あれは確か、私が23歳ぐらいの頃だったと思います。横浜へ遊びに行った時、両脇を国産車に挟まれながらチョコンと駐車場に停めてあった白い車に、偶然目がとまりました。目立たないけれど、国産車にはない、洒落た雰囲気を持つ小型ハッチバックに「あ、これ何だかかわいいなー。」とボンヤリ感じていた私。これが私とルノー・サンクとの最初の出会いでした。それが後々、”RENAULT”と離れられなくなるきっかけになろうとは・・・。
その頃ラテン車では、シトロエンAX、BX、プジョー205、フィアットウーノあたりの全盛期でした。古めのだと、キャトルや2CVもけっこう走ってました。私は、現在、夫であるカレの影響を受け、欧州車のデザインに興味を持ち始めており、もともと小物好きだったこともあって、それらのミニカーを集めるのが趣味の一つになっていました。カレはやがて念願だったFIATのパンダを手に入れました。そのため、その後何カ月かして私が乗っていた国産車の2度目の車検が近づく頃には、小型欧州車の楽しさを知ってしまい、横浜で出会ったあのサンクの存在が、私の中ですっかり大きくなっていたのでした。
恥ずかしながら、私はMTでは自信が持てないので、中古のATをあちこち探しました。当時、ATの新車はとても高くて手が出なかったのです。ある時に程度の良さそうなサンクをみつけたのですが、そこで両親の猛反対にあい、一度は泣く泣く諦めたこともありました。しかし結婚後、カレ(以下、夫)の協力もあって、夢にまで見た白いサンクをようやく手に入れることが出来たのです。
「これしかない!」と思えるサンクに出会った時のことです。そのディーラーは、自宅から車で1時間半ぐらいかかる、ちょっと遠い場所にあったのですが、白のATで、しかも新古車同様のものだったので、ほぼ即決のつもりで見に行きました。まだ新人らしさが残る、若い営業マンのTさん(何年か後、ここを辞めてしまわれたのですが、後におもしろい再会をとげる事となる。)から説明を受け、いよいよ試乗してみることに・・・。この時の感動は今でも忘れられません。最初は夫に試してもらい、次に私が。緊張しながらゆっくりアクセルを踏んでいくと、まるで高級車にでも乗っているような、しっとりした感覚に陥りました。大袈裟なようですけれど、初めて自分の手で輸入車を満足に動かせたという興奮も手伝ってか、その時の私にはそう思えたのです。今まで、デザインがとても気に入って一生懸命探してきたサンクですが、こんなに乗り心地がいいなんて、いくら雑誌に書いてあっても想像がついていなかったのでした。この時から私の教訓は、気に入った車があったら、まず試乗してみなくてはダメ!ということです。(当然すぎる!?)
こうして、ついに私のもとへやって来た”RENAULT 5 AT”(’90年式 3dr 通称、シュペール・サンクと呼ばれているタイプです)。ますますこの車の魅力にとりつかれた私の、納入時の気分は言うに及びませんね。この日の夜、お祝いのフランスワインをかたむけ、夫と二人で喜び合いました。
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