれた優れたサスペンス作品に仕上がっている。これは脚本家に「羊
たちの沈黙」のテッド・タリーを起用している事も大きいのだろうか?今回の連続殺人犯は幼少の頃、虐待を受け続け、
人格が歪んだ格好となっているが、そんな彼を癒す存在なのが盲目の同僚・・という、なかなか現代にありがちな悲しい
内容ではある。レクタ−博士が殺人犯を使ってウィルに復讐を行おうという三つ巴の展開には「只では転ばない恐ろし
さ」を感じさせてくれる。しかし、「羊たちの沈黙」で脱走したレクター博士はウィルに対しては何か行動はしなかったの
だろうか?3部作の相対評価は「羊たちの沈黙」>「レッド・ドラゴン」>「ハンニバル」という感じか。一作品として観ても
本作品は結構面白いサスペンス物だと思う。
10.キューティ・ブロンド LEGALLY BLONDE (2001年米) <3.5>
[監督]ロバート・ルケティック
[出演]リース・ウィザースプーン、ルーク・ウィルソン、セルマ・ブレア、マシュー・デイヴィス
[時間]96分
[内容]陽気で天然ブロンドのエル・ウッズは大学ではファッション販促を専攻し、成績も優秀で女性社交クラブの会長を務
めるほどの人気者である。そんなエルが今何よりも待ち望んでいるのが政治家志望の恋人ワーナーのプロポーズの言
葉だ。しかし待望の日にワーナーが切り出したのは別れ話。議員の妻にブロンドで且つ知性が無いのはふさわしくない
というのが理由だ。突然の事に動転するエルだったが、ワーナーがハーバードのロー・スクールに進学すると知ると、
自分もそこに進みワーナーに認めてもらおうとファイトを燃やし、親(実は金持ち)の反対も押し切り、見事に超難関の試
験を突破するのだが…。
[寸評]昨年3月に試写会に当選したのだが、その日は仕事が忙しく、結局行けなかった。正直、その時は当選した事もそ
んなに嬉しいとは思わなかったが、今回レンタルで拝見。宣伝ポスターからするとブロンドのノリの軽いイケイケ姉ちゃ
んが急遽、彼氏を追い求めて法律を勉強し同じ土俵に立つ?・・・コメディかい?と感じがしたが、実はエルはイケイケ
の面もあるがファッション専攻の中では成績優秀で、人望あり、人間味あり、家も金持ちという女性なのだ。彼氏への見
返しに発奮し猛烈に法律の勉強をして自身の情熱と人間味も武器にのし上がっていくサクセス・ストーリーだ。確かに
ハーバ−ドの法科に進む事は非常に難関なので非現実的な感じもするが、そんなにわざとらしくなく微笑ましくまとめ
られている。彼氏を追い越し、改めて言い寄ってきた彼氏を逆にふってしまうノリなどいいよね。最後のエルの言葉には
共感できる。「大切なのは情熱と信念と勇気。真実の自分を知る事!」ごもっともなのであるが、このセリフ、チャップリ
ンの「ライムライト」で聞いた事があるぞ。時間も手短かで気軽に楽しむには良いでしょう。今年これで初見作品は10作
目だが今のところ、ハズレがないなあ。
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