オール電化と従来型エネルギーとを比較
オール電化住宅を考えていらっしゃるなら、そのマイナス面とプラス面についてはすでに調査されておられるかもしれませんが、その詳細を検討してみると、ご自身が想像するオール電化住宅の形が見えてくるとは思います。しかし、もうちょっと違った視点でオール電化と従来型エネルギーを比べてみれば、より現実的なエネルギー生活が見えてくるのではないでしょうか。
「電気とガス本当はどっちが良いの?」と疑問に思うことは多いようです。
CM等のイメージでオール電化を選択される場合もあるように思います。また、「火を使わないから安全」「コンロの掃除がラク」といった部分的要素からIHクッキングヒーターを選択される方も見受けられます。
しかし、実のところ、電気とガス、どちらが良いかは一概には言えません。それぞれに特徴があり、長所と短所があります。重要なことは、両者の特徴・長所・短所を多面的に理解したうえで、ライフスタイルに合ったものを選択することです。どのポイントを重視するかをしっかり考えることが必要です。
省エネルギー性
電気とガスの省エネルギー性について、コンロでお湯を沸かす場合を例にとって比較してみます。
やかんでお湯を沸かすために必要なエネルギーを100とします。IHクッキングヒーターなど電気コンロの熱効率を79%とすれば、お湯を沸かすために必要な電気のエネルギーは127です。しかし、電気の場合、火力発電所での排熱ロス、送電線での送電ロスがあるため、電気を作り出すために必要な原材料の一次エネルギーは345となります。
一方、ガスコンロの場合もお湯を沸かすために必要なエネルギーは同じ100。ガスコンロの熱効率を56%とすれば、お湯を沸かすために必要な都市ガスのエネルギーは179です。天然ガスから作られる都市ガスは、製造時・輸送時のエネルギーロスは、ほとんどゼロ。したがってガスコンロを使用する場合、お湯を沸かすために、必要な原材料の一次エネルギーは179ということになります。
電気コンロはガスコンロの1.9倍もの一次エネルギーが必要となるのです。
つまり、同じ量のお湯を沸かすのに必要な一次エネルギー(石油、天然ガスなどの原材料のもつエネルギー)で考えると、ガスコンロは電気コンロの約半分であり、総合的にみた省エネルギー性はガスコンロの方が段違いに高いことがわかります。
電気コンロとガスコンロの一次エネルギー消費量の
比較を示した図。[東京ガスのWebページより引用]
次に家庭からみた省エネルギー性です。
電気コンロでお湯を沸かすには121のエネルギーが必要です。しかし、ガスコンロの場合同じお湯を沸かすのに144のエネルギーが必要となります。ということは、家庭からみた場合の省エネルギー性は電気コンロの方が高いことがわかります。
環境性
オール電化住宅を採用した場合、CO2排出はどのようになるのだろうか。
同じ湯沸しの例で、CO2発生量を比べてみると、電気コンロを使った場合は、ガスコンロに比べて2.65倍のCO2を排出しています。
電気式コンロは燃焼がないためCO2が発生しないように思えますが、火力発電所で電気をつくるときにCO2が発生します。家庭内で排出が少なくクリーンなオール電化住宅と言っても、その使用している電気は発電所で大量に出される排気熱と送電におけるエネルギーロスがともなっているのです。地球温暖化防止などの環境問題を考える際は、家庭内環境だけでなく、発電所で作られる電気がどれほど環境負荷を与えているのか総合的に評価しなければなりません。
経済性
オール電化住宅の特徴として、電気代が安くなるということもアピールされている。電力会社はオール電化住宅を対象に、特別の電気料金プランを設定している。昼間と比較して深夜電力が格安になっており、朝晩は従来程度、また昼間(特に夏期)は逆に割高になっている。安い深夜の時間帯に上手に電気を利用すれば、それだけ電気代をカットすることができ、経済的となる。さらにオール電化住宅にはこの料金体系にオール電化住宅割引5%が適用される。安い時間帯を上手に利用すれば、消費電力量が同じでもそれだけ電気代をカットすることができるというメリットがある。
ランニングコストに関してはオール電化住宅の方が割安になりますが、オール電化住宅ではイニシャルコストがガスより高くつきます。
エコキュートや電気温水器の設置には約70〜100万円ほどかかります。それに対して、ガス給湯機を使う場合では約40〜60万円。IHクッキングヒーターにしようとすると約20万円前後〜に対して、ガスコンロは約2万円〜なので、オール電化にする場合イニシャルコストは3倍〜6倍もかかってしまいます。
このことも含めライフスタイルにあった選択をすることが必要です。
安全性・快適性
安全性・快適性は家事をするものとしては気になるところですよね。
トッププレートがフラットなIHクッキングヒーターは、清掃性の面から見るとやはり1番でしょう。テレビCMでも強調されている通り、サッと一拭きで掃除ができます。
IHクッキングヒーターは直接火を使用しないということで着衣着火の心配はほとんどありません。安心して使えるので乳幼児やお年寄りのいらっしゃるご家庭、またはお年寄りだけのご家庭など、どのような環境でも快適に使用できるというメリットがあります。