1.鼻歌になるピアノ曲

家内は、家事の際など結構気分よく鼻歌を歌っています。それがテレビドラマの主題歌ならごく当たり前、私が毎日練習している曲が刷り込まれるのも無理ないところ、とか思うのですが、
なんでそんな曲?というのが幾つかありました。刷り込まれやすい曲というのがあるようです。

 

その1:ヤナーチェク作曲「霧の中で」第3曲

いきなり有名とは言いがたい曲ですので、youtubeで見つけたこの演奏(ですが、もう少し速い曲だと私は思っています)を紹介しておきます。ピアノ買いたての子供もいない頃、家内の鼻歌に、この曲の冒頭の分散和音による「土の香りのするような」メロディが出てきたので驚きました。

この曲は大学時代のサークル仲間のU君のレパートリーであって、私はというと楽譜を見ながら一応すんなり弾ける程度で、確かに家内の前で弾いてはいました・・・私が弾く以外に家内がこのメロディを耳にする機会があったとは思えません・・・が、しかし鼻歌に出るまで積算しても5回は弾いていなかったはずです。

当時ならショパンのバラード4番をこの曲の10倍以上弾いていましたが、こちらは鼻歌になっていなかったはずです。バラード4番では、冒頭とか主要主題とか、親しみ易くはありますが、鼻歌にはしにくいのかな、と一応納得できるものはありました。しかし、その理解は数年後に覆されたのでした。

 

その2:バルトーク作曲「ピアノソナタ」第1楽章冒頭

夜、子供を寝かしつけた後で洗い物をしていた家内がいきなり「ダーダダッダッ」と歌いだしたのには一段と驚きました。その1に比べれば大分有名な曲で、youtubeにはいろいろありますがアルゲリッチのを紹介しておきます。あんまり驚いたので、夜中でしたが音量を抑えて弾いてみて、家内に聞かせて確認した次第です。この曲は学生の頃に弾きましたが、その後弾いていなくて、今では楽譜を見ても全然弾けない状態ですが、学生の時の録音は残っていて、それをCD−Rに焼いて車の中でたまに聞いていた、のが全てのはずなのです。

どう考えても鼻歌向きとは思えない、のですが、刷り込まれやすい、ということなのでしょうか。

 

その3:リスト作曲「チャルダッシュ・オブスティネ」

この曲は、ある程度頻繁に練習している中で鼻歌に登場したので、他の2つに比べれば驚きは小さいです。youtubeのこれだと切れ味が不足気味な分、私が家族に聞かせているのに多少とも近いかと思います。左手が加わったところからのメロディが鼻歌になりました。これは確かに歌い易く、並行して練習していた他の曲ではなくて、この曲が選ばれた(?)のも理解しやすい面はあります。とはいえ世間的には有名曲とは言いがたい曲です。

世評に関わらず、リストの天才の発露だと私は思っていますが、それはともかく、家内も子供たちも大好きです。次の発表会をどうしようか、とピアノの先生と話をしていたところで、好きな曲ある?と先生に聞かれた長男が、(曲名を知らないなりに)この曲が好きだということを即答しておりました。子供向けバージョンを自分で編曲してやろうかと一瞬思ったのですが、思いとどまりました。

 

その4:リスト作曲「メフィストワルツ第3番」

この1年スケ4ばかり弾いていましたから、これが鼻歌になったこともあったような気はします、が、それ以上に、合間にちょっと弾いた「メフィストワルツ第3番」の食いつきが、それはそれは良くて。youtubeにあるハワードは私の長年の愛聴盤で、勿論これ程には私は弾けないのですが、色々な断片が家内の鼻歌に採用されましたし、子供二人とも寄ってくるのは「チャルダッシュ・オブスティネ」以上で、二人とも発表会の曲を練習した後にこの曲の断片をいたずら弾きしようとします。

次回以降の発表会に向けての、私の候補曲の一つですが、長男は真顔で「この曲は難しいの?」と聞いてきました。「チャルダッシュ・オブスティネ」以上に子供向けバージョンは到底考えられない曲なので、他に何か手が大きくなくても弾ける曲、と思って、「調性のないバガテル」を弾いてみましたが、弾き手がそこまで偏愛している曲でない、というのが伝わるのでしょうか、こちらにはさっぱり食いつきません。リスト最晩年の舞曲系にも色々ある中で、自分の好みは世評と必ずしも一致しませんが、我が子の反応は自分の好みと一致した、というのは何となく嬉しいものです。

 

その4:プロコフィエフ作曲「ピアノソナタ第5番第3楽章」

詳しくはこちらに譜例付きで書きました。次男と家内が同じところを同じ日に鼻歌にしたのですから、文句なしです。

 

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