愛知県碧南市 子供を救う神様がいた 二本木荒子の氏神「神明社」

碧南市中央東部へようこそ!

荒子の神明社 あらこのしんめいしゃ

神様の轟音は子供の命を救った 碧南市で最も古い歴史を持つ神明社

赤い鳥居が連なる

<天平宝字6年(762)創建という碧南市でもっとも古い歴史を持つ荒子の神明社。広大な境内を持ちながらも、どこか都会的な雰囲気を持ち合わせる。二本木荒子の力を今に示す神明社> 碧南辻と鷲塚を結ぶ旧道、県道45号との交差から100メートルほど西の地点に、文政2年(1819)建立の立派な秋葉山常夜燈が建っている。 北東へと道は続き、灯籠の間、畑の間を140メートル行くと真新しい玉垣が見えてきた。二本木荒子の氏神である「荒子の神明社」である。 薄暗い東から境内へ入れば、見渡せる視界、無粋な電線などが存在しない広い空。補強の飾りが随所に施される扉、大きさ1.8倍を表現したくなる巨大な拝殿、頑丈な鉄製の賽銭箱。 左に護国社・秋葉社の石標、そして赤い鳥居。 荒子の神明社の神様が守る二本木という集落、名の由来は神明社前にあった2本の老松からといわれる。惜しくも昭和6年(1931)に枯れてしまったそうだ。 荒子はその二本木の”新しい土地”という意味である。

広い敷地の境内

<大音響を放ち、殺められる寸前の子供を救った荒子の神様。大正時代に起こった誘拐事件にまつわる話。拝殿には、現代の子供達が付けたサッカーボールの跡が鮮明に残る。それでも神様は怒らず、子供達を見守っている> 荒子の神様は子供を大切にする。この神明社には、ある話が残っている。 大正6年(1917)4月13日午後4時頃、8歳の男児が大男に誘われて荒子の神明社に連れ去られる。 猟奇的な企みを持った大男が、男児を殺害しようとした瞬間、荒子神明社境内に轟音が炸裂。 大男は神業と慌てふためき、逃げていった。おかげで男児は命拾いしたという。 現在の荒子神明社と言えば、拝殿にサッカーボールの跡。神の所在など何処吹く風、元気に走り回る子供達の声が木霊している。

ヘボト自画像ヘボトの「如是我聞(にょぜがもん)」

むき出しの歯が怖い狛犬さん

「荒子の神明社の狛犬」

真新しい区民館前、笹山神明社の東の入口から4段の石階段を登れば、両脇に茶褐色の狛犬が参拝者に睨みを効かす。 この狛犬、高さ65センチ、幅60センチの大きさで、大正8年(1919)8月に建立されたもの。 茶褐色をしているのは、素焼きの鉢に使われる材質と同じものだから。型どりしたものか、彫り出したものかは不明。 自然石と比べて耐久性に難があり、縦にヒビが入ってしまっている。 特徴的なのが、狛犬の表情。漫画家・永井壕先生が描く世界に登場しても違和感はない。 大正時代にこのような意匠が存在した事は、当時の新たな価値観を求める空気を垣間見るものである。

< text • photo by heboto >


Copyright (c) 2002-2010 heboto All Rights Reserved
このページに関する御意見は【サイト管理者へメール】までお願い致します。