Home > Old Cactus > 温室増設奮闘記 (2013/01/14)
温室増設奮闘記 (Old Cactus & Succulents)

 この項は作成途中・一部工事中です

目次 
【0】なぜ増設? 
【1】目標と結果[1]広さ・形状・材質  [2]費用  [3]最低温度  [4]雨水利用
【2】設計と準備[1]図面  [2]材料の調達  [3]組立準備
【3】工事と作業[1]着工  [2]搬入  [3]工事中の写真(別窓)
【4】改良と結果[1]基礎  [2]通風と密閉  [3]蓄熱暖房  [4]雨水タンク
【5】今後の課題[1]暖房(薪ストーブの検討)  ロケットストーブ試作・燃焼試験

PageBottom   Old Cactus に戻る   Home に戻る



昨年建て替えたばかりのポリカ温室を早くも増設することになった記録です

【 0 】なぜ増設?
昨年建替えた温室 [1]サボテン栽培を本格化したため専用の部屋が必要になった
[2]昨年建て替えたときの反省点・改良点・実験的試みを具体化する
[3]栽培環境の更なる向上とエコロジーの両立


【 1 】目標と結果
[1]広さ・形状・材質 .................... (結果:ラン室1坪+サボ実生室1坪+サボ栽培室2坪)
増設部 (広さ) 何度も増設を繰り返したくないので、 スペースの許す限り大きくし、増設後の面積は4坪(13.2u)としました。  内部は3部屋に区切り、東半分(2坪)をサボテン栽培室、  南西1/4(1坪)をサボテン実生室、  日当りの悪い北西1/4(1坪)を洋ラン越冬室としました。
本当は日照条件の良い南側半分をサボテン栽培室、北側をサボテン実生室・洋ラン越冬室にするのが理想でしたが 夏季の通風優先と出入口の位置の関係からこの配置となりました。  洋ラン越冬室は従来と同じ位置になります。
(形状) 既存部分を南と東に延長した片屋根式。  南側の約90cm幅は軒高が180cm以下になりますが、中の植物の背が低いので良しとします。
(材質) ブロック基礎、鉄アングル材の骨にポリカ段ボール張りを踏襲し、  断熱性と気密性を更に高めるため内張りも同じポリカ張りとします。

[2]費用 .................... (結果:材料費約20万円)
昨年、木骨ビニール張り1坪から鉄アングル材ポリカ張り1.5坪に建替えたとき約7万円位でしたから、 増設分は面積比1.66倍で比例計算では11.7万円、ポリカの内張り分を足して14.5万円程度となります。
この他、今回は以下のものを追加工事していますので合計約20万円となりました。
追加項目 (合計約5.5万円) 材料費備考
温度記録用データロガー 2.30万円室温外気温記録のため
電子式温度調節器の増設 0.71万円制御精度向上のため
水道の配管(約20m) 0.96万円従来はビニルホース
雨水枡、排水管の設置(約6m) 0.54万円地面に流していた
電気配線の更新(約20m) 0.95万円(購入済・工事未実施)
電子式温度調節器は、換気扇制御に使っていたものをサボテン実生室の撹拌扇制御に回し、 洋ラン越冬室の温度精度向上のため導入しました。  温度記録用データロガーは栽培環境の管理と省エネアイデアの実施効果を確認するため、 高価でしたが導入しました。


[3]最低温度 .......... (結果:最低気温 外気:-3.1度、ラン室:5度、サボ実生室:3.3度)
実質の最低気温・最高気温(2012/11/13〜2013/01/13)
最低最高気温
部屋温度制御最低温度最高温度備考
外気温(〜12/25:名古屋の値)-3〜 3℃ 5〜15℃ 
洋ラン越冬室暖房、換気 8〜 9℃28〜29℃ 
サボテン実生室撹拌、蓄熱 4〜 7℃31〜39℃蓄熱暖房
サボテン栽培室密閉、成行 0〜 3℃25〜42℃工事中
最低気温(外気)は、-3℃以下の日は12/25と01/05の2日間だけで、12月中旬以降-1〜+2℃位の日がほとんどでした。
まだ一部工事中ですが今回、隙間風を防ぐためにシリコンシーラントで隙間埋めを徹底しました。  サボテン栽培室はまだ工事中(昼間:密閉高温、夜間:隙間風)のため環境は良く有りません。
(屋根面) ポリカ波板(最上部)、ポリカ段ボール(中層)、ビニール内張り
(壁面) ポリカ段ボール(外壁)、ポリカ段ボール内張り
(開口部) ガラスサッシ、ポリカ段ボール(内扉)

[4]雨水利用 .................... (結果:沈殿槽の設置まで実施、貯水槽は今後準備予定)
沈殿槽 雨水は弱酸性で水道水に比べて溶融酸素も多く温度も気温に近いため水やりには理想的です。  温室内で使う水の一部でも賄えればと思い1年間実験しました。
増設前の屋根面積約5uで、ポリゴミ箱再利用の雨水タンクの約70Lでは、14mmも雨が降れば満タンになります。  当地の雨量で試算すると、雨が定期的に降れば毎日16L位の水が使える計算になりますが、 実際には晴天が続くとタンクは空っぽ、まとまった雨が降るとすぐに満タンになってオーバーフローしてしまいます。

実験に使った70Lタンクを沈殿槽として、新しくタンクを設置することとしました。  雨水タンクの容量を1,000Lとして試算すると、満タンなら雨が降らなくても毎日18L使って2ヶ月間位使える計算です。  雨水の豊富な日本では雨水を全て利用できれば、砂漠植物を養うのに必要な水は十分に得られます。  雨が毎日均等に降らないので、どれだけの容量のタンクを用意してどこに設置するかが課題です。
実験では、適当な容器で汲み出して、直接植木鉢に与えていましたが、量が多くなれば便利に使うためポンプが必要でしょう。

年末の時点では沈殿槽まで設置して、ここから貯水タンクに接続するパイプをオーバーフロー用として排水溝に仮接続しました。  タンクは温室本体の工事が一段落してから設置の予定です。


PageTop   ItemTop   PageBottom   Old Cactus に戻る   Home に戻る


【 2 】設計と準備
[1]図面 .................... (今回もCADで書いてみました)
構想を形にする時は、CAD(パソコンで製図する)を使ってみました。  形が正確に書けるので思い違いによる寸法間違いが少なく、  形状や寸法の変更が簡単にできるなど、とても便利です。
前回の図面が有るので変更追加は簡単にできました。

[2]材料の調達 .................... (主にホームセンターで購入)
今回ポリカ段ボールは通販で安売りのものが無く、最寄のホームセンターの方が安く在庫が有りましたので 殆どの材料は最寄のホームセンターで購入しました。
通販で購入したのは、温度記録用データロガーと電子式温度調節器くらいです。

[3]組立準備 .................... (手書きメモで)
手書メモ
 
 


PageTop   ItemTop   PageBottom   Old Cactus に戻る   Home に戻る


【 3 】工事と作業
[1]着工(2012/10/04〜) .................... (寒くなる前に完成予定)
工事中の写真 工事中の写真はこちら(別窓で開きます)
暑さが一段落してからの着工、またまた寒さが迫ってくる中での作業になりました。
(1)庭木移植・庭石移動(2012/10/04〜14)
(2)水盛、水糸張り(10/16)
(3)増設部の基礎ブロック積み(10/17〜23)
(4)骨組み(アングル材)の組立、窓・出入口サッシ枠取付(10/24〜31)
(5)(屋根部)ポリカプラ段固定、ポリカ波板固定(10/27〜29)
(6)(側面)ポリカプラ段固定(10/30〜11/03)
(7)雨樋設置(11/04)
(8)隙間埋、ポリカプラ段内張り(ラン室、実生室)(11/06〜16)
(9)内部雑工事(11/06〜11/22)
(10)雨水枡・排水管設置(11/25)
(11)水道管敷設・水栓設置(11/27〜11/29)
(12)サボ実生室床工事(蓄熱体・ダクト・撹拌扇(仮)設置)(12/02〜07)
(13)アンカー取付固定・基礎ブロック穴埋(12/09,20)
(14)温度記録計設置・計測開始(12/13)
(15)隙間埋、ポリカプラ段内張り(サボ栽培室)(12/18〜26)
  工事中断(12/27〜)

[2]搬入(2012/11/13〜) .................... (寒くなる前に間に合いました)
(1)洋ラン搬入仮置(11/13)
(2)ラン室ほぼ完成(11/22)
(3)ラン室整理(11/30、12/01)
(4)サボ実生室ほぼ完成(12/08)
(5)サボ栽培室は、年末年始で工事中断中


PageTop   ItemTop   PageBottom   Old Cactus に戻る   Home に戻る


【 4 】改良と結果
[1]基礎 .................... (正確に水平を出した)
今回は念入りに水平出しを行い、丁寧にブロックを並べたので満足できる結果になった。

[2]通風と密閉 .................... (南面に窓、北面に出入口を設けた)
南側は横幅いっぱいに窓を設け、北側は横幅の半分を出入口としたので、 夏季には全開することで通風を確保した。
窓、出入口ともアルミサッシ・ガラス戸の内側にポリカプラ段の内扉を付け、 開閉・取り外しできる様にした。 密閉度を上げ隙間風が少なくなった。
側面のポリカ板と基礎との隙間にシリコンシーラントを塗布して隙間をなくした。
内張りを従来のビニールシートから外壁と同じポリカとして断熱性を向上した。

[3]蓄熱暖房 .................... (無加温でも外気との差を5度位高くできた)
蓄熱構造1 蓄熱構造2 蓄熱構造3
構造図 実際の写真 床の様子
[構造] 床の地面に断熱材を敷き、その上に蓄熱体として(コンクリート)ブロックを敷き詰めます。
ブロックは水平にして中に空気を流すため穴が一直線につながる様に並べてあります。
空気がブロックと接触する面積を広くするため、ブロックの空気の通路はU字型にしました。
天井に近い部分にファンを置き、そこからダクトでブロックの穴に上部の温まった空気を送り込みます。

ファンはコンピュータラックの換気放熱用のものをリユースしました。 風量・形状ともピッタリです。
ダクトはポリカで作る前に塩ビシートを筒状に丸めて作りました。 「仮末代」になりそうです。
透明度が良く影が出難い点は良いのですが、送風時に中央が膨らんで不恰好になります。

昼間、温まった空気でブロックに熱を蓄える時は室温上昇がゆっくりになり、
夜間、ブロックにたまった熱が放出される時は室温下降がゆっくりになります。

[制御] ファンの制御は換気扇制御と同じで、室内上部の温度が約25度以上の時に送風蓄熱します。
本来は取込み温度が、ブロックの空気出口の温度を下回った時点で送風を停止すべきですが
現状は有り合せの温度制御器の冷房側接点を利用していますので蓄熱量が少し少ないかも知れません。
今後、ブロックの温度推移も測定して、制御ロジックを考えたいと思います。

密閉度と断熱性を上げた効果で、室内の最低温度は外気より5度位高く保てています。

[検証] 効果は室温の推移を記録して現在検証中ですが、夕方日射が無くなってからの温度降下が少しゆっくりになりました。
但し、まだ蓄熱体の熱容量が足りずに効果が少ない様ですので、ブロックを2段積み(熱容量2倍)にして試してみたいと思います。

温度推移 測定器
温度推移グラフは、記録型温度計(写真右)で 10分毎に測定したデータをパソコンに取込みエクセルで作りました。
ここに掲げたグラフは晴天の日の典型的な1日の室温と外気温の変化です。
日が昇ると急激に室温が上昇しますが、日が沈んだ後は緩やかに下降します。
グラフで9時位から室温が上がるのは、日が当り始めるためです。
昼頃に少し室温が下がるのは、南に高圧線の鉄塔があり、その影で日射が少し遮られるためです。
(室温と外気の)温度差が7時以降も下がっているのは、日の出と共に外気温は上昇しているのに
室温は(東側の建物に遮られて)9時頃にならないと日射がなく上昇しないためです。

日射の状況は、敏感に室温に影響している様です。

室温下降の傾斜は蓄熱体の熱容量と保温性能(気密・断熱)に依存します。
保温性能(気密・断熱)をこれ以上良くするのは難しいため、蓄熱体の熱容量を増やす方向で改善したいと思います。

[4]雨水タンク .................... (沈殿槽と貯水槽を分けた)
実験に使った70Lのポリゴミ箱を沈殿槽ととして設置した。
屋根面積が増えた分少量の雨で(沈殿槽が)一杯になり、従来と同じ量の水は使える
大容量の貯水槽は計画中。


PageTop   ItemTop   PageBottom   Old Cactus に戻る   Home に戻る


【 5 】今後の課題
[1]暖房 .................... (寒い時期の夜間や日射の無い日の暖房)
気密性・断熱性を向上させたので、日射が少しでも有れば室温は上昇するが、 全日曇り、雨、雪などで全く日射が無いときは室温が確保できない。
今後、安価な熱源を探して室温を確保したい。

薪ストーブの検討
・ 庭木の剪定などで出た枝の内、細かい茎・葉はシュレッダーにかけて腐葉土にして利用しているが、 少し太い枝は処理出来ないので乾燥しておいて薪ストーブの燃料にしたい。
・ なるべく小型で燃焼効率のよいものを探したところ、ロケットストーブが 燃料を選ばず燃焼効率が良いとの事で、試作・燃焼試験してみました。
・ 狭い室内で直焚きできないので、熱だけ取り込み煙を室外に出す方法を検討中。
・ 一晩中ストーブの番もできないので、短時間の燃焼で明け方まで室温を保つ方法が必要だが、 今回採用した「蓄熱」を組み合わせると都合が良さそうです。

 
PageTop   Old Cactus に戻る   Home に戻る