ファイブ・ナイン
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(現在収録中)

 

ファイブ・ナイン

ACT.1
「砂塵舞う作戦、開始。」

 

薄暗いモニターの画面に男がなにか話しかけている。

大きな鉄製の机の上には同じようなモニターが何台も並んでいる。

会議をするには都合が良さそうだ。

その机の全員を見わたせる位置から、先ほどの恰幅(かっぷく)の良い男が

部屋にいるもう一人の背の高い男に口を開いた・・・

「どーした?空軍大佐が見えとらんようだが?・・・・」

首を振らなくても部屋を見わたせる位置にいながら、あたりを見回す、
【状況を確認する】ということを無意識に行っている。軍人らしい習性だ。

「おや?別の作戦行動に移ったと・・先ほど連絡を受けたが?・・」

背の高い男はゆっくりと目を閉じながら、【別に急ぐ必要はあるまい】と
いった風に顔をそむけた。

そのそむけた方向にこの作戦会議室の入り口があった、
オートゲートのランプが関係者の認識を示す点滅をはじめ
パシューと乾いた音と共にもう一人別の男が現れた。

「失礼します。ヨーク大佐! バス・クルーノ空軍大佐より
今回こちらの指揮権を預かりました。今作戦配属のサモン空軍中尉です。」

敬礼をしながら、恰幅の良い男、そして背の高い男に体を向け直す、
若い男はサモンと名乗った。

「む!?おぬしか? リナーン家ご自慢の出世頭というのは?」

「やめて頂けますか?私はもともと“リエーン家”の者です。
  リナーン家の話は・・・」

恰幅の良い男はそうかそうか、すまんかった。といった表情をしながら
タブーに触れたことに気付き両手をまあまあと2度振ってたしなめた。

その様子を片目を開けて観察しつつ、背の高い男が話を切り出した。

「ところでヨーク大佐・・、先の作戦では成果が思うようにあがらなんだようで?」

恰幅の良い男の名は「ヨーク」。ここ、グランバリエの軍事関係者で
『陸軍の鬼』を知らない者はいない。

「どこの馬の骨ともわからん 義勇兵の連中がふざけおって!!
  傍受(ぼうじゅ)した通信の暗号をといて腹が立ったわ!!
  “砲弾のエネルギーが半分で済んだ”だとぅ!!」

その怒りの情景をまたも観察しながら、背の高い男
“海軍一の戦術家” ウッカー大佐は整然と答えた

「若い連中がMAとやらに搭乗するようになって、・・かわりましたな・・。
  ま、ヨーク大佐の作戦名『竜巻作戦 第48章』よりは良いかと・・。」

「そんなことを議論しに来たのではない!
  だいたい、海軍は規律にしても実務にしても甘すぎる!」

「・・・われわれが、海の防衛線を守っていたからこそ
  例の作戦は成功したのではないのか?・・」

「むっ、・・・・・。」

(かってなこと言ってくれるぜ。てめえらは海でのんびりしてただけだろうが・・
  空からは“お見通し”なんだよ・・)

なかば、ウッカーにさとられやしないかと考えつつ、若い男サモンは
表情にせぬよう襟を直すフリをした。

「・・・・まあ 良い。 今回の戦線の指揮もわしがとる。
  心してかかってくれ。」

「ふむ・・」

「了解。」

・・作戦会議が行われたのはどれ位の時間であろうか? 


どうやら今回の作戦も

砂塵が舞いそうな雰囲気である。

第2話へつづく。


★第2話はこちら 公開中


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