「プント」とはポイント、つまり句読点とか分岐点などという意味だそうです。我が家にとってまさにそれはひとつの区切りとなるクルマでした。思えばサンクよりも長い付き合いだったパンダ。軽快な走りで私たちを楽しませてくれました。ダブルサンルーフを開けて走る昼間の明るい空の下はもちろんのこと、初夏や初秋の涼しい夜のドライブもまた格別でした。私の苦手なMTの練習台になってくれたりもしました。(パンダを壊してしまいそうで結局は諦めてしまいましたが。トホホ・・・)そして夜中に私が産気づいたとき、得意の小回りを利かせて病院まで連れていってくれたのは、2度とも夫の運転するパンダでした。でも私たちはそんなパンダに終止符を打ち、プントへのステップを踏み出すことに決めました。サンクの場合とは異なり、パンダでは十分にその走りを堪能でき、また私が言った「一生に一度はオープンに・・・」のひとことが背中を押したのだと夫は言いました。私自身、欲張りな条件を満たしてくれる今回のプント・カブリオとの出会いはひとつのチャンスかもしれないと思っていました。
こうしてパンダと交替したFIAT PUNTO Cabrio Selecta(’98年式 ブルーミッドナイトメタリック)は我が家の一員になりました。プントを勧めていただいた時には買わなかったのに、今度は今度で最終型パンダの受け付けには応じずにプントを選んだチグハグな私たちに、イヤな顔ひとつせず、いろいろわがままを聞いてくださったTさんに感謝です。
プントが連れてきた新しい風は、パンダの時のそれとはやはり違うものでした。サンルーフより更にダイレクトに吹き込んでくる風。後部座席は特に巻き込みが激しいので、オープンで子供たちを乗せるのはどうしても短期間、短距離になってしまいますが。大人だけで楽しむ場合は、真冬でなければ寒い季節も案外オツなものです。ヒーターを十分にきかせれば、下からは温風、上からは冷風がやってきて「これってまるで露天風呂感覚じゃない?」と無邪気に喜んでいる私たちです。もっとシンプルかつタフ(?)にオープンに乗っていらっしゃる方からすれば、「なに軟弱なことを・・・」と呆れられそうですけどね。気候のいい日には仕事の帰りにも幌を開けて走る夫。そんな時はスーツを着ているのが丸見えなので「自分のクルマなのに、自動車セールスが配送してるみたい。」と、遊びグルマに対してミスマッチな姿を自ら笑っています。それでもオープンの気持ち良さにはまんざらでもなさそう。普段は知る人ぞ知る?地味なフランス車に乗る私も、時々プントを借りて出かけることがあります。さすがに女ひとりでオープンにして乗るのは気がひけるのでほんのちょっとだけですが、どこにでもいるフツーの主婦がちょっぴり他人の視線を気にしながら走るのも、たまには悪くないなーと思ってしまいます。
そうそう、もうひとつ、私たちなりのプントの使い方があります。私たち夫婦はガーデニングやDIYをやるため、少し背の高い苗木や、材料となる長い木材をよく買います。これはダブルサンルーフのパンダの時もそうだったのですが、こういうちょっと長めで不定形な物を運ぶとき、屋根が開くクルマはとても便利なのです。つまり軽トラがわりですね。お天気が悪くなく、近い場所なら、わざわざホームセンターなどの軽トラを借りなくて済むのです。でも、乗用車からニョキッと木が突き出ている様は、ハタから見たら妙でしょうね、やっぱり。
とにかく、楽しみ方は違ってもクリオと同様、どこまでも走って行きたくなるプント・カブリオです。
|