楽しいフレンチブルーミーティング

 フランス車乗りになって良かったと思う事のひとつに、フレンチブルーミーティング(以下、F.B.M.)に参加できるという特典があげられます。サンクを買ってしばらくしたある日、たまたま見たテレビ番組でこのイベントを知りました。普段めったに会えない仲間たちが方々から集まってきて、しかも日本に数台しかないようなレアな車を拝見することもできるのですから、行かない手はありません。さらに、会場である車山高原は、偶然にも私たち夫婦のお気に入りの場所であり、ある素敵なご夫妻が経営していらっしゃるペンションに近い場所でもありました。

 
 私たちが初めて参加したのは 1992年のF.B.M.。第6 回目の開催でした。私はメイン会場に着く以前から、すでに興奮気味。なぜなら、東名から中央道へ入ると、がぜん出会うことの多くなったフランス車の数。追い越し、追い越されながら、目が合うとお互い手を振ったり会釈したり。サービスエリアへ入れば、仲良く並んでいるフランス車の小グループ。そして料金所で順番を待つフランス車たちの列。日常の生活では考えられない光景が目に飛び込んできたからです。広いメイン会場に近付くとなおびっくり!!(この時はまだほとんどの車がこの会場におさまったのですが・・・)いったい今までみんな何処に潜んでいたの?と思ってしまうほどのフランス車が並んでいました。私たちはさっそくサンクが集まっている場所のはじっこに停めさせてもらいました。この年はキャトルが多くて、かなり古そうなものから新しい年式のものまでズラ〜っと色とりどりに並んでいた印象があります。F.B.M.に参加されたことのある方ならおわかりだと思いますが、現在ではそれがちょうどトゥインゴが並ぶ様子に取って変わったという感じですね。また、’92年のF.B.Mでは、フリーマーケットや車関係の露店はわずかなもので、どちらかと言えばガレージセールといったおもむきでした。飲食店のほうも現在のようなにぎやかな感じではなく、いたってシンプルなものでした。それでも十分楽しむことができ、とにかく仲間がこれだけたくさん集まっていることに感動していました。

 
 F.B.M.のいいところはのんびりとしていて、自分の好きな過ごし方ができること。普通、車のミーティングというとどうしてもマニアックに走ってしまうイメージが強いですが、F.B.M.はいろいろな趣向を織りまぜながらも決して押しつけがましくありません。どんな車種のどんなグレードに乗っていようが、常連だろうが新参者だろうが関係なく、各自が好きなようにくつろげる雰囲気があります。ファミリーで楽しむ姿が多いのもうなづけます。もちろん、マニアックにいくのもO.K.です。

 
 さて、ひと通り品物をチェックしたり、珍しい車を写真におさめたりした後は、同じグランドの端でやっているジムカーナを観に行きます。これがまた面白くて、F.B.M.の魅力の一つと言っていいかもしれません。本気でタイムをねらう人、途中でエンストしちゃう人、みんなの笑いを誘うパフォーマンスにかける人。だいたいF.B.M.というと、寒かったり天気がぐずついたりする日が多いみたいですが、ジムカーナを観ていると、みんなの応援や笑顔でほのぼのとした雰囲気に包まれているような気がします。

 
 なんだか頼まれもしないのにF.B.M.の宣伝をしてしまったみたいですね。それほど楽しく、充実した一日でした。最初の印象ですっかり気に入った私たちは「可能な限り、毎年参加しよう!」と決めたのですが、その後、出産や育児(乳児を連れての遠出、その上故障したら大変すぎるので)に追われたり、サンクの不調があったりで、とうとうサンクではそれが最初で最後の参加でした・・・。

 
 今では子供たちも大きくなり、現在私の相棒であるクリオの調子も良好なので、’98年からは毎年続けて参加しています。長い間ご無沙汰したあと、その規模の成長ぶりにはまたまたびっくり!!フランス車の数が、メイン会場からはみ出るどころの騒ぎではなくなっていて、私たちは驚きの色を隠せませんでした。上の方から見下ろす会場の周辺一帯はフランス車でぎっしり埋め尽くされ、壮観というほかありません・・・。またスポンサーも露店も増え、すっかり大きくりっぱなイベントに。フランス車に関連した自作の絵や作品を展示販売する方も増えていて、見ているだけでも楽しめます。それでも以前味わった、あのほのぼのとした雰囲気は失われておらず、ほっとしたと同時に、スタッフの方々の努力に思わず感謝したのでした。

 
 うちの子供たちは、私たちの影響を受けただけあって、年に一度のこのイベントを心待ちにしています。道中、フランス車の群れを見つけるとそれはもう大騒ぎ。まるで初めて私たちが参加したときの興奮がそのまま再現されているかのようです。会場でのお絵かき大会や玉入れも、なんだかんだ言いながら、けっこう張り切ってやっています。フランス車を前に写生している横で、通りかかった人の誉め言葉が聞こえてくると、照れくさそうに報告する娘。また露店での息子のお目当てはもちろんミニカー。物色中の彼の瞳は真剣そのものです。