文化財級 | 交響曲 | ||||||||||||||||||||||||||||
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商品番号:SMK 47634 | ソニー(CBS) ステレオ | ||||||||||||||||||||||||||||
解説 | |||||||||||||||||||||||||||||
CBSレーベルのステレオ初期にはほとんど聴かれない、ホールトーンを積極的に響かせた録音である。スタジオやホテルでのオーケストラ録音が主流であった当時、ニューヨークPoでの録音をマンハッタン・センターで行なうようになった。いわゆる床面を使った自由なセッティングでの録音であるが、コンサートホールよりもむしろ豊かな空間表現を可能にしている。 第1楽章の冒頭から、クラリネット・ソロが十分な空気感と実存感を伴ってステージ上に定位する。マイクアレンジはワンポイント的手法で、ステージから距離をとった客席で聴くようなイメージである。 しかし、一方ではこうした空間表現が裏目に出る場合もあり、オーケストラのffでは響きが硬くなり、飽和状態に陥る。各楽器にはピックアップマイクが補助的に使われていると思うが、ホールトーンを重視したため、マイクアレンジだけでは対応しきれなくなっているのである。デジタル時代ならばffでのピークを下げてpとのダイナミックスを調整できるが、当時のアナログ技術ではテープノイズを考慮せねばならず、pを生かすためには全体のレベルを上げなくてはならないのである。この録音ではオーケストラの弱音部でよい結果を出しているが、あちらを立てればこちらが立たない、といったジレンマに陥るのは避けられない。しかし、いずれにしても、このエンジニアの目指したものには好感が持てる。 バーンスタインはチャイ5をよく演奏した。晩年は大きく肥大した演奏になって行ったが、タングルウッドでのライブ映像を見ると、圧倒的な感情移入と強引な音楽性によって、見るものを納得させてしまう。ニューヨーク・フィルハーモニックとは2度の録音をしたが基本的な指向は変わっていない。1度目のこの録音の方はバーンスタインが42歳の時のもので、エネルギーの放出と耽美な歌心を聴くことができる。4楽章の雄弁な語り口は、晩年には聴かれなくなった晴れやかさに満ちている。 |
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文化財級 |