4.鞍掛山(くらかけやま)(2013.07.07)) 参考サイトはこちら
前回と同じく、土曜日は子供の行事続きで動けず、梅雨の晴れ間の日曜日に、夏の前の最後の山歩き・・・と思っていたのですが、結果的にはその翌日には東海地方の梅雨明け宣言が出される始末で、当日も名古屋での最高気温が35℃を超える、夏本番の日中の山歩きになってしまいました。想定していた気温より5℃以上高かったことになります。
行き先は鞍掛山です。一方のガイドブックの表紙になっている「四谷千枚田」の景色を、家内が大いに気に入っての選択です。2冊のガイドブックが何れも、仏坂峠から登り始めて、かしやげ峠に降りる、歩行時間が少々長い周回コースを紹介していますが、千枚田の上部に車を置いて、かしやげ峠経由で往復にすれば、距離は大分短くなるし全部東海自然歩道になるから比較的楽に歩けるだろう、と予想していました。
道は、ナビの第一選択は東名の豊川IC経由でしたが、違う道を通ることにしました。前回はR153が快適に走れるのを確認しましたが、この道の唯一の弱点が、旧足助町(現豊田市)を通過していること、なのです。紅葉の季節になると、香嵐渓に向かう車で、足助周辺の道路は大渋滞になります・・・香嵐渓は愛知県ローカルの紅葉の名所ですが、その地位は関西における嵐山より格段に高いような気がしています・・・それも、このあたりの道路が全て足助を通るようになっているので、紅葉シーズンには全部ひどいことになるようです。そこで、秋のハイキングシーズン前に道のレパートリーを増やすのを目論んで、R153と東名の間に位置するR302を選んでみました。
弁当の完成を待って8:20に出発、伊勢湾岸道を豊田松平ICで降りて、R302に入り、一旦足助に向かうよう指示するナビを敢えて無視して、そのままR302を走り続けます。ナビからは県道363、R473を経由して、R420に入るよう案内されました。しかし、対向車も先行車も殆ど居ないのはいいのですが、R153よりずっと神経を使う道でした。R420の段戸トンネルを抜けていく道が気持ちよく使えるのであれば、R153の伊勢神トンネルを越える道の代わりになる・・・・と考えたのですが、その段戸トンネル前後のカーブの連続で、子供が二人とも車酔いになってしまいました。田峰(だみね)まで降りてから、四谷千枚田にはゆっくり登りなおしたのですが、9:50に千枚田下の駐車場に着いてすぐ、二人とも吐いてしまいました。車内で吐かないよう到着まで頑張ってくれたのに感謝せねばなりません。
それはともかく、朝日を浴びる千枚田の景色は素晴らしいものでした。千枚田の上に尖がって見えるのが、鞍掛山の南のピークになります。家内が気に入っていたガイドブックの写真通りの景色が、写真だけでは分からない奥行きと高低差を持って広がります・・・かくいう私も何枚もデジカメに収めました。
よれよれの子供が元気を取り戻すまで、ゆっくり風景を楽しんだ後、再び車を走らせて、千枚田の上の駐車場に車を停めます。
駐車場の横にミニ水力発電所の設備がありました。最大出力は1kWとのこと。冷たい水が勢いよく流れていました。出発前にもここの水を少し飲みましたが、後で戻ってきてからガブ飲みすることになります。 水に触ったり飲んだりしている間に、子供達の機嫌も良くなってきました。10:30頃にリュックを背負って出発しました。 スギの植林の中を行く薄暗い山道に入ると、体感気温で3℃以上は涼しくなります。それでも、汗がどんどん出てきます。出だしは大した登りも無く、途中の水場でカニを見つけたりしながら(うまく写せず)、余裕で歩いていました。 |
「かしやげ峠」に最初のベンチがあるのですが、その机の上に誰かが荷物を広げています。???と思いながら最初の休憩を取っていたら、「お邪魔ではなかったかしら」と上品なおばさまが帰ってきました。なんと、ご夫婦で「ヘボ取り(クロスズメバチの蜂の子取り)」に来られていたのでした。その前日にアシナガバチの巣を撤去して幼虫を試食したばかり、でしたから、素晴らしい偶然でした。 「3分おきに、ヘボがエサの肉を取りに来る、ヘボが作る肉団子に奥様が白い綿をくっつけて持たせてしまう、その綿を目印にご主人が追っかけて巣を突き止めて、掘り出す」のだそうです。前日に予習していたことを、いきなり目の前で実演してくれた感じでした。 左のボケた写真は、ピンク色の生肉に止まったヘボ(写っているような、いないような)に、こより状の綿を爪楊枝みたいなのを操作して掴まそうとしている所です。この直後、綿をつかまされたまま飛び立ったヘボにもカメラを向けたのですが、そちらは更に上手く撮れませんでした。 奥様は、山の陰で姿の見えないご主人に「行ったよ〜」と大声で呼びかけていました。「私が膝を痛めちゃって山の奥まで入れないから、こんな遠くからエサを仕掛けないといけなくなっちゃって」、とおっしゃるのですが、かしやげ峠まででも立派な山道ですから、「膝を痛める」の基準が都会とは全然違うようです。「鞍掛山に登るの? ここからすぐですよ」とおっしゃるので、ますます安心しておりました。 |
かしやげ峠を出発すると徐々に傾斜が険しくなります。徐々に安心どころではなくなってきました。険しくなるところは木などで階段状に整備してあり、手を使わなくても滑る心配なく登れるのですが、その一方で、足の運び方が制約されて辛い面もあります。汗が止め処も無く出るので、子供達にも意識して給水するように言いつけました。かしやげ峠と山頂の間に、さらに3つベンチがあるのですが、各ベンチ間に一回ずつ余分に休憩を挟むことになってしまいました。休んでいる間に、やや若そうな人達が2組計4人降りてきましたが、朝早くから岩古谷山から鞍掛山を縦走して、もう降りてきたのでしょうか?
かしやげ峠を11:00頃に出た時点で、山頂は12:30くらい、と予想していて、結果的には大体計算どおりだったのですが、途中では、「もう半分くらい行ったかな」「まだかな」「そろそろ頂上に着かないともう駄目」などと、気持ちの余裕も無くなってきて、この間の写真は一枚もありません。ずっと薄暗い植林の中で変わり映えしなかったのもあるのですが。
ようやく尾根に出ると、頂上まで10分の看板。しかしここからはほぼ平坦で、ほんの2分ほどで頂上に到着です。看板の上にクマの彫りものが付いていました。 頂上には名古屋から来られたご夫妻がいらっしゃいました。多分、塩津から「びわくぼ峠」を経て来られたと思うのですが、「そちらの道はどうでした?こちらはずっと森の中で景色は無かったんです」と仰るので、「こちらも同じようなものです」。 「ただし、登山道中はともかく、千枚田は奇麗でしたよ〜」と(自慢げに)デジカメ画像をお見せしたところ、「うわー、やっぱりこれを見なくちゃね」と、歩いて千枚田まで降りることを一瞬考えられたようでしたが、出発点まで戻って車で移動されることをお勧めしました。ご夫妻とは後ほど千枚田下の駐車場で再会しました。 |
すきっ腹で登ってきた子供達も弁当をしっかり食べて元気回復、せっかくですので、鞍掛山の尾根の南の端の標高888mの最高点まで行くことにしました。 水平距離は500m以上ありますが、アップダウンはごく少なく、標高883mの「山頂」との標高差5mのところ、累積標高差でも20mとかそんなものだと思います。楽な道ですが、眺望が無いのは相変わらずです。 途中に「馬桶岩」なる岩があるので、寄ってみました。子供が乗っている岩なのですが、上に丸い窪みがあり、そこにきたない水が溜まっているだけ、「何じゃこりゃ」でした。 |
標高888mの最高点には10分ほどで到着、別のご夫妻が休憩中でした。当日のルートで唯一山中からの眺望のある地点でした。
最高点からどこが見えているのか、なかなか分からなかったのですが、左のGoogleの航空写真と照らしあわせて、ようやく理解出来ました。 最高点(左図の右上隅、矢印の先)から見える谷、つまり上の画像で見えている谷は、左図の赤線で挟んでいるあたりです。 連谷小学校(左図の左下隅)のあたりは最高点からほぼ真っ直ぐに見通せますが、メインの道路がそこから左に折れて千枚田(図の水色線で挟んだところ)に向かうところは、千枚田もろとも、上の画像で画面下中央から右に盛り上がる木々に遮られて見えません。 その代わりに、小学校から少し上がったところから右に入る、隣の小さな谷筋が見えています。 千枚田の下から見て、最高点が千枚田の真上にかぶさるように見えるのは、左図からも理解できるのですが、その見えている頂点の実体は、上からの視界を遮っている木々であるらしいです。 というわけで、千枚田こそ見えませんが、奥三河の山また山の連なりは、画像で見る以上に見事でした。 |
仏坂峠からの標準コースを登ってこられた、というご夫妻の後を追って、来た道を戻ります。登りよりは楽とはいうものの、家内と長男は「膝が笑い出した」ようでした。
傾斜が大分緩くなった杉植林の中、山道には珍しいほどに長い直線部分が現れたので、写してみました。先のほうに子供が小さく写っていますが、直線は更に続いていました。 ベンチごとに休憩して水を飲んでいると、各自の水筒の他、予備に持ってきていた500mlの水3本もほぼ無くなってきました。4人で4L以上飲んだことになります。かしやげ峠の荷物は既に片付けられていました。首尾よくヘボの巣を掘り出せたのでしょうか。 水場は、かしやげ峠より更に下ったところにあります。駐車場まであと少しなのは分かっていたのですが、とにかく水筒に水を入れて、その場でもガブガブ飲みました。 |
そして駐車場に到着。ミニ水力発電所の水を、ここでもガブガブ飲んでいたら、千枚田の上をトンビ(だと思う)が飛んでいました。 上からトンビを見下ろすというのは、殆ど初めてだったような気がします。 人心地つくまで、駐車場でゆっくりしました。 |
千枚田の下で、もう一度車を車を停めて、千枚田の中を散策しました。朝とは光が違うだろう、と更に何枚か写しましたが、10時と15時では、光の加減はそう違わなかったようで、それよりもアングルの違いが大きかったようです。
一番最初の画像のように斜めから写すと、高さは分かりますが幅が狭くなります。この画像のように真正面から写すと、高さが分かりにくくなります。で、ガイドブックの表紙を飾る写真では、この2枚の中間の絶妙なアングルになっていました。でも空の青さでは私の写真が勝っています。
この時の千枚田には、20人くらいの人が居て、若いカップルも何組か居ましたが、小学生はやはり居ませんでした。
帰りは、ナビのお勧めどおりに豊川ICを目指しました。この道は四谷千枚田から降りた後は、車酔いの心配の殆どない道でしたが、新城市街からのR151は、豊川ICまで信号の多い主要道路です。家から千枚田まで、行きが1時間半だったところ、帰りは2時間近くかかりましたから、このルートも考えものです。2014年度完成予定の新東名を使えば、新城市街のさらに北に直接行けるようになるので、完成が待ち望まれます。
・東海自然歩道で技術的には全く問題ありませんが、気温もあって体力的には平山明神山以上に厳しくなりました。
・軽く遊歩道化されていますが、山道感を損なうほどでもなく、道標は当然しっかりしていて、我々レベルには良かったです。
・山の景色はさっぱりですが、千枚田の景色は期待以上でした。
・ヘボ取りの見学と眼下のトンビは嬉しいおまけでした。
・新東名の完成まで、登山口までの道の選択には迷い続けそうです。
ハイキングはこれで暫く中断、9月末か10月に再開する予定です。