文化財級 | 交響曲 | ||||||||||||||||||||||||||||||
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商品番号:459081−2 | グラモフォン ステレオ | ||||||||||||||||||||||||||||||
解説 | |||||||||||||||||||||||||||||||
弦セクションが左右に大きく広がり、木管と金管セクションはその中に程よい定位でまとまっている。音像表現としてはステージに近い客席で聴いているようなイメージであるが、それがマイナスになることのない良く考えられたステージレイアウトを描いている。 第1楽章の冒頭から生々しい低弦のビートに急き立てられるが、この重心の低い伸びやかなチェロとコントラバスによって大編成のオーケストラが悲劇の行進を始める。 サウンドは左右への広がりよりも上下方向への広がりと深みを狙った仕上がりで、オーケストラが大きな塊となって眼前に打ち付けられる。余裕のあるダイナミックレンジがそれを余すところなく捉えていて、ホールで得られる空気感や実存感も逃していない。 ムジーク・フェラインザールでの録音は成功例が少なく、このホールの名前をジャケットにクレジットしたいが為だけの内容のものが多い中、この録音は最高品位の仕上がりとなっている。ホールで聴いているようなリアリティとは言えないが、ホールの雰囲気に流されないエンジニアの音像ポリシーが刻み込まれている。 演奏については、ウィーンPoがこれほど上手いオーケストラだったとは、と驚嘆した。このオーケストラについて語られるセンチメンタルで曖昧な過大評価は、この演奏で一転したといってよい。暗く陰鬱な曲であり、一方で優しさと家族愛に包まれた牧歌的な曲でもある。しかし何よりマーラーの最も悲劇的な人生の転落を表現した曲なのである。オーケストラには、そのマーラーと指揮者バーンスタインの情念を受け止められる共感と技術が求められるのである。これまでのウィーンPoは、共感こそ伺えられるものの技術が追いついていなかった。特に金管セクションには不満が残った。しかしこの録音に聴くウィーンPoにはそうした弱さや不安定さは微塵もない。完璧で完全なマーラーを演じきっている。 |
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文化財級 |