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第2章 組織
 
第1節

組織概念(1)

 

 第3図(次ページ参照 :適当な訳を見つけられないため、全て英語です。)は映画製作組織の概念図である。企業組織が企業の規模、業種等により千差万別であるように、映画製作組織も一様ではない。しかし、部門名、部署名はともかく、基本的な最小限度の機能はどの組織もほぼ同じである。

 プライベート・フィルムでは必要のなかった組織が、その製作規模が大きくなればなるほど多人数化し組織化され、組織内部での機能分化が著しくなり、各組織部分の役割の明確化、組織部分相互間の調整が、組織維持そのものにとって重要となってくる。そして、その善し悪しが組織全体としてのフットワークの軽快さを決定するようになる。いかに内部で情報を伝達するのか、いかに全体をマネージメントするのか、いかに一つの方向に全体を動かしていくのか。

 プロデューサーはその組織の長であり、責任者である。プロジェクトのキックオフ後、まず、プロデューサーが始めるのは、組織を構成する各々の機能の責任者(監督、撮影監督、サウンド、編集者など)との契約であり、またその責任者が推薦する者たちとの契約といった人集めを主体とした組織作りである。組織の規模はその資金的な規模により定まる。

 大規模な映画では、出演者を除くスタッフだけでも数百人に達するだろう。小規模な商業映画でも数十人は必要である。

 この章では、映画製作組織がいかに構成され、各部門がどのような役割を果たすのかといった、映画製作プロジェクトの組織概念を述べていく。