コンパクトでも大きな存在感で頼れる愛車

 

 このところの気候のせいか、はたまた体力の衰えのせいか、ここ何年かのあいだにじわじわと夏の暑さが身にこたえるようになってきました。国産車のようにはしっかりきかないエアコンを抱える我が家のクルマたち。夏がやってくるたび、もし次に乗るのだったら・・・と、いつしかクルマの買い換えを検討するようになってきました。プント・カブリオが元気であればさほどさし迫ってはいなかっただろうと思いますが、プントはトランスミッションのトラブルがきっかけでやむなく手放すことに・・・。そこで、初代プントアバルトや、いろいろ改良されているであろう2代目、3代目のプントセレクタ、あるいはプントを土台としている旧イプシロンといったイタリア車、またフランス車では初代トウィンゴや2型ph1のクリオ16Vなどを視野に入れつつ、中古で手頃なものがないかネットで検索したりして、夫婦であーでもないこーでもないと話し合っていました。家計や駐車場の都合上、もう台数を増やすことはできないので、どうしても年式の古いサンクGLかパンダを出すということになるのですが、そこでまず子どもたちの反対に遭います。やはり子どもたちにとっても愛着があるのでしょう。将来は自分たちが運転してみたいという思いもあるようですし・・・。「どうしても換えなくちゃいけないの?まだ乗れるじゃん!」と言われると、「う〜〜〜ん。。。」と、こちらは言葉を失ってしまうことがしばしば。結局、確かに頑張ればまだ乗れないことはないし、そもそも好きで乗っているクルマだし、自分たちの条件にぴったりなクルマとの出会いもなかなか無いみたいだし・・・ということになって、買い換え気分は幾度となくしぼんでいくのでした。

 そんな状況でどうにかこうにか暑い夏をやり過ごしていたものの、細かな不調が数多くなってきたサンクGL。修理にたびたび出さなくてはならなくなり、思うように乗れる期間が細切れになってきました。そこで再度、候補車をいろいろ探し始めるようになり、じゃあ明日にでも目星をつけたクルマを見に行こうかと話していたそんなとき、私たち夫婦が密かに(?)気に入っていたあのエクスプレスPh3を手放そうとしているかたのお話が飛び込んできました。これはまたとないチャンス!GLも大好きでしたけれど、あの素晴らしい乗り味のエクスプレスはなかなか日本ではお目にかかれません。エクスプレスの最終型ということで、うちのクリオと同程度にはエアコンも効くようです。老後の楽しみかなぁと思っていたエクスプレスを思いがけず早く手に入れるチャンスが巡ってきたことで、 GLを手放す決心がようやくつきました。

 我が家にエクスプレスがやってきたのは2008年のFBMの直前。例年、私たちはFBMにプチパケのオリジナルカレンダーや小物などを売るようになっていましたので、そのためのテントや机、イス等も含め、たくさん荷物が積めるエクスプレスは大助かり。1.4Lの小型車ではありますが、車山の坂道もがんばって登ってくれます。さっそく年に一度のイベントに活用できたのがもう嬉しくて嬉しくて・・・。またその頃は、子どもたちが学校のオーケストラでホルンやトロンボーンを演奏するようになり、コンクールや演奏会などの際にそういったちょっと大きめな楽器を運んだりするのもエクスプレスなら余裕です。
 
 実は昔、名古屋の輸入車ショーに毎年足を運んでいた頃、新車のサンクやAXなどの他に「これいいな〜」といつも思っていたのがエクスプレス。でもその頃の私はATしか動かせなかったことや、そもそも大きな荷室のクルマが必要な生活だったわけでもなく、ただただそのデザインや楽しそうな雰囲気が好きというだけ。当然お値段も高かったし、指をくわえて見ているだけでした。それからずいぶん年月がたったものの、その憧れのエクスプレスに実際に自分たちが乗れる時が訪れようとは・・・! 一方、現代のカングーファンの大多数のかたがそう思っていらっしゃることでしょうけど、やはりどうせなら、リアのドアは観音開きがいい!という観念でした。ところがいざ、このエクスプレスのハッチを使ってみると、これがなかなか便利なのです。確かに観音の方がラクに開け閉めできるし、後ろのスペースを広く空けておかなくて済むかと思いますが、お天気の不安定な時が意外と多いイベント時期には、ハッチを上げれば大きな屋根になってくれてとても助かることが実感できました。

  
 そうそう、面白かったのは日産のAD MAXバンとの遭遇。以前からエクスプレスとそっくりだな〜と思っていましたが、ある日私が運転していた時にちょうどすれ違ったことがありました。色も同じようなベージュどうし。MAXバンが対向車線の先から走ってきたのを発見し、内心「おお〜っ!!」と思っていたら、すれ違いざまにあちらのドライバーさんも「何だ、あれは?」と驚いたような表情で完全にこちらを凝視されていたご様子でした。ルノーエクスプレスというクルマの存在をご存知だったかどうかは知る由もありませんが、ご自分のとそっくりな左ハンドルのおかしな顔のクルマが居たのですから、そりゃびっくりしますよね(笑)。お互い走っていましたので、時間にすればほんの一瞬のできごとでしたけれど、なんとも愉快な気分になりました。
 
 
こうしてエクスプレスが我が家の一員となり、エクスプレス、クリオ、パンダの3台体制が定着した我が家。エクスは荷物がたくさん運べてオールマイティな頼もしいクルマ、クリオPh3は乗り心地が良くラクに移動できるベーシックなクルマ、パンダは気軽に遊びに行ける趣味のクルマ・・・と、どれもコンパクトながら、それぞれ微妙に違ったキャラクターを持っていて、我が家にとってはとてもしっくり来る良いトリオとなったのです。

(イラスト)
雨降りとなったフレンチブルーミーティングの際、エクスの荷室を使ってプチパケショップを開きました。ハッチのドアを屋根にして、両側を大きなビニールシートで覆うという苦肉の策でしたが、意外とかわいい感じになったよねと自己満足(笑)