・・・今日はあの子、遅いわねぇ。 まぁ、いいわ。今回の質問は 「描くキャラの表情・感情表現が乏しくて、キャラを絡ませた時に違和感があります。」ね。 表情・・・感情表現・・・ねぇ。 ・・・私自身が無表情だから、説明し辛いわね。 こういう時はあの子がいた方が説明しやすいかも。 | |
バタバタ・・・バタンッ!! | |
アトリさん、スミマセン! 遅くなっちゃいましたぁ〜 ちょっと補習が長引いて・・・ | |
・・・あら? ちょうどいい時に。 今回の質問は「キャラの表情・感情表現」についてなのだけど、 アナタがいれば説明しやすいと思って。 | |
「キャラの表情」ですかぁ。 まかせてください! そういうの、得意なんですよぉ。 今から描きますね! | |
・・・え? そういうことを期待したわけじゃないのだけど・・・。 まぁ、いいわ。 | |
カキカキ・・・ | |
できましたぁ!! | |
・・・あら?早いわね。 見せてもらうわ。 |
・・・ええと。 色々とツッコミたいところだけど・・・。 どんなコンセプトで描かれた絵なのかしら、コレ? | ||
はい! 女の子が戦死した恋人の遺骨を持って 傷心のまま故郷に帰るところなんです。 ふと見上げる空に恋人の姿が浮かんで、 「わたしのこと、見守っててね」みたいな。 そんな哀愁漂う設定なんです。 |
・・・相変わらずスゴい設定の絵ね。 戦死した恋人の遺骨って、どういう構造の脳から垂れ流されるデンパなのかしら?。 | |
え? この設定、マズかったですかぁ? 明るい設定の方がよかったんでしょうか? | |
・・・設定がどうとかより、むしろそれが表現されてないことの方が問題かも。 私には「無表情なおじさんからもらった包みを手にうれしそうにしている女の子」 にしか見えないのだけど・・・。 女の子の表情から悲しみの欠片も感じないの。 空に浮かんでいる恋人?も指名手配犯かと思うくらい無表情だし。 | |
・・・ボロボロですねぇ、アタシ。 思ったような表情が描けないんですよねぇ。 | |
・・・アナタに期待していたのはそういう部分じゃないから、別に構わないわ。 それに表情が絵のテーマと合ってないとどうなるかの例にはなったわけだし。 | |
そうですかぁ。 でも、テーマに合った表情を描くにはどうすればいいんですか? | |
それにはまず、「喜怒哀楽」をどのように表現するかを把握すること・・・ね。 要するにキャラの表情を「喜怒哀楽」ごとにパターン分けして描いてみるの。 | |
「喜怒哀楽」ごとの顔・・・。 アニメや何かの設定資料にある百面相ってやつですね? | |
・・・知っているなら話が早いわ。 私の表情パターンは少ないから参考にならないので、 アナタを例に説明させてもらうわ。 ・・・アナタの表情パターンを、喜怒哀楽に分類するとこんな感じかしらね。 |
喜 | 怒 | ||
哀 | 楽 | ||
他 |
これがアタシの表情パターンですかぁ? あれ? 怒がひとつしかないんですねぇ。 | ・・・それは、アナタが能天気なキャラだから。 アナタの内面を表現するために、自ずと楽観的な表情が多くなってしまったのね。 |
・・・エヘッ 何だか照れちゃいますね。 そんな風に褒められると・・・。 | |
(・・・褒めてるわけではないし。そういうところが能天気なのだけど。) ともかく、この表情パターンからも分かるように表情とその感情を決定付けているのは 同じ構図の場合においては、眉、目、口の組み合わせだということが分かるかしら? もちろん、それ以外にも構図、色、影、背景効果等さまざまな要因が関与しているけど、 ここではそれは置いておくわ。 | |
え〜と。 つまり、その眉、目、口の組み合わせさえ把握すれば キャラの表情が描き分けできるようになるんですね? | |
・・・一応、そういうことになるけど。 ただ、表情の類型をそのまま当てはめるのはやめた方がいいわ。 魂が入っていない、人形みたいなのっぺりとしたキャラばかりになってしまうから。 ・・・分かるかしら? | |
え? 「眉がつり上がって口がすねていれば、怒り」「眉が優しげで口が笑ってれば、笑い」 って感じに描けばいいんじゃないですかぁ? | |
・・・例えば、気弱なキャラと気の強いキャラが同じ状況で同じ笑い方をしていたら、 違和感を感じないかしら? 人それぞれ背負っている過去が違うわけだから、 表情にそういう部分が多少滲み出ていないとおかしいはずなのに。 そういうテンプレート的な発想は、キャラの持つ個性を殺してしまうことになるわ。 | |
でも、そうなるとスゴく難しい感じがしちゃいますけど・・・。 どうやってそんな表情を描けばいいんですかぁ? | |
・・・そうねぇ。 まずはそのキャラの性格・背景を考えるの。 そして「このキャラならこういう時どういう風に笑うのか」などを考えながら、描くようにする。 ・・・そうすれば自然とそのキャラに魂がこもってくるという感じかしら。 ・・・少し精神論っぽいけど。 | |
分かったような分からないような・・・。 でも、どういう時にどういう表情をするかが分からなければ 描けないってことじゃないですかぁ? | |
・・・それは色々見ながら、練習して把握していくしかないかも。 ただ漫画やアニメを参考にするだけじゃなくて、 映画、ドラマ等の演技の上手い人の表情をその状況と合わせて観るのが結構勉強になるかしら。 カメラワークや構図の持つ心理描写の勉強にもなるから、お薦めね。 | |
確かに、映画とかって台詞だけじゃなくて 役者の表情や照明、カメラワークでその人物の内面を表現したりしますからね! 特撮なんかも監督さん毎に表現のコンセプトが違って面白いんですよぉ。 | |
(流石に『ツインテールはグドンのエサだ』を知ってるだけあって、 そちらの造詣は多少なりともあるのね。) ・・・ただね、そういう風に表情の勉強をしても描いて表現できなくては意味がないの。 しかもイラストだと、どうしても描くバリエーションが限られる傾向にあるから。 そこで一番、表情の練習になるのが、「漫画を描くこと」ね。 先のカメラワークや構図の持つ心理描写の実践にも使えるし。 | |
えっ? 「漫画」って、ちょっといきなり過ぎませんかぁ? | |
・・・そうね。 ただ質問の「キャラを絡ませた時の違和感」の克服のためには間違いなく効果的な方法だし。 キャラの描き分け、デフォルメ化の練習にもなるから。 まぁ、説明するにしても別の機会に・・・ということになるけどね。 とりあえず今回はここまでね。 | |
はい! それじゃあ、また次回会いましょう! |
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