切手の豆知識 その2  (カラーマ−ク、名版、みほん切手)

 

カラーマ−ク

 書籍等の印刷物を印刷する際、製本される時に切り落とされてしまう部分に品質をチェックするための、記号やマーク、色調などが印刷されます。
 各インクの色のズレがないように管理するための「トンボ」、各インクの色の調子の良し悪し見るため、10〜14段階で濃淡を並べた「グレースケール」、色の脱色を検査する「カラーマーク」、制作者や製作日等の「管理データ」などでです。

 切手に関しては、1962年、イギリスで、色の脱色を検査する「カラーマーク」を切手シートの耳紙(シートの余白部分)に印刷するようにしました。意図は不明ですが、それ以降「カラーマーク」を切手シートの耳紙に入れることが、浸透していきました。そして、切手の印刷所で、それぞれ独自の形状の「カラーマーク」が印刷されています。
 日本では、1975(昭和50)年10月6日発行の国際文通週間切手に、最初に印刷されました。「カラーマ−ク」は1シートに1箇所しか印刷されていないため、「カラーマーク」付きの切手は貴重価値を持ち、驚くほど高値な市場価格のものもあります。

 

通常切手


通常切手
(シールタイプ)

年賀切手


記念切手


 

 カラーマ−クは印刷色の数により1色〜数色、色も切手によりカラフルです。
 カラーマ−クは四角と丸がほとんどです。珍しいものでは、1999年10月に発行された「日本プロ野球セパ誕生50周年」切手のカラーマ−クで野球のボールの形をしていました。




銘版(めいばん)

 印刷物に限らず色々な物に製造会社名が表示されているのと同様に、切手にも製造した部署の名称が表示されています。これを、「銘版」と呼びます。日本切手の場合は、ほとんどのものが耳紙(切手シートの余白部分、カラーマ−ク付近)に表示されています。
  「銘版」は、切手がどこで製造されたのかを示しており、日本の切手の場合、以前は「銘版」から、お札の製造と同じ部署である、「大蔵省印刷局」で作られていることがわかります。
 国の組織改革(省庁再編や郵政民営化)に伴い「大蔵省印刷局」から「財務省印刷局」、「国立印刷局」と製造部署が変わって行きました。最近では、民間企業の凸版印刷株式会社も、切手の製造を請け負っています。ここで作られた切手の「銘版」は、「凸版印刷株式会社製造」となっています。

 海外では、民間企業が切手を印刷している場合が多く、そして、必ずしも、自国の切手を自国で製造しているとは限りません。たとえば、イギリスの場合、自国の民間印刷会社の他に、オランダの民間印刷会社でも、切手が製造されています。これは、オランダのこの会社が、高い印刷技術を持ち、さらに、製造コストが安いからだと思われます。なお、日本の大蔵省印刷局では、一時期、タイやフィリピンの切手を製造したことがあります。「銘版」を確認することによって、どこで作られた切手であるのかがわかるとともに、民間企業にとっては、「銘版」を示すことによって、社名の周知と製品の品質のよさを、全世界にPRすることが出来ます。

 

大蔵省印刷局



財務省印刷局


国立印刷局


凸版印刷株式会社



   


   変わったところでは
 こんなのもあります。

  WALSALL  SECURITY  PRINTERS  LTD .

 

 

 

みほん切手

 みほん切手(正式には「見本券」という)は、これまで、模造品などが郵便局に持ち込まれた場合に、真正品かどうか判断するための真贋対査用として郵便局へ配布されていました。見本券は、実際に発行される切手上に「みほん」の文字を加刷したもので、これまで、新切手の発行に際しては必ず作成されていました。しかし、これまで郵便局の現場では、見本券は真贋対査用として用いられてきたことはほとんどなく、むしろ、新切手の販売促進用に用いられてきたのが現実のようです。

 1999年までは(財)郵便文化振興協会発行の新切手案内書を購読すれば、見本券が添付されており入手することが出来ましたが、2000年以降は見本券が添付されなくなり合法的に入手することが困難となっていました。あくまで見本品であり一般に販売されないため、収集家の間では貴重品として高価で取引されています。
 金券ショップでは、一般の切手類が額面割れで売買されていますが、市場価格での見本券の相場は、記念切手の場合1枚100から200円、ふるさと切手ではその2倍以上、シール式切手やふるさと切手の切手帳の中には数千円になるものもあることを考えると、市場価値はかなり高いということになります。
 貴重品であるが故に、関係者がこれまで見本券を切手の収集家やディーラーなどに横流しをして、あるいは、自らオークションに出品するなどして、不正な利益を得てきたという噂も流れていました。

 そこで、ついにその見本券が2003年末をもって廃止されてしまいました。
 印刷そのものがされなくなった見本券、過去作成されたものがますます貴重になるのでは・・・・・。


1965(昭和40)年 年賀切手の見本券