愛知県碧南市 桜に気を取られていると 懐かしくも美味しい匂いがしてお腹がグー
<給食センター入口に咲く桜を侮ってはいけない。南中学校・棚尾小学校を擁するスクールゾーンにおいて、一番の花を咲かせるのはここの桜なのだから> 春日町には南中学校と棚尾小学校が隣接してあり、間には給食センターがある。 春になれば、それぞれの桜の花が咲き、道行く人の楽しみとなる。なかでも給食センター門前に咲く桜が、 棚尾小学校・南中学校に咲く桜より遙かに大きく、立派だ。花壇で窮屈そうにしているが、 広げた桜の笠を、私たちに見せるようにグッと傾けて、「今年はこんな綺麗な花が咲きました!」と報告する。愛嬌ある桜の木である。
<南中学校への通学路。桜の咲く時期は、まだまだ不安が募る。「大丈夫!きっとうまくいく」と新入生を励ますように桜は咲く> 名鉄・碧南駅北の踏切から続く道。大浜から南中学校へ通う生徒の主要な通学路となっている。 南中学校まであと少し、交通量が多く、渡るのに困難な横断歩道がある地点。 彩色された防火水槽傍らに2本の桜が花を咲かせていた。根を張る面積が狭いらしく、根元を太くさせる事でバランスを取っていた。日当たりも悪い。それでも桜の傘を一所懸命に広げようとしている。 桜の咲く春の季節は、新しい環境へ移行する時期。この通学路にある桜は、たくさんの新入生を見てきた。悪条件のなか、毎春、立派な花を咲かせるのは、通り過ぎる新入生に「きっと大丈夫!」と伝えるためにだと思う。
春日町の棚尾公民館前の信号は碧南市で一番最初に出来た信号だと言う事を知る人はあまりいない。 その信号から北東へ入ってすぐに見えてくるものがある。棚尾小学校の立派な正門。高さのある石柱に重厚な鉄のアーチ扉。 背景に棚尾小学校の校舎が重なり、全体を格式高く見せている。 この棚尾小学校の正門は、平成14年(2002)に棚尾に本社を構える企業の協力の元、昔の面影を復元する形で完成した。 近年、積み重ねてきた歴史をいとも簡単に捨ててしまう学校が多い中、誠に感心な試みである。 春になれば正門に彩りを添えるように桜が咲く。歴史を重んじる棚尾小学校である。 きっとこの場所で入学記念の写真でも撮れば、良き人生の思い出となり、後世にも伝えていくことが出来るだろう。
< text • photo by heboto >