世界遺産級 | 交響曲 | ||||||||||||||||||||||||||||||
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商品番号:2292−46152−2 | テルデック ステレオ | ||||||||||||||||||||||||||||||
解説 | |||||||||||||||||||||||||||||||
この録音の評価を決定付けたのは、冒頭のトランペット・ソロである。この部分だけでも後世に残る最高級の録音である。まるでトランペットリサイタルの収録かと思えるような空間表現で、ステージ中央からトランペットの響きがホール一杯に放射されている。ここで聴かれる残響によって、この録音のステージレイアウトがおおよそ見えてくる。 マンハッタン・センターは、1960年初頭からニューヨークPoのスタジオセッションに使われてきたホールで、デッカがウィーンPoをゾフィエンザールで収録していたのと同じような状況である。いわゆる舞台の上での収録ではなく床面を使った自由な楽器配置とマイクアレンジが行なえるホールである。そうした中で、ステレオイメージやオーケストラの音像表現を模索してきたのである。この録音は、まさにコンサートホールを彷彿とさせる空間表現に成功している。 冒頭のトランペット・ソロに導かれて、曲は、突如フルオーケストラの最強音に達する。ここで全ての楽器のレイアウトとオーケストライメージが明らかになるのだが、音の作りこみは、テルデック特有の過度に広がらない小ぶりな表現である。これによって客席からステージまでの距離感をイメージさせるのだが、オーディオ再生としてはもう少し広がりが欲しいと感じるだろう。 オーケストライメージは、何も足さない・何も引かないといった、自然体そのもので、ワンポイントマイクでの収録かと思わせるほどの生々しさである。各楽器の定位や空気感から分析すると、ワンポイントとも言えるが、音の明瞭さ(ピックアップ)から考えると、マルチマイクでしか捉えられない音像表現でもあり、エンジニアの高い技術力が伺える。 この時期のメータ・ニューヨーク・フィルは、拠点となっているエイブリー・フィッシャー・ホールでの定期でこの曲を演奏している(9月22.23.26日・10月3日)。また85年には同曲でヨーロッパツアーも行なっている。こうした積み重ねによって、どこを切り取っても安定した揺るぎのない演奏を聴かせてくれている。冒頭トランペット・ソロのフィリップ・スミスやホルン・ソロのフィリップ・マイヤースは、極限的な美しさと完成度でリスナーを圧倒するだろう。 マンハッタンセンターでのセッションは、Liveが抱える技術的なリスクもなく、完璧なまでの録音と演奏を残すことができた。 |
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世界遺産級 |