愛知県碧南市 歴史に忘れ去られた「三河土人形」の価値を見直す時がきた

大浜てらまちウォーキング

土人形の飾ってある家

現代の記憶から忘れ去られた三河土人形 じっくり見るとその魅力に気づく

大小の福助さんが並ぶ

<「三河土人形」の文字が所々に見え隠れする「大浜てらまちウォーキング」。小径を行けば民家の軒先に”三河土人形展示場…みてね”の看板。訪れてみれば、色彩豊かでデフォルメされた土人形に興味を奪われる。深く感銘を受けたのか、お賽銭を投げていく人も> この大浜と土人形との関係は一体なんなのか? 実は、この「三河土人形」は通称”おぼこ”とも呼ばれ、明治初期に旅役者であった「亀島久八」が歌舞伎型の土人形を作った事から始まり、農家の収入源の一つとして盛んに制作されるようになった。この地方で良質な土が採掘出来ることも影響した。 元は高価な人形の買えない庶民の為に作られたもの。労働者の街である大浜としては、グッと胸に来る話ではないか。しかし大戦後からの多種多様な価値観の広がりから次第に土人形は敬遠されるようになり姿を消していく。 「大浜てらまちウォーキング」では、様々な場所で土人形と遭遇する。 各々テーマがあるらしく、各展示場独自の楽しみがある。親しみある福助さんが大小幾つも揃い迎えてくれる民家へとお邪魔した。 御利益を願ってか、はたまた作品に感銘を受けたのか、土人形飾られる畳の上には硬貨が転がっていた。

クリーニング屋さんの窓を覗き込む女性

<宝通り沿いのクリーニング店「山田クリーニング」の店先にズラリ並ぶ土人形。恵比寿さんに歌舞伎役者、戦国時代の武将2体は互いに睨み合い。人形達の後ろにはワイシャツや背広にアイロン台とクリーニング店の仕事を想像させる光景。日常と非日常との対比がなんとも滑稽> 名鉄「碧南」駅から西へと向かう宝通りにある一軒のクリーニング店。 ガラス戸の向こうには色彩豊かな土人形達が並んでいた。 大小12体の土人形の背後には、ワイシャツや背広が所狭しと掲げられ、質実なアイロン台が忙しい仕事がプロフェッショナルな雰囲気を携えている。 鮮やかな色付けを特徴とする三河土人形と実務なクリーニング店内の対比が何とも面白い。 デフォルメされた人形達が醸し出すユーモラスは、米国産のキャラクターに相通じるものがあり、廃れてしまった日本よりも三河土人形はむしろ欧米諸国のほうがウケるのかも知れない。 表情豊かな人形達に見入っていると、自分も人形と同じ表情に。 まだまだ娯楽の無かった時代に土人形達は人々の心を和ませていたのだ。

ヘボト自画像次回予告 第8回 『宝珠寺の様子』

宝珠寺でくつろぐ親子 昨年の「大浜てらまちウォーキング」では雅楽の演奏が行われた宝珠寺。それはそれは幻想的な世界だった。この宝珠寺は、永井直勝の生誕地で有名なお寺院である。また境内の北には「徳本稲荷」が祀られている。永井直勝の父「長田重元」の弟である「永井徳本」に由来ある稲荷。ちなみに医療品製造販売の会社として有名な「TOKUHON」は、永井徳本が広く庶民に医療を施した事に感銘を受け会社名にしたという。 当時、重要な港であった大浜には、警護を固める砦「大浜羽城」が存在したとされ、宝珠寺の建つ場所が城跡であったという説も伝わっている。本日「大浜てらまちウォーキング」において、私は重要な闘いを午後に控えている。 大浜漁港にて行われる限定2000杯「蟹汁無料接待」の争奪戦である。私は数々の戦功を上げた武将に少しでもあやかろうと宝珠寺へ向う。 ■第8回『宝珠寺の様子』

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