愛知県碧南市 アンティークな風情の駅舎が魅力的な「新川町駅」に降り立つ

碧南市新川西部地区へようこそ!

新川町駅 (しんかわまちえき)

新川の玄関口「新川町駅」は趣あり 「新川まちかどサロン」としても活躍

新川町駅ホームに入る赤い電車

<大正3年2月5日に三河鉄道の駅として開業。昭和6年6月23日の三河鉄道ストライキ応援演説に来た労農党委員長・大山郁夫が新川町駅のベンチで夜を明かした。昭和40年をピークに乗降客が減少、平成4年に無人駅となる。平成13年に「新川まちかどサロン」として装いを新たに> 新川銀座商店街の通りを歩き、「新川町駅西」交差点に差し掛かる。東を向けば先には、懐かしい西洋風の駅舎「新川町駅」が見える。 新川町駅は大正3年(1914)2月5日、三河鉄道開業時からの歴史ある駅。新川地区の玄関として賑わいを見せていたが、昭和40年(1965)をピークに利用客が減少、平成4年(1992)には無人駅となる。 しかし、平成13年(2001)1月5日に「新川まちかどサロン」として新たに機能し、人が集まり始めた。 碧空に映える黄色に塗られた駅舎はアンティーク風の外灯が備えられ、赤丸ポストと共にノスタルジックな雰囲気を醸し出している。 あとは「木製ベンチ」でもあればと探すが見あたらない。新川町駅とベンチには、面白い話が残っている。 昭和6年(1931)6月23日、三河鉄道ストライキの応援演説に訪れた労農党委員長・大山郁夫は、会場である新盛座を取り囲む警官隊に阻まれ、 宿へ向かうことも許されず、ただ新川町駅のベンチで一夜を過ごしたという。ひとり明け暮れる大山郁夫の姿が目に浮かぶ。

高さ1.5メートル程の陸橋を行く電車

<自転車は立ち漕ぎ厳禁!超重量物体が頭上を越えていく迫力に身が縮まる恐怖。無謀な挑戦か、コンパクトカーがギリギリ通過していく。軽トラはおそらくアウト!電車を止めれば、もちろん賠償責任を負うことになるのだが承知してるかね?と尋ねたい> 新川五差路の東へ向かう道を歩けば、右手にお洒落な「白竹材木」の店舗・喫茶が見えてくる。 本業は木材を生かした住宅建築を商いとしているが、古材を生かした家具なども制作し、またギャラリーも併設し、美術・芸術にも造詣が深い。 その白竹木材の斜め向かいにある妙な交通標識が目に留まる。高さ制限1.5メートルを警告する標識に考え込んでいると、地響きがこちらへと向かってきた。 遙か先に真っ赤な列車が走り去る。正体を確かめるべく、列車が走り去った場所へと急ぐ。歴史を思わせる煉瓦造りの橋桁、頭上僅か先に錆びた線路が宙に浮く。 チンチンと遠くで鳴り出す音。とたんに轟音と共に超重量物体である列車が眼前へと迫る。電車を間近に、しかも下から眺めるという体験は滅多に出来るものではない。 無謀にもコンパクトカーが橋下を越えた。迷う軽トラ。彼らは電車を止めた場合の賠償額を知っているのだろうか。 数年先まで質素な生活が約束されてしまうぞ。

二宮金次郎さんの陰歴史に関するミニ知識

大山郁夫(おおやまいくお) 政治学者、社会運動家。明治13年(1880)9月20日、兵庫県赤穂群上郡町に生まれる。 早稲田大学、シカゴ大学、ミュンヘン大学に学び、大正3年(1914)に早稲田大学教授となるが、同6年(1917)に大学と対立し辞職。 同年、朝日新聞論説委員となるが筆過事件により翌年退社。大正10年(1920)に早稲田大学復帰。同12年(1923)、「政治の社会的基礎」を出版。 大正15年(1926)12月に労農党委員長に就任。軍国主義を批判し、平和と自由を説く。軍国主義の台頭に身の危険を感じ、昭和13年(1938)にアメリカへ亡命する。 昭和22年(1947)に帰国、同26年(1951)にスターリン国際平和賞を受賞。昭和30年(1955)11月30日、75歳で没する。

ヘボト自画像ヘボトの「如是我聞(にょぜがもん)」

かつての分岐点である新須磨2号踏切

「新川臨港線」

新川町駅のすぐ南にある踏切は、私たちの子供時代には「新須磨2号踏切」と呼ばれていた。 今では私有地となり先へと進むことは出来ないが、かつてはここから線路が西へ弧を描き、新川港へと向かう「新川臨港線」が存在していた。 三河鉄道の駅として新川町駅が開業した翌年の大正4年(1915)に敷設され、昭和30年(1955)に営業運転を廃止するが、構内側線として昭和52年(1977)まで使用された。 新川の入口である五差路を通過する貨物車の話は新川の人々に今に語り継がれる。当時、国道247号線という主要道であった場所の交通を止めて走る貨物車は多くの人々の記憶に残ったことだろう。 平成14年(2002)頃までは、その五差路に線路跡である柵が残っていた。

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