文化財級 | 交響曲 | ||||||||||||||||||||||||||||||
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商品番号:OVCK−00187 | エクストン DSD ステレオ | ||||||||||||||||||||||||||||||
解説 | |||||||||||||||||||||||||||||||
透明度の高い高音質の録音である。しかし、それはハード面でのシステム的なクオリティに依存しているもので、音像表現を追求するエンジニアの観点からすると特別に評価できるものはない。 弦楽器・木管・金管というオーケストラの大きな3つのセクションを有機的に結びつけ、一つの楽器に仕立てるのがエンジニアに求められている仕事だとするならば、この録音で聴かれるオーケストライメージはバランスに欠け、ソロスティックな楽器においてはスポット的に焦点が当たるものの、パートやセクションのまとめ方は曖昧でリアリティに乏しい。 マルチ再生を目的に録音されたもののためか、ステージレイアウトは自然な楽器配置であるとは言いがたい。広がりと奥行の整合性も取れていないため、オーケストラが平面的に処理されていることもある。サラウンドを意識して音像表現に手を入れすぎた感は否めない。 これからのデジタルレコーディングのあり方を問う、いくつもの課題を顕在化させたサンプル的な価値がこのCDにはある。ただ、このプロデューサーの基本的な問題として、指揮者の唸り声や気配といったものを意図的に入れるというアザトさは矯正のしようがない。この手の問題は、エンジニアあるいはプロデューサーのモラル意識に頼るしかなく、こうした稚拙な演出に辟易しているオーディオ・ファンも多いのではないだろうか。コバケンの熱狂的なマニアならともかく、演奏よりも目立つ指揮者の気配などは、視覚要素のないオーディオ再生にとっては弊害以外の何物でもない(実演ではこれが聴衆を酔いしれさせるということは、コバケン・ファンである私も知っている)。日本のクラシック録音界の救世主と崇められる江崎氏であるが、キャニオン時代からオーディオメーカーとの近すぎる関係が気になるのである。 |
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