切手の豆知識 その3 (消印)


 消印(正式には『しょういん』と言うようです)とは、切手が再使用されないように押された印のことです。

 

歴史

 1840年、イギリスで世界最初の切手が誕生しました。切手は、郵便料金を既に支払った証として、郵便物に貼られるようになりました。
 切手ができる以前から、郵便物には、出された郵便物を引き受けた郵便局が、引き受けた日付のスタンプを押していました。
 切手の誕生以降、従来から行われていた日付を示す「スタンプ」と、切手の再利用を防ぐ方法として、郵便物に貼られた切手への「消印」とが、郵便物に押されるようになりました。
 当時の消印は、郵便局の名前も日付も表示されていない、十字架の形をしたものでした。「スタンプ」と「消印」が兼用されるようになり、「消印」には、郵便局名、日付を明らかに証示するもの(証示印)、切手が再び使われないように抹消するもの(抹消印)の2つの要素を持つようになりました。

 日本では、近代郵便制度が始まった1871(明治4)年、日本最初の切手の登場とともに、「消印」が初めて用いられました。当時は「検査済」と大きく表示されただけの「抹消印」でした。
 ところが、この表示だけでは不便であったようで、すぐに地名表示が加わった形態のものに代わりました。「検査済」と大きく表示されただけの「抹消印」が押された郵便物は数が少なく、今ではとても貴重品です。
 明治時代、「消印」の形態は、それぞれの郵便取扱所(郵便局)で、様々なデザインや表示の「証示印」、「抹消印」が用いられていましたが、1873(明治6)年以降、これらの「証示印」、「抹消印」のスタイルが統一されて行き、1888(明治21)年になると、「証示印」が「抹消印」を兼ねた、現在の「消印」の形態となりました。

 また、1875(明治8)年、日本から外国宛の郵便制度が整ったのを期に、欧文表示の「消印」が用いられるようになりました。



種類

 消印は、郵便物の引き受け日や時間帯、引き受け局を示し、貼られた切手を再使用されないようにするためのものです。
 形態としては丸型のものが多く用いられますが、大きい封筒などではローラーのように転がして捺印するもの、葉書など定型なものには機械により捺印するものが利用されます。

 消印の内容は、
  @郵便局名、
  A日付(YYMMDD)、
  B時間帯(8−12、12−18、18−24、24−8)
 が入っています。

 消印の種類は、時代や郵便の用途、郵便局の種類ごと、機械によるものなど、とても多くのタイプが存在していますが、大きく分けて『普通日付印』と『特別日付印』2つの種類になります。

 普通日付印は、「和文印」、「欧文印」、「ローラー印」等です。
 特別日付印は、「小型印」、「風景印」、「特印」、「ハト印」です。


 普通日付印(一部を紹介します)
ローラー印 和文印
(和文丸型印)
和文印
(和文機械印)
和文印 兼 欧文印
(和欧文機械印)
国内用の定形外郵便物又は切手がたくさん貼ってある郵便物に使用されます。 一般的なもの。どこの郵便局にもあります。 定型サイズに使われるもので、集配局で使われています。 国内用、国外用のどちらにも使用できるものです。




 特別日付印

 特別日付印の「小型印」「風景印」「特印」「絵入ハト印」はイラストが描かれています。
 明治35(1902)年6月20日、初めてイラスト入りの消印が登場しました。
 以後、記念切手の発行や国家的行事の際、それらに関連したイラスト入りの消印が用意されて使われています。

 「小型印」は、正式には「小型記念通信日付印」という名称で、申請に基づきイベントに際して使われるイラスト入りの消印です。直径32mmが標準で、赤味がかった朱色をしています。

 「風景印」は、正式には「風景入通信日付印」又は「絵入通信日付印」という名称で、各郵便局の近隣にある名勝地や特産品が描かれた消印です。直径36mmで、これも赤味がかった朱色をしています。

 「特印」は、正式には「特殊通信日付印」という名称で、記念切手の発行初日にあわせて、その切手と関連した図柄のイラストが描かれた消印です。風景印と同様、直径36mmで赤味がかった朱色をしています。

 「絵入りハト印」は「ハト印」の一種で、イラストとハトのマ-クが描かれています。これも風景印と同様、直径36mmで赤味がかった朱色をしています。

 「風景印」は、自治体を代表する郵便局、観光地にある郵便局等に備え付けてあります。ちなみに、「風景印」を押印するには、郵便局の郵便窓口で風景印の有無を尋ね、「風景印」を押してくれるよう依頼すればOKです。
 「風景印」以外は、使用される期間や使用する郵便局が限定されていますので、事前に調べて行かないと押印を依頼できません。


 

ハト印

特印ですが風景印ではありません。
色も黒色です。

絵入りハト印

ハト印でイラスト入りです。
初日(切手の発売日)に使われます。

 



特印 風景印 風景印

風景印は様々な形のものがあります。
この他に桜の花びらの形やリンゴの形のものもあります。

初日に使われたものです。特印は、初日だけでなく数日間使用される場合があります。

多くの郵便局にあるものです。
使用期間に定めがありません。

左と同様風景印です。
大きさは同じですが形が違います。