愛知県碧南市 徳川家康の歯痛を治した伝説 辿り着けるかな?「白山社」
<普段着の子供達が本殿の石段に座り、弁当を食べていた。面倒見役のご老人が、一言、二言、声をかけるがみんなうつむいて、 ハシを口に運ぶばかり。どこか憔悴しきった様子>今は昼時、これから祭だというのに元気がない。 何か近寄りがたい雰囲気で、ボクはジッと遠くから彼らを見ていた。風雪を経て変色した石段、西アジア的な表情の狛犬、 そして9人の子供たちと声高に論ずる一人の老人…。ダヴィンチが宗教画でも描きそうな世界だ。境内には露店はない。 神楽殿もあるが扉は閉ざされたまま。臨時に組まれた餅投げの高台と、祭の役員用のテントがあるのみ。 祭にしては、どこかおかしい。知らない間に人が静かに集まる。これから町内をチャラポコ囃子の行列でまわるらしい。 手作りの御輿、ティッシュの花で覆われた乳母車が後に続く。静かに行進する人々。 ただ小太鼓のポコポコとした音だけが響き渡る。どこか似ている…。 前衛的な芸術家のパフォーマンス、環境団体のデモと共通の雰囲気。ただのチャラポコ囃子に見えるかは、自らの感受性次第である。
隣の高浜市との市境に近い場所にあり、しかも奥まった場所にある白山社。自動車では幅員狭い一本のルートしかなく、容易には辿り着かず。 慶安5年(1652)に大濱村から勧請された白山社。天正16年(1588)に大濱に着いた「徳川家康」は歯痛に悩み、この白山社に祈願したところ、痛みはなくなったという逸話が残る。 祭礼時にしか見られない本殿の内部もしっかりと見ておきたい。 ズラリと並ぶ絵馬は碧南市指定の文化財であり、享保9年(1724)から文化11年(1814)までに奉納されたもの。七福神や千石船、歌舞伎などの図が描かれる。 白山社で行われた「餅投げ」の景品を紹介。子供の部<一等・ゲームボーイアドバンス、二等・ファミリーゲーム、三等・菓子詰め合わせ> 一般の部<一等・DVDプレーヤー、二等・折り畳み自転車、三等・防災用懐中電灯>だった。 (記事内容・2003年10月12日)
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